総務の引き出し(労務管理)
4月から被扶養者認定時に提出が求められる労働条件通知書。就業規則や雇用契約書と兼用は可能?
いちご社会保険労務士事務所 代表 岡田 和大
最終更新日:
2025年11月13日
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「労働条件通知書」と「雇用契約書」。双方に記載されている内容は似ています。しかし、労働条件通知書の交付は法的義務であるため、雇用契約書のみで運用している場合、その見直しが必要です。今回は、労働条件通知書について確認してみましょう。
労働条件の明示の重要性
労働契約は、基本的に労使双方の合意のみで成立します。しかし、労働契約の内容にあたる労働条件については、使用者が一方的に作成する就業規則によって定まるのが通例です。そのため、具体的な労働条件について明確な合意がないまま働いているケースもあります。
しかし、このような状況ではのちのち紛争に至る危険性があります。したがって、予見可能性が高く、労働者の納得がある働き方を担保するとともに、労働紛争を回避する観点からも労働契約締結時に労働条件の明示は大変重要なものといえます。
労働条件通知書と雇用契約書はどう違うのか?
労働条件通知書とは、労働基準法(第15条:労働契約の締結時に、賃金・労働時間・勤務地などの一定の事項を書面で通知する義務)により、雇用主が労働者に対して労働条件を明示するために交付が義務付けられている文書です。労働者に就労条件を正確に理解してもらう目的があります。労働条件通知書は、使用者が労働者に一方的に通知するものです。双方合意の契約書ではありません。そのため、労働者の署名、押印は原則不要となります。
雇用契約書とは、使用者と労働者の間で結ぶ、労働契約そのものを文書化したものです。契約関係を明確にして、お互いの義務・権利を文書で確認し合うためのものです。そのため、労使トラブルがあった際、契約の証拠としても使われます。
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