『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「オフィスについての調査」を実施し、180人から回答を得た。
- 調査結果 概要
- この3年間で約半数がオフィスの見直しを実施
- 見直し内容はレイアウト変更が中心、移転などの拠点戦略より既存空間の見直しが進む
- リニューアル予定はレイアウト変更が最多、既存空間の見直しが軸
- リニューアル目的は「生産性向上」「コミュニケーション活性化」が上位に
- オフィス予算を「増やす」が2割、減額傾向は縮小
- 約8割が「オフィスは社内コミュニケーションの場」と回答、協働機能が上位に
- 重視する機能は「コミュニケーションスペース」が最多
- 会議室・個別ブースともに不足、オフィススペースの課題が広範囲に
- 会議室の使い方に課題、特定スペースへの偏りや固定化も
- 84.4%が「オフィスの方が生産性が高い」と回答、2021年調査より30.2ポイント
- 56.1%が出社率を高めたいと回答、過半数が出社回帰の意向
- 57.2%オフィス利用データを「取得していない」、取得内容は出社率など基礎項目が中心
- オフィスのデータ活用、「何を取得すべきかわからない」が最多
- オフィスづくりはコミュニケーション重視、生産性・効率も上位に
2023年調査:https://www.g-soumu.com/articles/202303officequestionnaire
2021年調査:https://www.g-soumu.com/articles/office2021questionnaire
2020年調査:https://www.g-soumu.com/articles/linkage-2020-08-officequestionnaire
この3年間で約半数がオフィスの見直しを実施
この3年間でのオフィス見直し状況を尋ねたところ、「見直しをした」が45.6%、「見直しを検討している」が22.8%、「見直す予定はない」が31.7%という結果になった(n=180)。
見直し内容はレイアウト変更が中心、移転などの拠点戦略より既存空間の見直しが進む
オフィス見直しを実施した企業に対し、その内容について尋ねたところ、「レイアウトの変更」が63.4%で最多となり、「占有面積拡大」が23.2%、「規模拡大のための移転」が18.3%と続いた(n=82/オフィスの見直しをした企業)。
2023年調査と比較すると、「占有面積拡大」は13.0%から23.2%へと増加している一方で、「占有面積縮小」は35.1%から11.0%へと減少しており、縮小から拡張へと動きが変化していることがうかがえる。
※かっこ内は2023年調査時の結果
- レイアウトの変更:63.4%(74.0%)
- 占有面積拡大:23.2%(13.0%)
- 規模拡大のための移転:18.3%(-)
- 拠点の集約:14.6%(20.6%)
- コワーキングスペースやレンタルオフィスの契約:13.4%(20.6%)
- 占有面積縮小:11.0%(35.1%)
- 規模縮小のための移転:8.5%(10.7%)
- 拠点の分散化:7.3%(7.6%)
- 地方への移転:2.4%(0.8%)
- 本社機能の廃止:0.0%(0.0%)
- その他:11.0%(7.6%)%
リニューアル予定はレイアウト変更が最多、既存空間の見直しが軸
オフィスリニューアルを予定している企業に対し、その内容を尋ねたところ、「レイアウト変更」が60.0%、「座席運用の変更」が27.8%となり、移転などの大きな見直しよりも、既存空間の見直しに取り組む動きが中心となっていることがうかがえる(n=90/オフィスをリニューアルする予定がある企業)。
リニューアル目的は「生産性向上」「コミュニケーション活性化」が上位に
オフィスリニューアル予定者に対し目的について尋ねたところ、「生産性の向上」が56.7%で最多となり、「社内コミュニケーションの活性化」が53.3%、「従業員エンゲージメントの向上」が44.4%と続いた。生産性向上に加え、コミュニケーションやエンゲージメントなど、人や組織に関わる目的が上位となった(n=90/オフィスをリニューアルする予定がある企業)。
オフィス予算を「増やす」が2割、減額傾向は縮小
今後のオフィス予算方針について尋ねたところ、「変わらない」が66.1%で最多となり、「やや増やす」が16.1%、「増やす」が3.3%となった(n=180)。
「増やす」「やや増やす」を合わせると19.4%となり、2023年調査と比較して増加している。一方で、「減らす」の割合は低下しており、オフィス投資を見直す動きがうかがえる。
約8割が「オフィスは社内コミュニケーションの場」と回答、協働機能が上位に
これからのオフィスの役割を尋ねたところ、「社内コミュニケーションの場」が77.8%、「チームで作業をする場」が69.4%となり、協働機能へのシフトが進む一方で社風・文化の醸成などの従来機能は相対的に低下している(n=180)。
重視する機能は「コミュニケーションスペース」が最多
今後重視するオフィス機能について尋ねたところ、「コミュニケーションスペース」が62.8%で最多となり、「自席」が48.9%、「会議室」が46.1%と続いた(n=180)。
2023年調査と比較すると、「Web会議スペース」は前回より14.4ポイント減少しており、オンライン対応の優先度が相対的に低下していることがうかがえる。
会議室・個別ブースともに不足、オフィススペースの課題が広範囲に
現在のオフィススペース課題について尋ねたところ、「会議室や来客スペースが足りない」が46.7%で最多となり、「個別ブースが足りない」が40.0%、「コラボレーションスペースが足りない」が36.7%と続いた(n=180)。
