『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「高齢者雇用についての調査」を実施し、234人から回答を得た。
- 調査結果 概要
- 8割以上の企業が高齢者雇用を実施
- 高年齢者雇用に関する制度として、7割以上が「再雇用制度」を導入
- 役職定年制度を導入している企業は約4割
- 再雇用時の賃金設定は「職務内容や責任に応じて設定」が最多
- 2025年の「65歳までの雇用確保」義務化の理解度は85.5%
- 約8割が「高年齢雇用継続給付」の縮小は今後の高齢者雇用施策に影響を与えると回答
- シニア人材に期待することは「即戦力としての経験・スキル」と「若手指導」が最多
- シニア人材の活躍における課題は「モチベーションの維持」が最多
- シニア人材が働きやすい職場環境を整えている企業は約3割に留まる
- 約8割がシニア人材の再雇用に前向きな姿勢を示す
- 再雇用を行う理由は「即戦力となるから」「企業文化への理解があるから」など
- 約6割の総務が、定年まで現在の会社で総務として働き続けたいと回答
8割以上の企業が高齢者雇用を実施
高齢者雇用を実施しているか尋ねたところ、「実施している」と回答した企業は83.3%に上った(n=234)。
<再雇用時の仕事内容 n=195/高齢者雇用を実施している方>
- 同じ仕事内容を担当している・担当することが多い:71.8%
- 一部変更された仕事内容を担当している:27.2%
- 全く異なる仕事内容を担当している:1.0%
高年齢者雇用に関する制度として、7割以上が「再雇用制度」を導入
現在導入している高年齢者雇用に関する制度について尋ねたところ、「再雇用制度」が71.4%で最も多く、次いで「定年延長による継続雇用」が47.4%と続いた(n=234)。
役職定年制度を導入している企業は約4割
役職定年制度の有無について尋ねたところ、「ある」と回答した企業は41.9%、「ない」と答えた企業は58.1%だった(n=234)。
再雇用時の賃金設定は「職務内容や責任に応じて設定」が最多
再雇用時の賃金設定について尋ねたところ、「職務内容や責任に応じて設定」が42.3%で最も多く、次いで「元の給与の一定割合で設定」が31.2%、「元の給与額のまま」が12.8%となった(n=234)。
2025年の「65歳までの雇用確保」義務化の理解度は85.5%
2025年に義務化される「65歳までの雇用確保」について尋ねたところ、「とても理解している」が47.0%、「やや理解している」が38.5%となり、合わせて85.5%の企業が理解していることがわかった(n=234)。
<2025年の「65歳までの雇用確保」義務化への準備状況 n=234>
- 準備が完了している:51.7%
- 一部準備中である:27.8%
- わからない:12.8%
- 全く準備していない:7.7%
<「65歳までの雇用確保」義務化に向けた対応内容 n=186/義務化に向けて準備している方>
- 雇用制度の見直し:64.0%
- 業務内容や役割の再設計:46.8%
- 人件費の調整策の検討:23.7%
- 社内研修や教育プログラムの実施:10.8%
- その他:3.8%
- 特に対応していない:14.0%
約8割が「高年齢雇用継続給付」の縮小は今後の高齢者雇用施策に影響を与えると回答
「高年齢雇用継続給付」の縮小が高年齢者雇用施策に与える影響について尋ねたところ、「とても与える」が34.2%、「やや与える」が44.4%と、約8割の企業が何らかの影響があると考えていることがわかった(n=234)。
シニア人材に期待することは「即戦力としての経験・スキル」と「若手指導」が最多
シニア人材に期待することについて尋ねたところ、「即戦力としての経験・スキル」と「若手社員への指導や知識の共有」がともに59.8%で最多、次いで「人材不足の解消」が56.0%、「業務継続性の向上」が44.4%と続いた(n=234)。
シニア人材の活躍における課題は「モチベーションの維持」が最多
シニア人材に活躍してもらう上での課題について尋ねたところ、「モチベーションの維持」が62.5%で最も多く、「若手とのコミュニケーションギャップ」が49.5%と続いた(n=216/高齢者雇用に関する制度を導入している企業)。
シニア人材が働きやすい職場環境を整えている企業は約3割に留まる
シニア人材が働きやすい職場環境をつくるための施策を行っているか尋ねたところ、「はい」と答えた企業は31.8%、「いいえ」と答えた企業は68.2%だった(n=195/高齢者雇用を実施している企業)。
約8割がシニア人材の再雇用に前向きな姿勢を示す
今後のシニア人材の再雇用に対する意向について尋ねたところ、「積極的に行いたい」と答えた企業は25.6%、「やや積極的に行いたい」が54.3%で、約8割が再雇用に前向きな姿勢を示した(n=234)。
再雇用を行う理由は「即戦力となるから」「企業文化への理解があるから」など
再雇用を積極的に行う理由について尋ねたところ、「即戦力となるから」が71.1%で最多、次いで「企業文化への理解があるから」が54.5%、「採用コストの削減につながるから」が27.3%と続いた(n=187/今後シニア人材の再雇用を積極的に行いたい企業)。
<再雇用したシニア人材の平均勤続年数>
- 1年未満:1.5%
- 1〜3年:19.0%
- 4〜5年:59.0%
- 6年以上:20.5%
<再雇用のきっかけ>
- 確認の機会が設けられている:61.0%
- 企業側から声をかけることが多い:25.6%
- 本人からの相談が多い:13.3%
約6割の総務が、定年まで現在の会社で総務として働き続けたいと回答
定年まで総務として働きたいと思うか尋ねたところ、約6割の総務が、定年まで現在の会社で総務として働き続けたいと回答した(n=234)。
総評
今回の調査結果から、シニア人材の雇用が企業の人材戦略において重要な役割を果たしていることが明らかとなった。多くの企業が再雇用を通じて「即戦力としての活用」や「若手指導」への期待を寄せる一方で、実際の職場ではモチベーションの維持やコミュニケーションギャップといった課題が顕在化している。シニア人材の活躍を促進するためには、単なる雇用延長ではなく、役割設計や人材育成の観点から総合的にマネジメントすることが求められる。
また、2025年の「65歳までの雇用確保」義務化に向け、多くの企業が制度の見直しを進めているが、特に「業務内容や役割の再設計」を実施する企業は5割未満にとどまっている。今後、シニア人材のパフォーマンスを最大化するためには、適切なジョブデザインの導入や、役割に応じた賃金体系の再構築が不可欠となる。さらに、組織内での世代間の知識継承を円滑にするための仕組みづくりも課題となるだろう。
【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2024年12月11日〜2024年12月18日
■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
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