急拡大で学生も企業も葛藤する活用の在り方 採用活動で生成AIに任せるべき業務、その最適解は?
今の学生にとって、生成AIは就職活動に欠かせない存在になりつつあります。エントリーシートの推敲や志望動機の整理だけでなく、模擬面接の準備にまでAIを活用する姿が一般的になってきました。かつてはキャリアセンターに足を運び、友人や先輩に依頼していた面接の練習も、今やスマートフォンの中で完結しています。学生は「ポケットの面接官」を手に入れたように、時間や場所を問わずに繰り返し練習することができるようになりました。こうした体験は、自己効力感を高め、自信を持って選考に臨む心理的な土台となっています。その一方で、AIが生成する文章や回答に依存すれば、独自性や真正性が薄れ、面接の場で矛盾や違和感が表れる危険性もあります。効率や安心感の裏には、個性の希薄化というリスクが潜んでいるのです。
学生と企業に共通する葛藤
このような現実に対して、企業はどのように対応しているのでしょうか。多くの人事担当者は、学生がAIを利用することを前提にせざるを得ないと考えています。しかし、その評価は分かれています。「限定的な利用であれば問題はない。むしろAIを使いこなす力も新しいスキルと見なす」と考える企業がある一方で、「応募書類は本人の言葉で書くべきだ、AIの利用は採用ミスマッチの原因になり得る」と否定的に捉える企業も少なくありません。興味深いことに、学生自身もこの点について揺れています。
適性検査のように数値化できる領域であればAIに任せてもよいと考えますが、人柄や感情にかかわる面接は人間に評価してもらいたいと望んでいます。効率を取るのか、真実性を守るのか。この葛藤は、学生と企業の双方に共通するテーマとなっているのです。
採用業務の業務効率化としてのAI活用
企業が自らAIを利用する場面も、急速に広がっています。会議記録の要約や応募者からの問い合わせ対応、従業員サーベイの自由記述の整理といった、これまで膨大な時間を必要とした業務がAIによって効率化されるようになっています。こうした領域では効果が明確であり、導入のハードルも比較的低いといえます。AIは人事の負担を軽減し、限られた時間を本質的な業務に振り向ける余裕を生み出しています。
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