総務入門講座
あらためて確認すべき 秘密保持契約の注意点(3)
弁護士法人堂島法律事務所 日本国弁護士・米国ニューヨーク州弁護士・公認内部監査人・公認不正検査士 博士(法学) 弁護士 安田 健一
最終更新日:
2021年09月24日
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ビジネスで秘密情報のやり取りが発生する際、必要となる秘密保持契約。取引先から提示されたものを、内容をしっかり確認しないまま押印している方もいるかもしれません。どのような点について注意が必要なのか、最終回となる今回は、特に注意すべき条項のうち、知的財産に関する条項や有効期間(秘密保持期間)などについて解説します。
特に注意すべき条項
前回に続き、具体的な一つひとつの条項に、どのような「落とし穴」があり、どのように検討をする必要があるのかあらためて確認していきましょう。
コピーの制限
契約上で特に義務を設けなければ、秘密情報を受領した当事者がコピーを作成することは制限されません。コピーを制限したい場合には、必要な範囲のみとする、管理方法を定める等の条項を設ける必要があります。
そのため、コピーも秘密情報と扱われる旨を明記している条項がよく見られます。
知的財産に関する条項
よく見られる条項は、情報を開示したとしても、それは知的財産権の譲渡やライセンスをしたことを意味せず、開示によっては何らの権利も移転しない、というものです。このような条項自体には特に問題はありません。
しかし、秘密保持契約というタイトルの契約書でありながら、知的財産権に関係して、「本目的の過程で生じた新たな知的財産権」や「秘密情報を利用して当事者のいずれかが開発した知的財産権」が、一方の当事者に帰属する旨を定めている契約もあります。
このような条項を見落として契約をしてしまうと、新しく生じる知的財産権が自動的に相手のものになってしまうことになるため、よく注意する必要があります。
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