『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「社内コミュニケーションについての調査」を実施し、178人から回答を得た。
- 調査結果 概要
8割以上の企業が社内コミュニケーションに課題あり
社内コミュニケーションに課題があるか尋ねたところ、84.8%が「ある」と回答した(n=178)。
課題があると回答した企業に、コミュニケーション課題を感じるところを尋ねたところ、「部門間のコミュニケーション」が77.5%と最多となった(n=151)。
<コミュニケーション課題がない理由 / 一部抜粋>
- 上下間、部署間において非常に話しやすい環境下にある。代表自らが各部署、各事業所へ赴き計画や方針説明を実施している。
- ランチ代補助制度を使ってマネージャー・リーダー陣が積極的にメンバーとコミュニケーションをとりにいっている。
- LINE WORKSやChatworkのコミュニケーションツールの導入や、 社員の希望に合わせてオンライン・対面での面談を定期的に実施しているため
効果があったコミュニケーション施策 1位は「飲み会」
効果があったコミュニケーション施策について尋ねたところ、「飲み会」が32.6%で最も多く、「1on1」が29.2%、「レクリエーション」が28.1%と続いた(n=178)。
社内コミュニケーションが経営に与える影響は「業務の円滑化」「離職率の低下」など
社内コミュニケーションは経営にどんな影響を与えると思うか尋ねたところ、「業務の円滑化」が72.5%で最も多く、「離職率の低下」が69.1%、「モチベーションの向上」が65.2%と続いた(n=178)。
社員が出社したくなる工夫をしている企業は2割以下
社員が出社したくなる工夫をしているか尋ねたところ、16.2%「はい」と回答した(n=173/出社機会のある企業)。
<工夫していること / 一部抜粋>
- ABW(ハイブリッド会議の環境整備・ダブルモニター席)
- 設備投資(モニターを充実させる、オフィスサービスの導入と充実)
- 地方在住者への交通費・宿泊補助
- ゲーム機や卓球台の設置
- 社員食堂のメニュー充実
- ランチ代補助(必ず他部署の方が1名は入る、全部で3名以上のルールあり)
約6割がアフターコロナで社内コミュニケーションの方法に変化あり
アフターコロナにおいて、社内コミュニケーションの方法に変化があったか尋ねたところ、約6割が変わったと回答した(n=178)。
<社内コミュニケーションの頻度の変化>
- 変わらない:57.3%
- 減少した:25.3%
- 増加した:17.4%
<変化したこと / 一部抜粋>
- オンラインでの研修や録画の視聴増加により参加者増、テキストコミュニケーションの増加によりブラックボックス化の減少
- 規模の大小問わずオンラインのイベント・コミュニティ活動が増加→積極層のレベルアップ・部門を超えた社内外人脈の拡大(ただしアンテナ感度による社員間格差は広がった印象)
- チャットなどによるコミュニケーションで言葉が足らず、意思疎通が不十分なことが多い。
- 個人同士でのコミュニケーションが主体となっているため、他の人が問題に気づけないことが増えた。
- オンラインミーティング(リアルとオンラインのハイブリッド含む)の増加、在宅が増えたことにより若手が軽重様々なことを「ちょっと聞く」ことができず悩むことが増えた。
- 他部門の様子が見えづらくなりハラスメントが起きるようになった。
社内コミュニケーションの課題は「社員の参加意識の醸成」が最多
社内コミュニケーションにおいて、解決が難しいと思う課題を尋ねたところ、「社員の参加意識の醸成」が63.5%で最多となった(n=178)。
<世代による社内コミュニケーションの違い / 一部抜粋>
- 若い世代は会話よりもチャットなどの文字による情報伝達が多い。
- 若い世代は対面よりオンラインのほうがしゃべれるが、高年齢世代は対面を好む。
- 年配ほど業務外活動での結びつきが強い。
- 上の世代はハラスメントを恐れ、必要以上にコミュニケーションを取ろうとしない場合がある。
- 若い世代は電話を嫌がる(社内、社外ともに)、50代は対面、電話を好む
- 「コミュニケーション」の認識に、世代間ギャップを感じる。ベテラン世代はプライベート込み、デジタルネイティブ世代は仕事に限ったコミュニケーションを重視しているように思う。
8割以上が社内コミュニケーションはイノベーション創出に影響があると回答
社内コミュニケーションがイノベーション創出に与える影響をどう感じるか尋ねたところ、8割以上が「影響がある」と回答した(n=178)。
社内コミュニケーションの充実度を測っている企業は2割程度
社内コミュニケーションの充実度を測っているか尋ねたところ、23.0%が「はい」と回答した(n=178)。
■総評
今回の調査結果から、企業の社内コミュニケーションには依然として課題が多いことが明らかとなった。8割以上の企業が「社員の参加意識の醸成」に課題を感じており、アフターコロナでオンラインコミュニケーションが増えたことが一因と考えられる。対面でのコミュニケーションが重要であることは、「飲み会」が最も効果がある施策として挙げられた点からも示されている。
また、「業務の円滑化」「離職率の低下」「モチベーションの向上」が社内コミュニケーションの経営への影響として挙げられ、これらが企業の競争力や生産性に直結することがうかがえる。オフィス環境の改善や福利厚生の充実が社員のエンゲージメント向上に寄与する可能性も示唆されており、特にハイブリッドな働き方の整備が求められている。
8割以上の人が「社内コミュニケーションはイノベーション創出に影響がある」と回答しているように、社内コミュニケーションは重要な経営資源の一つである。オンラインとオフラインの両方を活用したハイブリッドなコミュニケーション戦略が、これからの企業経営において鍵となるだろう。
【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2024年6月6日〜2024年6月13日
■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
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