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『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「2026年の総務についての調査」を実施し、174人から回答を得た。
- 調査結果 概要
- 2025年に総務が力を入れたテーマ1位は「コンプライアンス」、2026年に力を入れたいテーマ1位は「社内コミュニケーション」
- 半数以上の総務が、仕事を正当に評価されていると実感。2023年の調査より22.5ポイント増加
- 約8割の総務が、経営判断において「総務の影響力がある」と回答。前回調査より10.5ポイント増加
- 9割以上の総務が経営判断が必要な提案を実施
- 総務の現状は「なんでも屋」、目指す姿は「経営の参謀」「プロフェッショナル集団」
- 総務の業務量は増加傾向に
- 9割以上が、2026年は総務におけるAI活用を促進したい意向
- AI化できる総務の業務は「全体の4分の1程度」との見解が多数
- 9割がAIの進化で総務の仕事がおもしろくなると期待
2025年に総務が力を入れたテーマ1位は「コンプライアンス」、2026年に力を入れたいテーマ1位は「社内コミュニケーション」
2026年に総務として力を入れたいテーマについて尋ねたところ、「社内コミュニケーション」が40.8%で最も多く、「DX」が30.5%、「コンプライアンス」が28.7%と続いた。一方で、2025年に総務として力を入れたテーマについて尋ねたところ、「コンプライアンス」が35.6%で最も多く、「DX」が32.8%、「社内コミュニケーション」が29.9%と続いた(n=174)。

<その他、2026年に総務として力を入れたいテーマ/一部抜粋>
- ABWを目指した会議室作り
- 取締役会・株主総会のシステム化
- 生成AIを活用した業務効率化
- 業務マニュアルの充実化
- BCP策定
- インナーブランディング充実による社員エンゲージメント強化
- 中期計画作成への関与
半数以上の総務が、仕事を正当に評価されていると実感。2023年の調査より22.5ポイント増加
総務の仕事は正当に評価されていると思うか尋ねたところ、「とても評価されている」と「やや評価されている」が合わせて52.3%で、半数以上の総務が評価されていると感じていることがわかった。2023年2月の調査時よりも、評価されている実感を持てている総務が22.5ポイント増加した(n=174)。

<総務の仕事がもっと評価されるにはどうしたらよいと思うか/一部抜粋>
- 業務を数値で定量化する
- 総務から、成果や価値を発信する。横串を入れる仕事に力を注ぐ
- 受け身の仕事ではなく、総務から発信して「動かせる」仕事を増やす
- 評価をする経営陣に総務出身者が入る
- 「戦略総務」思考の浸透拡大
- 与えられた仕事だけではなく、より良くなる発言を積極的にする
約8割の総務が、経営判断において「総務の影響力がある」と回答。前回調査より10.5ポイント増加
経営判断において総務の影響力があると思うか尋ねたところ、「影響がある」と回答した人は75.3%で、2025年4月の調査と比較すると、影響があると回答した人が増加した(n=174)。

9割以上の総務が経営判断が必要な提案を実施
総務から経営判断が必要な提案をしているか尋ねたところ、53.5%が自発的な提案を行っていると回答した。「全く提案していない」は4%にとどまり、9割以上の総務が何かしら経営判断が必要な提案を行っていることがわかった(n=174)。

<提案したものはどのくらい採用されていますか(n=149)>
- 0%:1.3%
- 1〜25%:31.5%
- 26〜50%:43.6%
- 51~75%:20.1%
- 76~100%:3.4%
<過去に提案した内容/一部抜粋>
- BCPの策定
- オフィスのフリーアドレス
- フルフレックスタイム制の導入
- 役員株式報酬制度
- 社有車のリース化
- 情報セキュリティ対策の強化
- 生成AIの社内への導入と活用
総務の現状は「なんでも屋」、目指す姿は「経営の参謀」「プロフェッショナル集団」
今の総務は会社にとってどういう立場だと思うか尋ねたところ、「なんでも屋」が62.1%で最多となった。加えて、2030年に総務は会社にとってどういう立場になっていたいか尋ねたところ、「経営の参謀」と「プロフェッショナル集団」が多く、現状の認識および目指す姿は、2023年の調査から傾向が変わっていないことがわかった(n=174)。

