『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「福利厚生についての調査」を実施し、231人から回答を得た。
- 調査結果 概要
- 福利厚生導入の目的は「離職率の低下」が最多
- 総務が利用促進したい福利厚生は「両立支援(育児・介護)」「リスキリング・キャリア開発」「ウェルビーイング・健康経営」
- 利用率の高い福利厚生は「休暇」「両立支援(育児・介護)」「余暇・レクリエーション」
- 総務が利用を推奨する福利厚生と実際の利用率にギャップ
- 約3割が福利厚生の見直しを行っていない
- 福利厚生の見直し理由は「働き方の変化」「社会情勢の変化」など
- 福利厚生制度の満足度やニーズは「従業員アンケート」で把握
- 福利厚生制度の利用促進方法は「イントラネットや社内報での周知」が最多
- 過去3年の法定外福利費の予算は半数以上が「変わらない」
- 福利厚生の導入における課題は「コストの増大」「利用制度の偏り」「利用率の低さ」
福利厚生導入の目的は「離職率の低下」が最多
福利厚生を導入する目的について尋ねたところ、70.1%が「離職率の低下」を挙げ、次いで「採用力の向上」が56.7%、「企業イメージの向上」が47.2%と続いた(n=231)。企業が福利厚生を通じて、従業員の定着率や採用活動への影響を重視していることがわかった。
総務が利用促進したい福利厚生は「両立支援(育児・介護)」「リスキリング・キャリア開発」「ウェルビーイング・健康経営」
総務として利用を推奨したい福利厚生制度について尋ねたところ、「両立支援(育児・介護)」が34.2%で最多となりました。続いて「リスキリング・キャリア開発」が29.4%、「ウェルビーイング・健康経営」が26.8%と続いた(n=231)。総務として、従業員の生活やキャリアをサポートする取り組みが重視されていることがうかがえる。
利用率の高い福利厚生は「休暇」「両立支援(育児・介護)」「余暇・レクリエーション」
利用率の高い福利厚生制度については、「休暇」が32.5%で最も多く、「両立支援(育児・介護)」が30.7%、「余暇・レクリエーション」が24.7%と続いた(n=231)。従業員は時間的なゆとりを重視する傾向がうかがえる。
約3割が福利厚生の見直しを行っていない
福利厚生制度の見直し頻度について尋ねたところ、「毎年」見直している企業が23.8%で最も多く、続いて「2〜3年に一度」が20.3%、「4〜5年に一度」が19.9%となった。一方で、「見直しをしていない」と回答した企業は29.0%で、見直しを行っていない企業も一定数存在していることがうかがえる(n=231)。
福利厚生の見直し理由は「働き方の変化」「社会情勢の変化」など
福利厚生制度の見直しのきっかけは、「働き方の変化」が61.0%で最多、次いで「社会情勢の変化」が51.2%、「従業員からの要望」が46.3%と続いた(n=164/福利厚生の見直しを行っている企業)。近年のリモートワーク普及などが見直しに影響していると考えられる。
福利厚生制度の満足度やニーズは「従業員アンケート」で把握
福利厚生制度の満足度やニーズの把握方法は、「従業員アンケート」が45.5%で最も多く、次いで「利用率の分析」が35.9%、「1on1」が13.9%と続いた(n=231)。
- 従業員アンケート:45.5%
- 利用率の分析:35.9%
- 1on1:13.9%
- 把握できていない:31.2%
福利厚生制度の利用促進方法は「イントラネットや社内報での周知」が最多
福利厚生制度の利用促進に向けた取り組みについては、「イントラネットや社内報での周知」が45.9%で最多、次いで「全社会議での周知」が33.8%、「チャットツールでの周知」が23.4%と続いた(n=231)。
過去3年の法定外福利費の予算は半数以上が「変わらない」
過去3年間の法定外福利費の予算の変化について尋ねたところ、55.4%が「変わらない」と回答し、次いで34.6%が「増加した」と答えた(n=231)。一方、「減少した」と答えた企業は10.0%にとどまった。
福利厚生の導入における課題は「コストの増大」「利用制度の偏り」「利用率の低さ」
福利厚生制度の導入や運用において直面している課題として、「コストの増大」が45.9%で最も多く挙げられた。次いで「利用制度の偏り」が36.8%、「利用率の低さ」が34.2%、と、福利厚生の効果的な運用にはコスト面や利用状況に課題があることが明らかとなった(n=231)。
総評
今回の調査結果から、福利厚生制度が企業の人材戦略において重要な要素となっていることが明らかとなった。利用を促進したい施策としては「両立支援(育児・介護)」「リスキリング・キャリア開発」「自己啓発」が上位に挙がっており、かつて主流だった「余暇・レクリエーション」「住宅」といった、いわゆる「ハコモノ」から従業員のライフスタイルに合わせた「ヒトモノ」にシフトしている。特に両立支援は利用率も高く、今後注力する企業が増えるだろう。
さらに、福利厚生制度におけるコストの増大や利用率の偏りが課題として挙げられており、持続的な制度運用を目指すためには、コスト面での最適化と従業員ニーズに即した施策の見直しが不可欠となる。総務がコンダクターとなり、経営の意図や従業員のニーズを吸い上げてバランスの良い制度設計をすることで、従業員の満足度と生産性の向上が期待され、企業の成長を支える重要な基盤となるだろう。
【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2024年8月7日〜2024年8月19日
■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
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