『月刊総務』調査

7割超の企業が朝礼を実施。形骸化対策をしていない企業が3割を超え、制度疲労の懸念高まる

月刊総務オンライン編集部
最終更新日:
2026年03月11日
コロナ禍以降も運用見直し進まず、朝礼の目的再設計が課題-(1)

『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「朝礼についての調査」を実施し、287人から回答を得た。

  1. 調査結果 概要

約7割が現在も実施、朝礼文化は依然として主流

現在、社内で定例の「朝礼・中礼・終礼(以下、朝礼等)」を実施しているかを尋ねたところ、「現在実施している」が70.4%、「現在は実施していないが過去に実施していた」が17.1%、「これまで一度も実施していない」が12.5%となり、多くの企業で朝礼が継続されている状況が明らかとなった(n=287)。

グラフ1

また、テレワークの実施状況との関連をみると、テレワークを実施していない企業や、ハイブリッドワークを導入している企業など、出社率が高いほど、朝礼等を実施している割合が多いことがわかった(n=287)。

グラフ2

実施時間は始業前後に集中、9割超が朝に実施

朝礼等を現在実施している企業に対し、実施している時間帯を尋ねたところ、「朝(始業前・始業直後)」が94.6%、「夕方(終礼・夕会)」が18.3%、「昼(中礼・昼会)」が8.4%となり、朝時間帯への集中が顕著となった(n=202)。

  • 朝(始業前・始業直後):94.6%
  • 昼(中礼・昼会):8.4%
  • 夕方(終礼・夕会):18.3%
  • オンデマンド(録画など):1.5%
  • その他:3.0%
  • 時間帯は固定していない:0.5%

<そのほか、実施するタイミングや内容で決まっていること/一部抜粋>

  • 年始、4/1・10/1のみ
  • 本社は毎日ラジオ体操をしてから朝礼を行う
  • 毎日始業前にパーパス等の唱和と一斉体操を行っている

部署単位では高頻度、全社一斉は不定期化傾向

朝礼等を現在実施している企業に対し、実施対象と頻度を尋ねたところ、部署単位では「毎営業日」が52.0%と過半数を占める一方、全社一斉では「実施していない」が41.1%と最も多く、組織単位によって運用頻度に差が見られた(n=202)。

グラフ3

<その他実施対象/一部抜粋>

  • プロジェクトのチームごとに実施
  • シフト勤務のため、内勤勤務者と指定したシフト勤務従事者および出席可能な社員が出席
  • 新入社員入社時にオンボーディング卒業まで定期的な実施

所要時間は5〜10分が中心、短時間化が進行

朝礼等を現在実施している企業に対し、1回あたりの所要時間を尋ねたところ、「5〜10分程度」が44.1%、「5分未満」が26.2%、「30分程度」が14.9%となり、短時間型が主流となっている(n=202)。
※ 実施回によって異なる場合は、最も多いものを選択

  • 5分未満:26.2%
  • 5〜10分程度:44.1%
  • 15分程度:11.9%
  • 30分程度:14.9%
  • 1時間以上:2.0%
  • その他:1.0%

対面主体ながら3割がハイブリッド運用

朝礼等を現在実施している企業に対し、実施形態を尋ねたところ、「対面」が69.8%、「対面とオンラインの併用」が31.2%、「オンライン」が13.4%となり、対面を軸としつつ一部でハイブリッド実施されていることがわかった(n=202)。

グラフ4

9割がコロナ以前から継続、慣行的運用が中心

朝礼等を現在実施している企業に対し、開始時期を尋ねたところ、「コロナ禍以前から実施している」が90.1%、「コロナ禍をきっかけに開始した」が5.0%、「コロナ禍以降に新たに開始した」が5.0%となり、従来からの慣行として継続している企業が大半を占めた(n=202)。

