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従業員エンゲージメントは、企業と従業員の関係に関する概念です。企業価値向上のために、相互に成長・発展するパートナーと捉えます。
企業から見て従業員を価値向上のパートナーと捉えるので、従業員が「求められていること以上の役割をしようと思うか」「知人・友人に就職先として推奨する可能性はあるか」といった、成長・発展につながり得る「行動」に着目した捉え方をします。行動の強化につながるように、従業員の「エンパワーメント」(権限委譲、能力開花)という概念や、安定して力を発揮できる場づくり(心理的安全性)といった概念に広がっています。
従業員の仕事に対する意識が変化
従業員エンゲージメントは、人材・組織開発の領域で10年ほど前にブームのように盛り上がりました。今では人材・組織開発の部署に限らず、総務、広報、経営企画などコーポレート部門全体の共通言語のように定着しています。この従業員エンゲージメントが定着した背景は、従業員側と企業(組織)側の2つの視点から考えると理解が進むでしょう。
まずは従業員側の視点です。総務省統計局がまとめている「労働力調査」によると、コロナ禍前の2019年に、転職者の数が比較可能な2002年以降で過去最多(351万人)となりました。特に従業員規模が大きな企業で正規・非正規を問わず転職者が増加しています。転職理由は「より良い条件の仕事を探すため」が多い状況です。
もはや転職は当たり前の時代です。今では、SNSや転職サイトで、自分が勤めている会社と他社の状況を容易に比較できます。企業は従業員から選ばれるようになっているのです。従業員側は、単純に会社に賃金や制度の充実を求めるだけでなく、仕事自体を楽しい生活の一部と捉えるようになっています。
日本生産性本部の新入社員意識調査によると、働く目的は「楽しい生活をしたい」が1位で、40%程度。長年、増加傾向が続いています。一方「自分の能力を試す」は、もともと1位でしたが30〜40年間減少傾向が続いており10%程度。「経済的に豊かになる」は近年増加していますが、一時減少が見られたためで、おおよそ30%程度で2位です。
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