環境への配慮がモノづくりの条件に? 欧州発の新ルール「ESPR」、日本への影響は
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欧州で始まった「ESPR」は、製品の作り方や売り方を根本から一変させる強力なルールです。今回は、単なる環境対策ではなく、ビジネスの前提を覆すこの規制について解説します。
ESPR導入の背景と狙い
(1)従来のエコデザイン指令とは「次元」が違う
欧州ではこれまで、エネルギー関連製品を対象にエコデザイン指令(Energy-related Products:ErP指令)が運用されてきました。これは主に省エネ性能を中心とした制度であり、製品のエネルギー効率を改善することを目的としていました。
しかしながら、近年、欧州が直面している課題は省エネだけではありません。資源制約、廃棄物問題、サプライチェーンの不安定化、そして循環経済の実装が重要な政策課題となっています。
そこで欧州は、従来の省エネ中心の制度を大幅に拡張し、資源循環を中心に据えた新しい枠組み法として2024年7月、ESPR(Ecodesign for Sustainable Products Regulation:持続可能な製品のためのエコデザイン規則)を発効しました。今後、製品ごとに具体的な要求事項が段階的に導入されます。
前回紹介した、新循環経済行動計画、通称サーキュラーエコノミー新行動計画(Circular Economy Action Plan:CEAP)が政策としての出発点となっており、単なる環境規制ではなく、企業の製品設計思想そのものを変える規制であり、これまでの制度とは次元が異なるインパクトを持っています。
(2)ESPRは循環経済を市場に「強制実装」する制度
循環経済は、企業の自主的努力だけではなかなか進みません。回収・再資源化にはコストがかかり、短期的には利益に結びつきにくいからです。
欧州はこの問題を、制度によって解決しようとしています。ESPRは、製品を市場に出す条件として循環要件を設定し、定められた要求事項を満たさない場合は、市場への投入が認められなくなる仕組みになります。
つまりESPRは、循環経済を「努力目標」ではなく「参入条件」に変え、企業活動そのものを循環型へ転換させるための制度なのです。これは欧州が「規制によって市場を設計する」という強い意志を持っていることを示しています。
(3)欧州がESPRで狙うのは「ルールメーカーとしての優位性」
欧州がESPRを推進する最大の狙いは、国際市場のルールを自ら作り、世界標準を握ることにあります。
欧州は資源輸入依存度が高く、国際情勢の変化に弱い構造を抱えています。そのため、資源を域内で循環させる仕組みを整備し、供給リスクを減らす必要があります。
同時に、循環要件を満たす製品を「正しい製品」として市場で評価する仕組みを作れば、欧州企業が先行優位を得ることができます。つまり欧州は、ESPRを通じて循環経済を推進しながら、産業競争力を高めようとしているのです。
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