近年、社員が退職代行サービスを通じて退職の意思を示してくる例が増加している。パーソル総合研究所の「離職の変化と退職代行に関する定量調査」によると、離職者の5.1%、約20人に1人が退職代行サービスを利用しているという実態が明らかになっている。そこで本稿では、社員がこうした退職代行サービスを利用した場合における企業が留意すべき点について解説する。
退職代行サービスを利用して退職の意思を示した社員への対応
上記調査によると、ハラスメントを行う上司に対して直接退職の意思表示をすることができないために退職代行サービスを利用する者が約4割という結果であったが、単に面倒な手続きにかかわりたくないといった理由で退職代行サービスを利用することもあるようである。そして、退職代行サービスを利用する社員は、ある日突然、業務の引き継ぎもしないまま出社しなくなり、かつ、会社からの連絡にも応じないことがほとんどである。
しかし、多くの会社では、退職事由として「退職を願い出て会社の承諾を得たとき」との規定を置き、退職願を1か月前までに提出することを求めている。他方で、退職代行サービスを利用する場合、単に「退職する」旨の意思を退職代行サービスが当該社員に代わって通知することが一般的である。そこで、退職代行サービスを利用した退職の意思表示は就業規則に定めた退職手続きに従っていないので、これに応じなくてもよいかといった相談が入ることがある。
就業規則で定めた退職事由は労働者と使用者が合意の上で退職するいわゆる「合意退職」を指すところ、民法上、労働者の一方的意思表示による退職、いわゆる「辞職」も認められている。この場合、労働者からの辞職の意思表示の翌日を起算日として2週間の経過をもって雇用契約を終了させることができる(民法627条1項)。
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