  • コロナ禍以前から実施している:90.1%
  • コロナ禍をきっかけに開始した:5.0%
  • コロナ禍以降に新たに開始した:5.0%

目的は情報共有に集中、理念浸透は限定的

朝礼等を現在実施している企業に対し、主な実施目的を尋ねたところ、「情報共有・全体周知」が90.6%、「業務・タスクの確認」が52.0%、「組織の一体感・連帯感の醸成」が40.6%となり、情報伝達機能に重きを置いていることがわかった(n=202)。

グラフ5

内容は業務連絡が中心、対話型要素は一部にとどまる

朝礼等を現在実施している企業に対し、実施している内容を尋ねたところ、「業務連絡・共有事項の伝達」が93.1%、「タスクやスケジュールの確認」が61.4%、「新しいルール・注意事項の周知」が55.9%となり、連絡・確認型の運用が中心であることがわかった(n=202)。

グラフ6

テレワーク下では「接続機能」への期待が高まる

テレワークを実施している企業に対し、テレワーク環境において朝礼等はどのような役割を果たすと思うかを尋ねたところ、「情報共有・全体周知」が66.9%、「コミュニケーションの活性化」が49.2%、「業務・タスクの確認」が46.4%となり、分散環境における接続機能としての期待がうかがる(n=181)。

グラフ7

形骸化防止策は二極化、3割超は未対策

朝礼等を現在実施している企業に対し、形骸化しないために工夫していることを尋ねたところ、「司会や担当を持ち回りにしている」が44.1%、「社員の発言機会を増やしている」が20.8%、「雑談やライトな話題を取り入れている」が18.8%となる一方、「特に工夫はしていない」が32.7%で、対応に差が見られた(n=202)。

グラフ8

約6割がコロナ以降も見直し未実施、運用面の停滞が課題に

朝礼等を現在実施している企業に対し、コロナ禍以降に実施方法や目的を見直したかを尋ねたところ、「見直していない」が59.4%、「一部見直した」が30.7%、「見直し、改善した」が9.9%となり、変化の激しい環境下においても、見直しや改善が進んでいない実態が明らかとなった(n=202)。

グラフ9

<見直した内容/一部抜粋>

  • 一斉に読んでいた理念は担当だけが読む形に変更
  • 時間や担当発表者のテーマ内容などを定期的に変えてます
  • 全社員オンラインに変更した

未実施・中止理由は「必要性を感じない」「形骸化」が上位、価値の再定義が課題

現在実施していない、または中止した企業に対しその理由を尋ねたところ、「必要性を感じなかった」と「形骸化・マンネリ化したため」がそれぞれ34.1%となり、実施する意義そのものへの疑問が背景にあることがわかった(n=85)。

グラフ10

<その他、実施していない理由/一部抜粋>

  • フレックスタイム制なので出勤時間と退勤時間がバラバラのため
  • 移転により職場環境および出社状況が変わったため
  • コロナが発生した時、集合することを辞め、それ以降復活させていないため。
  • ICT化が進み情報共有はICTで可能なため

総評

本調査からは、日本企業における朝礼文化が依然として根強く残っている実態が明らかとなった。一方で、その運用は情報共有に偏重しており、理念浸透や組織対話といった機能は限定的だ。

特に注目すべきは、コロナ禍という大きな環境変化を経ても6割が見直しを行っていない点だ。特にテレワーク下では、朝礼には離れた社員をつなぐ「接続装置」としての役割が期待されているにもかかわらず、設計思想は従来型のままという「運用の固定化」が浮き彫りとなった。

また、形骸化を理由に中止した企業も一定数存在する。実施企業の3割超が特段の工夫をしていない現状は、制度疲労の兆しといえるかもしれない。朝礼は「続けること」自体が目的化すると、その効果は著しく低減する。

朝礼は工夫次第で、組織文化の醸成、社員同士のコミュニケーション向上、社員教育など、さまざまな効果を生むことができる場となる。総務はその設計者として、目的の再定義と運用の再構築を担う存在だ。朝礼を「やるか、やらないか」ではなく、「何のために実施するか」。その問い直しこそが、これからの総務に求められる視点といえるだろう。


【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2026年1月14日〜2026年1月21日

■調査結果の引用時のお願い
本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

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