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広報分野の効果測定は難しいといわれています。その理由は大きく2つあり、1つは費用対効果に置き換えにくいことです。報道対応であれば「広告換算」が一般的ですが、あくまでも報道・記事のサイズを広告費に置き換えたもので、投資に対してのリターンではないのです。社内広報も会社と従業員の関係を維持・良化するための情報インフラ施策といえるので、明確な金額としてリターンが生まれるものではありません。
もう1つの理由は、態度変容に与える影響について、広報活動の影響だけを切り出した分析が難しいためです。たとえば自社や製品・サービスの知名度・認知度調査を定点的に実施しているとしても、その変動が報道・広告・SNSなどの成果によるものなのか、対面営業や口コミに伴うものなのか、明確に区切ることはできないでしょう。そもそも人は物事を「忘れる」ので、多くの人にリーチできる媒体で一定量の露出を維持し続けない限り、知名度・認知度は低下してしまう場合もあります。
同様に、社内広報を通じて「従業員エンゲージメント」の向上に寄与したいと思っても、従業員エンゲージメントは職場の人間関係や待遇など多くの変数の影響を受けるもので、社内広報の影響だけを正確に切り取ることはできません。こうした難しさを前提にしつつも、広報効果測定は「手の施しようがない」ものではなく、いくつかのポイントを捉えれば、一定程度の確度で活動の影響度合いを測定できます。今回は「社内広報」の効果測定のポイントをご紹介します。
測定したい「対象」を明確にする
社内広報は、一般的に紙の社内報やWeb社内報、イントラネット、経営層対話、社員総会などさまざまな手法で展開されます。社内広報の効果を測定したい場合、まずは、複数の手法を組み合わせた「総合的」な効果を測定したいのか、それぞれの手法の「個別的」な効果を測定したいのかをはっきりさせましょう。「社内広報の効果測定が難しい……」という相談を受けることがありますが、測定対象を明確にすると方向性が見えて考えやすくなります。
今回は、さまざまな手法で社内広報を実施しており「総合的」に効果を把握したい場合で考えます。大きく以下の3つを定点的に従業員アンケートで測定し続けるとよいでしょう。「水」で例えてみるとイメージしやすいかもしれません。なお、ここでは「会社から従業員に対して経営理念・経営方針等の浸透を目指して、さまざまな社内広報活動を実施している(社内広報の目的はほかにもあるものの、いったんここでは内容理解のために上記目的に絞る)」状態として読み進めてください。
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