<総務は他部署からどんなイメージを持たれているか/一部抜粋>
- どこの部署にも所属しない仕事をやる
- 困ったときに相談する相手
- ルールに厳しく口うるさい
- 何をしているのかよくわからないが、いろいろとやっている
<他部署から見る総務と実態にギャップがあると思うこと/一部抜粋>
- 時間と労力も余裕があると思われているが、実際はマンパワー不足である。
- 総合的な能力がないとできないが、そうは見られないところ。
- 当たり前のことを当たり前にやることが大前提なため、評価はされにくい。ただしやらなければならない業務が多い。
- 実際には改善提案もしているが、定例業務だけに終始していると思われている。
- ルーチンワークと思われているが、業務関連の法令改正も多く、結構勉強が必要。
総務の業務量は増加傾向に
2024年の業務量と比較して、2025年の業務量に変化があったか尋ねたところ、37.9%が「変わらない」、39.7%が「やや増加」、10.3%が「大幅に増加」と回答した(n=174)。

<2025年に増えた業務/一部抜粋>
- コンプライアンス体制の構築に関連する業務
- ISMS、健康経営優良企業などの認証取得、更新
- 下請法の対応
- 電子帳簿保存、税制改正
- カーボンニュートラル
<2025年に減った業務/一部抜粋>
- 福利厚生が削られたため、その分の対応が減った
- 感染症対策
- 郵便の開封作業(請求書受け取りシステムを導入)
9割以上が、2026年は総務におけるAI活用を促進したい意向
2026年は、総務におけるAI活用を促進したいと思うか尋ねたところ、9割以上が「促進したい」と回答した(n=174)。

<促進したい理由/一部抜粋>
- コミュニケーションを優先したいから。
- 事務作業の一部を自動化したいから。
- 人的ミスの削減のため。
<促進したくない理由/一部抜粋>
- まだ実感が湧きませんし、業界のやり方が追いついていないとも思います。
- 適切なトレーニングを受けていない社員がAIを活用しても、誤った情報を扱うことになるため。
- 自己判断がおろそかになりかねないため。
<活用したい業務/一部抜粋>
- 法改正に伴う規程類の変更処理
- 社内FAQ作成
- 固定資産を含む資産管理
- リーガルチェック
- 官公庁届出業務
AI化できる総務の業務は「全体の4分の1程度」との見解が多数
現在の業務のうち、どのくらいのことをAIで代替できると思うか尋ねたところ、半数が「1~25%」と回答した(n=174)。

9割がAIの進化で総務の仕事がおもしろくなると期待
AIの進化により、総務の仕事はどう変わると思うか尋ねたところ、約9割がおもしろくなると回答した(n=174)。

<おもしろくなると思う理由/一部抜粋>
- 業務改善・新規企画案等の時間を増やすことができるから。
- 劇的に仕事量が減り、現在出来ていない分野にリソースを置くことができるため。
- 人でなければできない業務の価値が高められるため。
- 初回トライが素早く実行できるため。
<つまらなくなると思う理由/一部抜粋>
- 安易なAI活用は知恵や工夫をする機会を奪い、その人なりの工夫をこらした経験を知ることができないため。
- 工数が逆に増えると思うから。
- 生産性が向上しても給与や評価アップにはつながらないから。
総評
今回の調査からは、2026年を見据えた総務部門の役割が、従来の「管理・運用中心」から、「組織変革を支える中核機能」へと確実に移行しつつある姿が読み取れる。業務量の増加や人手不足といった構造的な課題を抱えながらも、総務自身がAIの活用を含む、DXや業務の再設計に主体的に向き合おうとする意識が広がっている点は、大きな変化といえるだろう。
その一方で、AIやDXに「期待」は寄せられているものの、具体的な活用や業務変革まで踏み込んでいる企業はまだ限定的であり、総務部門が担う役割や意思決定の範囲についても模索段階にあることがうかがえる。日々の実務対応に追われる中で、将来を見据えた設計や投資に十分な時間を割けていない現状は、多くの企業に共通する課題といえるだろう。
総務部門は「何でも屋」ではなく、組織全体を俯瞰し、データと現場感覚の両方をもとに意思決定を支える存在へと進化していく必要がある。AIやDXは目的ではなく手段であり、それらをどう使い、どの業務を変え、何を人が担うのかを見極めることこそが、これからの総務に求められる本質的な役割だ。2026年に向けて、総務が組織の「変わり方」を設計できるかどうかが、企業全体の持続的な成長を左右するといえるだろう。
【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2025年10月6日〜2025年10月14日
■調査結果の引用時のお願い
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例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など
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