変形労働時間制とは、従来から法律上の労働時間制度として認められてきた一定期間の労働時間の平均をもって「1週間当たり40時間を超えない」という定めによる「平均労働時間制」のことである。ただし、フレックスタイム制と異なり、日々の始業・終業時刻を事前に特定し、勤務表に沿って定めた一定期間の勤務時間に従って勤務する。つまり、勤務表で1日8時間を超えて労働する日を定めれば、ほかの日の労働時間を短縮し、平均して法定労働時間の中で就労するという、業務の繁閑に対応する長・短時間のある勤務制度である。
変形労働時間制の実施要件と種類
当該事業場の過半数で組織する労働組合、それがない場合には、過半数代表者との書面協定により、または、就業規則その他これに準ずるものにより一定期間の勤務表を定めることが要件である。
変形労働時間制は3種類が認められており、その1つ目が1か月単位の変形労働時間制であり、1か月を平均し1週間当たり40時間を超えない範囲で、就業規則で各日の労働時間を定める労働時間制である。
2つ目は、1年単位の変形労働時間制で、
労使協定において、
- 対象期間を1か月を超え1年以内の期間とし、
- 対象期間を平均し1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内において、
- 1日10時間、1週52時間を限度とし、
- 対象期間における労働日および当該労働日ごとの労働時間、
- および労使協定期間を定めること
を要件として、変形労働時間制が認められるものである。
3つ目は、30人未満の小規模サービス業の特例的非定型変形労働時間制である。
変形労働時間制は、長・短の労働時間制が恣意的に行われないようにきちんと勤務表を定めて実施することが要件だが、「就業規則においてできる限り具体的に特定すべきものであるが、業務の実態から月ごとに勤務割を作成する必要がある場合には、就業規則において各直勤務の始業終業時刻、各直勤務の組み合わせの考え方、勤務割の作成手続及びその周知方法等を定めておき、それにしたがって各日ごとの勤務割は、変形期間の開始前までに具体的に特定することで足りる」(昭63.3.14 基発150号)とされている。
1日6時間の日も11時間の日も年休は「1日」
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
アクセスランキング
ダウンロード資料、アイテム
特別企画、サービス
-
【編集部厳選】総務1年生にオススメしたいコンテンツ20本
『月刊総務』編集部が、総務1年生やこの春久々に総務業務を担当する方にオススメのコンテンツを厳選。この機会に、総務実務の基本はもちろん、ビジネススキルや総務の考え方について学んでみませんか? -
総務のマニュアル
総務・バックオフィスの実務を実践的にサポートする「総務のマニュアル」シリーズ。ビジネストレンドを押さえた内容で、いま総務が知っておきたいポイントを具体的に解説していきます。 -
多様な働き方に対応する 社内コミュニケーション術
リモートワーク、ABWなど働き方の多様化がさらに広がっています。対面のコミュニケーションが減っている中においても、コミュニケーションを活性化するために、どうしていくべきでしょうか。 -
テレワークを実現するペーパーレス化と文書管理のポイント
ハイブリッドワークの需要が高まったものの、総務・経理などの管理部門では、請求書や契約書など書類のデジタル化に対応できず、出社を余儀なくされた方も多いのではないでしょうか。 -
総務辞典
総務辞典とは、どなたでもご利用いただける、総務業務に関する一般知識、関連法令や実務ノウハウなど総務に関する用語辞典です。 -
無料オンラインセミナーのご案内
月刊総務が開く、無料オンラインセミナーの予定はこちらからご確認ください。さまざまな企業と共催し、より専門的な知識を幅広いテーマで発信。総務の皆様の情報収集にお役立てください。 -
『月刊総務』調査
『月刊総務』では、不定期にアンケート調査を実施し、その結果を公開しています。全国の総務パーソンがどのように業務に対応しているのか、何を感じているのか、総務の現状を確認してみましょう。 -
YouTube 月刊総務チャンネル
『月刊総務』公式YouTubeチャンネルです! 「働き方」「戦略総務」などのテーマについて、数分で気軽にキャッチできる情報を発信していきます。ぜひ、チャンネル登録をお願いします! -
メンタル不調者が増える6月前にチェックしておきたい10本
ゴールデンウイークが明け、退職代行サービスの利用者が急増しているようです。新卒・若手社員の早期離職が深刻化し、五(六)月病が話題になっています。気象病と仕事のストレスが重なる6月に向け、メンタルヘルス対策を紹介します。 -
業務効率化&コスト削減 購買プラットフォーム
オフィス用品に関する困りごとを解決し、業務効率化とコスト削減を実現いたします。Kobuyは、一貫堂が提携するパートナーサプライヤに加え、お客様ご希望のサプライヤ商品・サービスを一元管理できるオフィス用品一括購買システムです。