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昨今、コロナ禍でいったん定着したフルリモート制度を見直し、オフィス出社を再開させる(RTO:Return To Officeなどと呼ばれます)「揺り戻し」の動きが加速しています。近年、採用市場において、居住地を問わない働き方は強力な武器となっていました。しかし、このカードを手放すことは、単なる制度変更にとどまらず、企業の採用ブランドや候補者との信頼関係に影響を及ぼすリスクをはらんでいます。新拠点への移転を機にフルリモートを、原則週3回出社へ段階的に移行することを発表した企業の例では、過去の「ずっとリモート」という発信との整合性を問う声がSNSで噴出しました。
フルリモート廃止が採用に与える代償
この事態は、採用担当者にとって対岸の火事ではありません。まず直視すべきは、フルリモートという選択肢を縮小することで失われる「候補者の地理的拡張力」です。ある東京本社のインターネット大手企業が公表した事例では、居住地制約を撤廃したことで中途採用の応募者数が前年比1.6倍に急増し、1都3県以外からの応募が全体の35%に達する月もありました。リモート化は、「本来なら東京に来られない層」を「東京に来なくてよい層」へと変換することができ、全国から優秀なタレントを引き付けることができたのです。
この方針を転換し、出社を前提とした体制へ戻すことは、こうした強力な母集団形成力を自ら手放すことを意味します。候補者は働き方の自由度を「会社が個人の生活設計を尊重しているか」というバロメーターとして見ており、一度形成された期待を裏切るような変更は、採用ブランドに対する信頼を大きく損なう要因となります。
採用担当者が知っておくべき「心理的契約」のわな
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