『月刊総務』調査

75%がZ世代社員のマネジメントに難しさを実感。主体性や責任感の弱さなどへの不満が高まる

月刊総務オンライン編集部
最終更新日:
2025年10月08日

『月刊総務』は、全国の総務担当者147人を対象に、「Z世代(若手社員)の育成に関する調査」を実施した。

  1. 調査結果 概要

前回調査(2022年11月):Z世代のマネジメントは「難しい」の回答が半数以上。「ハラスメント扱いされる」といった悩みも

75%がZ世代社員のマネジメントに難しさを実感

Z世代社員のマネジメントに難しさを感じるか尋ねたところ、「とても感じる」が26.5%で、前回調査より18.3ポイント増加した。「とても感じる」と「やや感じる」を合わせると75.0%で、7割以上がZ世代社員のマネジメントへの難しさを感じていることがわかった(n=136/Z世代の人材を採用している企業)。

<難しさを感じること/一部抜粋>

  • 価値観が違いすぎて、何を考えているのかつかみづらい。
  • コロナ禍を経たためか、コミュニケーション能力に難がある。
  • 自分は正しい、失敗したくない、正解だけ知りたい、という気持ちが非常に強いように感じる。そのため正解がない仕事は絶対やりたくないというような防御姿勢が強く、全体として経験を積ませられない。
  • なにがモチベーションなのかわからない。
  • ハラスメントの問題で指導等も難しく感じる。

Z世代社員の価値観の特徴は「ワーク・ライフ・バランス重視」など、働き方へのこだわりが上位に

Z世代社員の価値観の特徴について尋ねたところ、「ワーク・ライフ・バランス重視である」が最多となり、「効率重視である」「フレキシブルな勤務体制を重視する」が続いた。社会貢献志向は前回調査では「とてもあてはまる」が27.9%だったのに対し、今回は14.7%で13.2ポイント減となった。

また、仕事内容へのこだわりも、前回調査では「とてもあてはまる」が36.1%だったのに対し、今回は27.2%で8.9ポイント減となった(n=136/Z世代の人材を採用している企業)。

<前回結果/2022年11月(n=61)>

とてもあてはまる ややあてはまる 全くあてはまらない
ワーク・ライフ・バランス重視である 78.7% 18.0% 3.3%
フレキシブルな勤務体制を重視する 50.8% 36.1% 13.1%
効率重視である 47.5% 42.6% 9.8%
仕事内容へのこだわりがある 36.1% 49.2% 14.8%
成長意欲がある 32.8% 47.5% 19.7%
社会貢献志向がある 27.9% 54.1% 18.0%
成果重視である 13.1% 57.4% 29.5%
キャリアアップ(昇進)の意欲がある 9.8% 49.2% 41.%
実力主義である 8.2% 60.7% 31.1%

Z世代社員のスキルの特徴は「デジタルリテラシーが高い」

Z世代社員のスキルの特徴について尋ねたところ、「デジタルリテラシーが高い」57.4%で最多となった(n=136/Z世代の人材を採用している企業)。

コロナ禍後に入社した層の方が、「プライベート重視」「コミュニケーションが苦手」な傾向との声が多数

コロナ禍前入社とコロナ禍後の入社で、Z世代社員の仕事観や姿勢に違いを感じるか尋ねたところ、約半数が違いを感じると回答した(n=136/Z世代の人材を採用している企業)。

<違いを感じること/一部抜粋>

  • プライベートをさらに重視するようになった。
  • 特に対リアルコミュニケーションが非常に苦手になったように見受けられる。
  • 学生時代にリアルでの交流が少なかったせいか、社内イベント等への参加率が低い。

Z世代社員が会社に期待するのは「ワーク・ライフ・バランス」

Z世代社員がどんなことを会社に期待していると思うか尋ねたところ、「ワーク・ライフ・バランスの確保」が74.3%で最も多く、「給与や待遇の良さ」が66.2%、「働きやすい人間関係・組織風土」が47.1%と続いた(n=136/Z世代の人材を採用している企業)。

