モノの履歴書「DPP(デジタルプロダクトパスポート)」とは 義務化の動きと企業の準備ポイント
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欧州で導入が進む「DPP(デジタルプロダクトパスポート)」は、製品の成分や製造履歴を記録し、循環経済を支えるデータインフラです。今回は、DPPの基本や企業への影響、日本企業が取り組むべきデータ整理と体制づくりのポイントを解説します。
DPPとは何か
(1)製品が「履歴書」を持つ社会が始まる
欧州では、ESPR(持続可能な製品のためのエコデザイン規則)に基づき、DPP(Digital Product Passport:デジタルプロダクトパスポート)の導入が進みます。対象・時期は製品群ごとに決まり、対象電池は別のEU規則で2027年2月から先行します。
DPPは製品情報をデジタルで結び、消費者、取引先、修理業者、行政機関などが、それぞれの権限に応じて参照する仕組みです。製品が「履歴書」を持つようなものです。
たとえば製品や包装のデータ媒体から、素材や修理方法などの情報にアクセスできます。QRコードはその一例です。何を載せ、誰に見せるかは製品別の規則で定まります。見えなかった情報がつながれば、循環できる製品を選ぶ道も開けます。
(2)DPPの本質は「情報を回して循環を支える制度」
循環経済が進まない最大の理由は、製品や素材に関する情報が不足していることです。製品に何が含まれているのか、どのように分解すればよいのか、どの素材が使われているのかもわからない。これでは、回収しても再利用も再資源化も成立しません。
つまり循環経済を成立させるには、モノを回す前に情報を回さなければならないのです。DPPは、こうした情報不足を埋める仕組みです。ESPRでは、製品群ごとの規則によってDPPが要求された場合、対象製品について、DPPの利用が市場投入等の要件となります。モノを回す前に情報を回す。そのための基盤がDPPです。
(3)DPPは「企業の信用」を可視化する仕組み
DPPが企業に問うのは、「製品について何をデータで示せるか」です。これまで企業は、環境配慮について「取り組んでいます」と説明し、報告書を出し、方針を掲げることで一定の評価を得ることができました。しかしDPPの時代になると、企業は「証拠となるデータ」を提示できなければ信頼を得られません。
循環経済では、口先よりも証明が求められます。DPPは企業を採点する制度ではありませんが、情報の確かさが取引先や消費者の信頼を左右します。
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