順調に見えても実はギリギリ…… 突然の休職を防ぐ、がんばるエース社員の守り方
アクセスランキング
人事や総務の担当者から、「あの人が休職するとは思わなかった」という言葉を聞くことがあります。高い成果を安定して出し、責任感が強く周囲から厚く信頼されていた従業員が、ある日突然、出社できなくなることがあるのです。
背景にあるのは、「成果が出ているから大丈夫」という思い込みです。こうした状態は「ハイパフォーマーうつ」と表現されることがあります。ただし、これは医学的な正式診断名ではありません。本稿では、成果を維持している社員の内側で心身の消耗が進み、不調が周囲から見えにくくなっている状態を便宜的にこう呼びます。
高い成果は、健康の証明ではない
仕事ができる人ほど、多少の睡眠不足や疲労があっても、一定期間は成果を維持できます。忙しい時期にも納期を守り、トラブルが起これば自ら調整し、周囲の仕事まで支える。組織から見れば、非常に頼もしい存在です。
しかし、成果が維持されていることと、心身に余裕があることは同じではありません。Moellerらが米国の労働者を対象に行った研究では、仕事へのワーク・エンゲージメントとバーンアウトを同時に分析したところ、「エンゲージメントが高い一方で、バーンアウトも高い」群が18.8%存在しました*1。
*1 Moeller J, Ivcevic Z, White AE, Menges JI, Brackett MA. Highly engaged but burned out: intra-individual profiles in the US workforce. Career Development International. 2018;23(1):86–105. DOI: 10.1108/CDI-12-2016-0215.
ここで注意したいのは、この研究が「高業績者の18.8%がうつ病だった」と示したものではないことです。ワーク・エンゲージメントは業績そのものではなく、バーンアウトもうつ病と同義ではありません。
それでも、「意欲的に働いていること」と「消耗していないこと」は必ずしも一致しない、という示唆は重要です。職場では、「成果が出ている」「本人もやる気がある」といった情報が安心材料になりがちですが、その成果が長時間労働や睡眠不足、休日の仕事によって支えられているのであれば、持続可能とはいえません。
見るべきなのは、成果だけではなく、「どの程度の負荷で、その成果を出しているのか」です。
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。