総務の引き出し(労務管理)
半日単位の取得に影響は? 計画的な付与は可能? 「時間単位の年次有給休暇」導入・管理の基本
いちご社会保険労務士事務所 代表 岡田 和大
最終更新日:
2025年09月08日

アクセスランキング
年次有給休暇(以下、年休)は1日単位、半日単位のほかに、時間単位で取得ができる制度を導入することも可能です。今回は具体的な制度設計等について確認してみましょう。
時間単位の年休の仕組み
時間単位の年休(以下、「時間単位年休」)を導入するには、就業規則への記載と労使協定の締結が必要になります。なお、この労使協定は労働基準監督署に届け出る必要はありません。
労使協定で定める項目
労使協定で定める項目は次の通りです。
(1)時間単位年休の対象者の範囲
対象となる労働者の範囲を定めます。仮に、一部の者を対象外とする場合には、事業の正常な運営を妨げる場合に限られます。一斉に作業を行う必要がある業務など、時間単位年休の取得になじまない業務を担当している労働者がいることもあり得ます。時間単位年休の付与と事業の正常な運営が両立しない場合には、対象者から除外することも可能ですが、この場合、労使で慎重に検討することが必要です。なお、「育児を行う労働者」など、取得目的などによって対象範囲を定めることはできません。
(2)時間単位年休の日数
まとまった日数の休暇を取得するという年休の制度本来の趣旨を踏まえつつ、仕事と生活の調和をはかる観点から、年休を有効に活用できるようにすることを目的としています。そのため、時間単位年休は年間5日以内の範囲とされています。
(3)時間単位年休1日分の時間数
1日分の年休が何時間分の時間単位年休に相当するかを定めます。この場合、所定労働時間に1時間に満たない端数がある場合は、時間単位に切り上げて計算します。
(例)所定労働時間が1日7時間30分の場合は8時間。年間5日付与する場合は、8時間×5日=40時間まで時間単位で取得可能。
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。