総務の引き出し(労務管理)
出張時の移動や健康診断の時間は認められる? 「労働時間」に該当するか否かを判断する3つの基準
いちご社会保険労務士事務所 代表 岡田 和大
最終更新日:
2025年04月16日
「始業の前に作業着に着替えてもらっている」「所定労働時間外に会社の指示や暗黙の了解でやることが当たり前になっている作業がある」――。慣習になり、当たり前になっていると、労働時間か否かに気が付きにくいものです。「それは労働時間に含める必要があるのでは?」と指摘されて気が付くこともあります。今回は、労働時間について確認してみます。
そもそも労働時間とは? 労働時間と認められる判断基準は?
労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を指します。これは、「労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるものではない」(平12.3.9 三菱重工長崎造船所事件最高裁判決)とした判例により労働時間の概念が確立されています。よって、労働契約などで定めた時間に対してではなく、実際に労働した時間に対して使用者は賃金を支払う必要があります。
使用者の明示または黙示の指示により業務に従事する時間だけではなく、使用者の明示または黙示の指示に基づき、参加等が事実上強制されている時間なども労働時間に含まれます。これらは、就業規則などの定めによらず、客観的に見て労働者の行為が使用者から義務付けられたものといえるかなどにより個別に判断されるものです。よって、明確な定義がなされているわけではありません。実際、労働時間と認められるかどうかの判断は次のような基準で考えてみると良いでしょう。
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