総務の引き出し(労務管理)
柔軟な働き方を実現するための措置等の準備は万端? 10月施行「改正育児・介護休業法」最終確認
いちご社会保険労務士事務所 代表 岡田 和大
最終更新日:
2025年08月19日

アクセスランキング
男女とも仕事と育児・介護を両立できるように、育児期の柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や介護離職防止のための雇用環境整備、個別周知・意向確認の義務化などを盛り込んだ育児・介護休業法の改正は、2025年4月1日から段階的に施行されています。4月1日から施行された、子の看護休暇の見直しや介護離職防止のための個別周知・意向確認などには対応済みと思います。ここでは、2025年10月1日から施行される内容について確認してみましょう。
柔軟な働き方を実現するための措置等
育児期の柔軟な働き方を実現するための措置
- 事業主は、3歳から小学校就学前の子を養育する労働者に関して、職場のニーズを把握した上で、以下の「選択して講ずべき措置」の中から、2つ以上の制度を選択して措置する必要があります。
※「柔軟な働き方を実現するための措置」を企業単位で2つ措置するのではなく、業務の性質または業務の実施体制に照らして、事業所単位や事業所内のライン単位、職種ごとに措置することも可能です。 職場の実情を適切に反映するため、事業所の業務の性質や内容等に応じて措置の組合せを変えるなどの取り組みを行うことが望ましいとされています。また、正社員だけでなく短時間労働者も措置の対象となるため、不合理な待遇差に当たらないようにすることが求められます(参照:厚生労働省「令和6年改正育児・介護休業法に関するQ&A (令和7年1月23日時点)」 。 - 労働者は、事業主が講じた制度の中から1つを選択して利用することができます。
- 事業主が講ずる措置を選択する際、過半数組合等からの意見聴取の機会を設ける必要があります。
<選択して講ずべき措置>
- 始業時刻等の変更:1日の所定労働時間を変更せず、「フレックスタイム制」または「始業または終業の時刻を繰り上げまたは繰り下げる制度(時差出勤の制度)」の導入。
- テレワーク等(10日以上/月):1日の所定労働時間を変更せず、月に10日以上利用可能とすること。
- 保育施設の設置運営等:保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与をするもの(ベビーシッターの手配および費用負担など)。
- 就業しつつ子を養育することを容易にするための休暇(養育両立支援休暇)の付与(10日以上/年):新たな休暇の付与は、1日の所定労働時間を変更せず、年に10日以上の日数を取得可能とすることが必要。
- 短時間勤務制度:1日の所定労働時間を原則6時間とする措置を含むもの。この際、1日の所定労働時間を5時間または7時間とする措置、1週間のうち所定労働時間を短縮する曜日を固定する措置、週休3日とする措置等も併せて講ずることが望ましいとされている。
上記のうち、1から4はフルタイムでの柔軟な働き方が可能となる制度です。なお、2と4は原則時間単位で取得可能とする必要があります。
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。