7割の企業がファンづくりの必要性を実感するも、約半数が未着手。

月刊総務オンライン編集部
最終更新日:
2026年01月13日
次世代向けファンづくりの主目的は「将来の採用」(2)

『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「企業のファンづくりに関する調査」を実施し、157人から回答を得た。

  1. 調査結果 概要

7割以上がファンづくりの必要性を実感。意識と行動の実態にギャップあり

会社としてファンづくりに取り組む必要性を感じているか尋ねたところ、「とても感じている」が34.4%、「やや感じている」が38.2%となり、7割以上が必要性を認識していることがわかった。一方で、実際の取り組み状況では未着手の企業も多く、意識と行動の間にギャップがある構図が浮き彫りとなっている(n=157)。

グラフ1

企業の約半数がファンづくりに未着手、取り組みはまだ過渡期

会社としてファンづくりに取り組んでいるか尋ねたところ、「積極的に取り組んでいる」が21.0%、「少し取り組んでいる」が33.8%となった。一方で、「全く取り組んでいない」は45.2%に上った(n=157)。

グラフ2

ファンづくりの目的は「信頼」「採用」「ブランド価値」、中長期視点が中心

会社としてファンづくりに取り組む理由を尋ねたところ、「顧客・地域からの信頼向上のため」が66.3%で最も多く、「採用力の向上のため」と「企業ブランド価値の向上のため」がともに59.3%と続いた。短期的な売上よりも、信頼や人材確保といった中長期的価値を重視する姿勢が見られる(n=86/ファンづくりに取り組んでいる企業)。

グラフ3

顧客・地域・次世代まで、ファンづくりの対象は多層化

ファンづくりで意識している層を尋ねたところ、「顧客・取引先」が55.8%で最多となり、「地域住民」が48.8%、「大学生など就職を控えた世代」が46.5%と続いた。将来の担い手となる若年層まで視野に入れた動きが見られる(n=86/ファンづくりに取り組んでいる企業)。

グラフ4

情報発信と社会貢献がファンづくりの主軸に

ファンづくりのために実施している取り組みを尋ねたところ、「SNSや自社サイトなどでの情報発信」が55.8%、「社会貢献・環境活動への参加・発信」が51.2%、「イベント・展示会の開催・出展」が46.5%となった(n=86/ファンづくりに取り組んでいる企業)。

グラフ5

<その他、独自の取り組み/一部抜粋>

  • 社員食堂の一般開放。
  • 地元の企業とのコラボを通じて自社ブランドの知名度をアップする。
  • 自社の駐車場に毎月一回キッチンカーを呼んで地域住民と従業員との交流の場にしている。
  • ファンや社員が、「10年後の会社はどうなっていてほしいか」「そのために自分は何を貢献したいか」という手紙や動画を作成し、厳重に封印したタイムカプセルに保管する。カプセルは会社の歴史的な場所に展示し、10年後に開封イベントを大々的に実施。
  • 通常よりお得感を感じてもらうための、会員制度の活用。
  • 特に理系女子向け見学会・DEI他社交流勉強会などDEI推進を意識した取り組み。

未実施の理由は優先順位とリソース不足

ファンづくりに取り組んでいない理由を尋ねたところ、「優先順位が低い」が38.0%、「リソース(人員・時間)が足りない」が36.6%、「必要性を感じていない」が36.6%となった。必要性の認識と実務上の制約の間にギャップが生じていることがうかがえる(n=71/ファンづくりに取りくんでいない企業)。

  • 優先順位が低い:38.0%
  • リソース(人員・時間)が足りない:36.6%/li>
  • 必要性を感じていない:36.6%
  • 明確な目的や効果が見えにくい:35.2%
  • 経営層の理解が得られない:23.9%
  • その他:7.0%

ファンづくり実施企業の約6割が次世代向け施策に着手、検討段階も多い

特に次世代を意識した取り組みを行っているか尋ねたところ、「積極的に取り組んでいる」が22.1%、「少し取り組んでいる」が37.2%となった。一方で、「取り組んでいないが、今後検討したい」も36.0%を占め、模索段階の企業が多い状況だ(n=86/ファンづくりに取り組んでいる企業)。

グラフ6

<次世代向けファンづくりの取り組み内容/一部抜粋>

  • 地元小学校等からの工場見学を積極的に受け入れ。
  • スポーツチームのスポンサー。
  • SNSで企業での活動内容の他、従業員の日常や代表取締役をマスコット的存在にして発信し、親しみやすさをアピールしている。
  • 若者のインフルエンサーとのコラボや「ファン投稿のシェア」。
  • 学校への出前授業の実施。
  • 子ども・学生が参加できるワークショップや体験会の開催。