若手社員の成長支援施策、TOPは「OJT」

若手社員の成長支援として、会社で実施している取り組みについて尋ねたところ、「OJT」が63.3%で最も多く、「社内研修」が51.7%、「1on1ミーティング」が44.9%と続いた(n=147)。

企業がZ世代の育成で重視すること、1位「主体性」2位「チームでの協働力」3位「コミュニケーション力」

Z世代社員の育成において特に重視しているスキルについて尋ねたところ、「主体性」が61.8%で最も多く、「チームでの協働力」が51.5%、「コミュニケーション力」が44.1%と続いた(n=136/Z世代の人材を採用している企業)。

Z世代に期待することは「自主的に学び・動くこと」「新しいアイデアや発想を出すこと」「将来のリーダーとして成長すること」など

組織内において、Z世代に期待することについて尋ねたところ、「自主的に学び・動くこと」が59.6%で最も多く、「新しいアイデアや発想を出すこと」が43.4%、「将来のリーダーとして成長すること」が34.6%と続いた(n=136/Z世代の人材を採用している企業)。

Z世代への不満は「指示待ちな姿勢」「主体性や責任感の弱さ」「ルール・マナーの軽視」

Z世代について不満に感じる点について尋ねたところ、「指示待ちで受け身な姿勢が多い」が56.6%で最も多く、「主体性や責任感が弱い」が42.6%、「組織ルールやマナーを軽視しがち」が38.2%と続いた(n=136/Z世代の人材を採用している企業)。

Z世代との接し方で気をつけていることは「高圧的にならない」「プライベートに踏み込まない」「みんながいる前で叱らない」など

Z世代との接し方で気をつけていることについて尋ねたところ、「高圧的にならない」が65.4%で最も多く、「プライベートに踏み込まない」が61.0%、「みんながいる前で叱らない」が45.6%と続いた(n=136/Z世代の人材を採用している企業)。

<その他、Z世代との接し方で気をつけていること/一部抜粋>

  • 結果だけではなくなぜそうしたか手順を確認し改善点は効果も含め話す。
  • 皆の前で注意をせず、業務の目的・背景・意図などを伝える。
  • 自分の権利に敏感なので、とにかく平等に接すること。
  • 反応をつぶさに観察しながら間合いをとること。
  • 親近感をもってコミュニケーションを取らないように気を付けている

Z世代の育成で気をつけているのは「丁寧な説明」「安心できる雰囲気の醸成」「自分で考えさせる問いかけ」など

Z世代の育成で気をつけていることについて尋ねたところ、「指示の背景や目的も丁寧に説明する」が55.1%で最も多く、「失敗しても安心できる雰囲気をつくる」が39.0%、「自分で考えさせる問いかけを意識する」が36.0%と続いた(n=136/Z世代の人材を採用している企業)。

総評

今回の調査からは、多くの総務がZ世代の育成に課題を感じている実態が明らかとなった。特に「主体性がない」「受け身」といった指摘が目立ちますが、その背景には、管理職世代の「フィードバック不足」もあると考えられる。管理職層には、具体的かつ建設的なフィードバックを行うスキルが求められている。

また、Z世代は協働する力には長けている一方、自分から率先して動くことに苦手意識を持ちやすい傾向がある。そのためには、失敗を恐れず発言できる心理的安全性を高め、挑戦を促す環境設計が不可欠だ。管理職だけで若手を育成するのは難しく、周囲を巻き込みながら「みんなで育てる体制」を整えることが効果的だろう。

総務部門は、こうした取り組みを制度面・文化面から支える立場にある。Z世代の声を施策に反映し、安心して働ける基盤を整えることは、単なる若手育成にとどまらず、企業文化そのものをアップデートする契機となる。Z世代の存在を、組織を活性化させるポジティブな要素としてどう生かすか。その仕掛けづくりこそが、これからの総務に求められる重要な役割といえるだろう。


【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2025年8月1日〜2025年8月8日

■調査結果の引用時のお願い
本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など

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