会議室やコラボレーションスペースといった“話す場”に加え、個別ブースのような“集中する場”も不足しており、複数の用途にわたってスペースが十分に確保されていない状況がうかがえる。
会議室の使い方に課題、特定スペースへの偏りや固定化も
オフィス運用における課題について尋ねたところ、「会議室の使い方が非効率」が38.9%で最多となり、「特定のスペースに利用が集中している」が25.0%、「フリーアドレスでも場所が固定化」が21.1%と続いた(n=180)。
会議室の使い方に加え、スペース利用の偏りや固定化といった課題が見られ、運用の工夫が求められていることがうかがえる。
84.4%が「オフィスの方が生産性が高い」と回答、2021年調査より30.2ポイント
生産性の高い働き方について尋ねたところ、「オフィス」が84.4%、「テレワーク」が15.6%となった。コロナ禍でテレワークが広がっていた2021年調査と比較すると、「オフィス」と回答した割合は30.2ポイント増加しており、オフィスの方が生産性が高いとする認識が広がっていることがうかがえる(n=180)。
<オフィスの方が生産性が高く働ける理由/一部抜粋>
- 偶発的なコラボレーションがあるから
- 他人の目があることで集中が高まるから
- コミュニケーションをしながら仕事を遂行できるから
- テレワークよりコミュニケーションが取りやすいから
- すぐに業務の話を同僚や上司に相談できるから
<テレワークの方が生産性が高く働ける理由/一部抜粋>
- 社内からの問合せが減り集中できるため
- 往復の通勤時間が短縮できるから
- 割り込みが入る率が下がるので、テレワークがやや生産性が高い
56.1%が出社率を高めたいと回答、過半数が出社回帰の意向
経営として出社率を高めたい意向があるか尋ねたところ、「強くある」が24.4%、「ややある」が31.7%で合わせて56.1%と、出社率を高めたい企業が過半数となっており、出社回帰の意向が一定程度見られる(n=180)。
57.2%オフィス利用データを「取得していない」、取得内容は出社率など基礎項目が中心
オフィス利用データの取得状況を尋ねたところ、「取得していない」が57.2%、「今後取得を検討している」が19.4%、「一部取得している」が17.2%となり、データ活用は限定的な状況にあることがわかった(n=180)。
また、データを取得している企業に対し内容を尋ねたところ、「出社率」が69.0%、「会議室の利用率」が52.4%、「入退館データ」が45.2%となり、基礎データが中心で高度活用には至っていないことが明らかとなった(n=42/働き方や利用状況のデータを取得している企業)。
オフィスのデータ活用、「何を取得すべきかわからない」が最多
オフィスデータの活用における課題について尋ねたところ、「どのデータを取得すべきかわからない」が29.4%で最多となり、「データを分析できる人材がいない」「データをオフィス改善に生かせていない」がともに23.9%となった(n=180)。
データ取得の方向性に加え、人材や活用面にも課題を感じている企業が多く、オフィスのデータ活用はまだ発展途上であることがうかがえる。
- どのデータを取得すべきかわからない:29.4%
- データを分析できる人材がいない:23.9%
- データをオフィス改善に生かせていない:23.9%
- システム導入コストが高い:22.2%
- プライバシー配慮が難しい:16.7%
- その他:3.9%
- 特に課題はない:33.3%
オフィスづくりはコミュニケーション重視、生産性・効率も上位に
オフィスづくりで重視する要素について尋ねたところ、「コミュニケーション」が68.9%で最多となり、「生産性・効率」が50.6%、「チームビルディング」が32.8%と続いた(n=180)。
コミュニケーションを重視する傾向が強い一方で、生産性や効率性も重視されていることがうかがえる。
総評
今回の調査からは、コロナ禍を経て、企業におけるオフィスの位置づけが変化していることがうかがえる。『月刊総務』がオフィスに関する調査を開始したコロナ禍当時は、テレワークの普及によって働き方が大きく変化し、オフィスの役割を見直す動きが広がっていた。今回、「オフィスの方が生産性が高い」と回答した企業は84.4%となり、2021年調査から30ポイント増加している。また、今後オフィス予算を増やす企業も約2割となっており、コミュニケーションや協働を支える場として、オフィスの価値が改めて重視され始めていることがうかがえる。
一方で、多くの企業ではレイアウト変更など部分的な改善にとどまっており、働き方や組織運営と一体でオフィスを再設計する段階には至っていない。会議室不足やスペース利用の固定化といった課題が見られる背景には、「どのような働き方を実現したいのか」という設計思想が十分に整理されないまま、運用改善が先行している状況もあると考えられる。
また、オフィス利用データの取得・活用が進んでいないことからも、多くの企業では経験則に依存した運営が続いている実態が見受けられる。今後、総務には単なる施設管理ではなく、働き方・組織文化・生産性を横断して捉えながら、オフィスを経営資源として設計・改善していく役割がより強く求められるだろう。
【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2026年3月12日〜2026年3月19日
■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
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