<次世代向けファンづくりの取り組みについて、工夫していることや難しさを感じること/一部抜粋>

  • 子ども記者や学生アンバサダー制度を設け、自分ごと化させる。
  • 自社や製品のPRにフォーカスしないこと
  • その先も持続させるためのチャネル等の開拓手法

次世代向けファンづくりの主目的は「将来の採用」

次世代向けファンづくりを行う目的を尋ねたところ、「将来的な採用・人材確保につなげるため」が72.5%で最多となった。次いで「自社や業界への理解を深めてもらうため」が62.7%となり、人材戦略と認知向上の側面が強く表れている(n=51/次世代を意識したファンづくりに取り組んでいる企業)。

グラフ7

認知度向上や地域との関係強化に一定の効果

次世代向けファンづくりの効果を尋ねたところ、「企業認知度の向上」が74.5%、「地域社会との関係強化」が56.9%となった。一方で、採用への直接的な効果は限定的で、長期的視点での評価が求められる(n=51/次世代を意識したファンづくりに取り組んでいる企業)。

グラフ8

次世代施策も最大の壁は人員不足

次世代向けファンづくりに取り組んでいない理由を尋ねたところ、「リソース(人員・時間)が足りない」が65.7%で最多となった。目的や効果の不明確さも、着手を妨げる要因となっている(n=35/次世代を意識したファンづくりに取り組んでいない企業)。

  • リソース(人員・時間)が足りない:65.7%
  • 明確な目的や効果が見えにくい:45.7%
  • 優先順位が低い:42.9%
  • 経営層の理解が得られない:11.4%
  • 必要性を感じていない:2.9%

ファンづくり全体の課題は「リソース不足」と「効果測定」

ファンづくりを進める上での課題を尋ねたところ、「リソース(人員・時間)が不足している」と「効果を測定しにくい」がともに51.2%で最多となった(n=86/ファンづくりに取り組んでいる企業)。

グラフ9

社内巻き込みは情報共有と参加型が鍵

社内の巻き込みで工夫していることを尋ねたところ、「社内報や社内SNSなどによる情報発信・共有」が50.0%で最多となった。社員を初期段階から関与させる工夫も一定数見られる(n=86/ファンづくりに取り組んでいる企業)。

グラフ10

<社内の巻き込みについての悩み/一部抜粋>

  • 新しいことを始めるときの反発が強く、なかなか理解を得られない。
  • 時間内であっても報酬を望まれて巻き込み切れていない。
  • 社員自らの働きかけを希望した制度を試作運用したが、実態としてぼんやりとした活動に終始してしまった。

<社内の巻き込みで工夫していること/一部抜粋>

  • 健康に関するニュースペーパーを通行回数の多い社員通用口に掲示することで反応は良い。
  • 企画・開発・経理など、普段お客様と接しない部署の社員が、営業やカスタマーサポートの業務を体験したり、ファン交流イベントにスタッフとして参加したりする機会を制度化している

専任・兼任体制は限定的で、担当者未定の企業が半数近くを占める構図

ファンづくりの専任または兼任チームの有無を尋ねたところ、「専任チームがある」は9.3%にとどまり、「決まった担当者はいない」が48.8%となった(n=86/ファンづくりに取り組んでいる企業)。

グラフ11

次世代ほどSNS活用が限定的、チャネル選定は模索の段階か

ファンづくりのために各ターゲット層に向けて使用しているSNSを尋ねたところ、大学生など就職を控えた世代では「Instagram」と「YouTube」がともに31.3%と比較的高く、求職者・転職希望者でも「YouTube」が31.3%、「Instagram」が29.2%となった。一方で、小学生など子供世代やアルムナイでは「あてはまるものはない」が6割を超えており、ターゲットによってSNS活用が十分に行き届いていない状況がうかがえる(n=48/SNSや自社サイトなどでの情報発信をしている企業)。

グラフ12

<SNSの運用で難しさを感じていること/一部抜粋>

  • いかに閲覧数を増やすか
  • 掲載する内容の判断
  • どの周知方法を利用してどのように展開していくか

総評

今回の調査からは、企業におけるファンづくりは、その重要性が広く認識され始めている一方で、実行・定着のフェーズにはまだ至っていないことが明らかとなった。信頼構築や採用力強化、ブランド価値向上といった目的があるものの、リソース不足や効果測定の難しさ、体制未整備が取り組みを限定的なものにしている。

総務部門には、ファンづくりを「広報」や「CSR」の延長として捉えるのではなく、経営戦略や人材戦略と接続し、目的や指標を整理する役割が期待される。ファンづくりは目的ではなく手段であり、その先にある組織の持続的成長をいかに構想し、経営と接続できるかが、これからの総務に求められる視座となっていくだろう。


【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2025年11月5日〜2025年11月13日

■調査結果の引用時のお願い
本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

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