総務の引き出し(労務管理)
来年4月より順次施行の改正法詳細 環境整備など離職防止措置を重視した介護に関する5つの変更点
岡田人事労務管理事務所 所長、株式会社ワーク・アビリティ 代表取締役 岡田 良則
最終更新日:
2024年12月11日

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2024年5月24日に育児・介護休業法の改正法が成立し、2025年4月より順次施行されることとなりました。今回の改正では、特に介護に関する支援策に大きな変更が加えられており、企業にとっては新たな対応や準備が必要となる点が多くあります。これまで、育児に対する両立支援策は徐々に浸透してきましたが、介護に関する支援は十分とはいえない状況でした。そこで本稿では、改正法のうち、特に介護に関する改正点に焦点を当てて解説します。
超高齢社会と介護離職の現状
2025年、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本は超高齢社会を迎えます。総務省が実施した「令和4年就業構造基本調査」によると、直近1年間で「介護・看護のため」を理由に離職した人の数は約11万人に上っています。この数字は前年と比べて約1万人増加しており、内訳を見ると男性が約3万人、女性が約8万人となっています。年齢別に見ると、40歳代から50歳代の働き盛り世代において、介護離職の割合が高くなっています。
一方で、介護を担っている人の総数は約629万人に達しています。そのうち、仕事に就いている「有業者」は約365万人。これは、全有業者の5.4%に相当します。多くの人が仕事と介護の両立に取り組んでいる一方で、依然として介護を理由に離職せざるを得ない状況が続いていることがわかります。
家族の介護を行う従業員に対する企業の対応状況は、どうなっているのでしょうか。株式会社マイナビの調査によると、働きながら家族の介護を担う従業員「ビジネスケアラー」への支援制度がすでにあり、内容も十分であると考えている企業は11.5%にとどまっています。
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