退職予定者からの年休一括消化申請は拒否できる? 判例から見る「時季変更権」の行使要件を解説
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近年、年次有給休暇(以下、年休)の消化率は上がってきているが、それでも消化し切れずに2年の消滅時効期間が経過して、未消化のまま年休を取得する権利(以下、年休権)を失う労働者も多い。そのため、労働者が退職直前に未消化の年休権を一括で取得する場合がある。
その一方で、企業側としては、当該の労働者が退職したあとに業務を引き継ぐ後任の労働者に対して、しっかりと引き継ぎを行わせる必要がある。そこで、今回は、年休の概要と、労働者が保有する年休権について、具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をした場合に、使用者が行使できる「時季変更権」の要件と限界について解説する。
年休の発生要件と概要について
労働者の年休権は、(1)労働者が6か月間「継続勤務」し、(2)全労働日の「8割以上出勤」することによって当然に発生する。
(1)の「継続勤務」は実質的に判断されるが、継続勤務とは在籍で足りるので、休業中や休職中も継続勤務となる。(2)の「8割以上出勤」については、出勤日/全労働日により算出される。遅刻・早退した日も出勤日としてカウントされる。なお、業務上の傷病により療養のため休業した期間、育児・介護休業期間、産前・産後休業期間は出勤したものとみなされる(労働基準法第39条第10項)。また、年休取得日(昭22.9.13基発17号等)および労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえない不就労日(不可抗力による休業等、全労働日に含まれるものを除く。平25.7.10基発0710第3号)も出勤日として扱われる。
年休権の具体化の手段としては、(1)労働者による時季指定(労働基準法第39条第5項)、(2)計画年休(同条第6項)、(3)使用者による時季指定(同条第7項)がある。
年休に対する賃金は、(1)平均賃金、(2)所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金(労働基準法第39条第9項。(1)、(2)のいずれを選択するかについては、就業規則に明記する必要あり)、(3)労使協定で定めた場合の健康保険法による標準報酬月額の30分の1(同項ただし書、労使協定は労働基準監督署長への届け出は不要)がある。
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