『月刊総務』は、全国の総務担当者を対象に「総務業務のアウトソース・BPOについての調査」を実施し、132人から回答を得た。
- 調査結果 概要
- 「BPO」をよく理解している総務は約2割、認知の浸透はいまだ道半ば
- 総務業務の一部を外部委託している企業は47.0%。委託経験なしは48.5%で拮抗
- 委託割合は「1~3割程度」が51.6%で最多、本格活用はまだこれから
- 委託内容は「給与・勤怠管理」が最多。今後は「システム運用」「業務改善・プロセス設計」に期待
- アウトソーシング先の6割が「指示された業務のみ」対応、共同での業務設計はまだ少数派
- アウトソーシングの目的、「業務負担の軽減」が71.0%で最多
- 委託先の選定基準、「実績・信頼性」が75.8%で最多
- 約7割がアウトソーシングにより「考える業務」の時間が増加
- アウトソーシング導入の課題、1位「業務整理不足」2位「合意形成不足」3位「コミュニケーションの難しさ」
- AI・SaaSを「活用している」総務担当者は約6割
- AI・SaaS活用による委託の変化、約半数が「特に変化はない」
- アウトソーシングを行わない理由、「コストが見合わない」が45.7%で最多
※BPO(Business Process Outsourcing):企業の業務プロセスの一部または一連の業務を、企画・運用・改善まで含めて外部に委託すること。単なる業務代行ではなく、業務設計や運用改善まで含めて委託するケースもある。
※アウトソーシング:自社業務の一部を外部に委託することの総称。特定業務の代行から業務プロセス単位の委託まで幅広く含む概念で、BPOはその一類型にあたる。
「BPO」をよく理解している総務は約2割、認知の浸透はいまだ道半ば
「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」という言葉の理解度を尋ねたところ、「よく理解している」と回答したのは2割程度にとどまり、BPOという概念の輪郭はつかめていても、その具体的な中身まで理解が及んでいる総務担当者はまだ少数派であることがうかがえる。
総務業務の一部を外部委託している企業は47.0%。委託経験なしは48.5%で拮抗
現在、総務業務の一部を外部に委託しているかを尋ねたところ、何らかの形でアウトソーシングを行っている企業は合計47.0%にのぼる一方、48.5%が「アウトソーシングしたことはない」と回答した(n=132)。
委託割合は「1~3割程度」が51.6%で最多、本格活用はまだこれから
現在アウトソーシング(BPO含む)を行っていると回答した方に、総務業務全体のうちアウトソーシングしている割合を尋ねたところ、「1~3割程度」が51.6%で最多となった(n=62/現在アウトソーシングを行っている企業)。委託を行っている企業でも、その多くは業務全体の一部にとどまっており、総務業務の大半を外部に委ねる企業はごく限られていることがわかった。
1割未満:38.7%
1~3割程度:51.6%
3~5割程度:8.1%
5割以上:1.6%
委託内容は「給与・勤怠管理」が最多。今後は「システム運用」「業務改善・プロセス設計」に期待
外部委託している業務を尋ねたところ、「給与・勤怠管理」が54.8%で最も多く、次いで「システム運用・ITサポート」が32.3%、「受付・ファシリティ管理」が29.0%となった(n=62/現在アウトソーシングを行っている企業)。
一方、今後アウトソーシングを推進したいと回答した方に、委託したい業務を尋ねたところ、「システム運用・ITサポート」が36.7%で最多となり、「業務改善・プロセス設計」が35.6%、「AI・SaaSの導入・運用支援」が33.3%と続いた(n=90/今後、アウトソーシングを推進したい企業)。
現在の委託内容は「給与・勤怠管理」など定型業務が中心である一方、今後の意向では「システム運用」「業務改善」「AI・SaaS活用支援」といった、より専門性の高い領域への期待が上位を占めており、総務が求めるアウトソーシングの役割が作業代行から機能拡張へと変化しつつあることがうかがえる。
アウトソーシング先の6割が「指示された業務のみ」対応、共同での業務設計はまだ少数派
現在アウトソーシング(BPO含む)を行っていると回答した方に、委託先が総務業務にどの程度関与しているかを尋ねたところ、「指示した業務のみ対応している」が59.7%で最も多く、「業務改善の提案を受けることがある」が24.2%、「業務設計や運用改善を共同で進めている」は16.1%にとどまった(n=62/現在アウトソーシングを行っている企業)。
委託先の多くは指示された範囲の業務をこなす役割にとどまっており、戦略的なパートナーとして業務設計にまで踏み込む関係を築けている企業は、まだ限られていることが明らかとなった。
アウトソーシングの目的、「業務負担の軽減」が71.0%で最多
アウトソーシングの主な目的を尋ねたところ、「業務負担の軽減」が71.0%で最も多く、「人手不足の補完」が59.7%、「業務品質の向上」が40.3%と続いた(n=62/現在アウトソーシングを行っている企業)。
コスト削減を目的に挙げた割合は33.9%にとどまり、価格面よりも社内のリソース不足を補う手段として、アウトソーシングが活用されている実態がうかがえる。
委託先の選定基準、「実績・信頼性」が75.8%で最多
委託先を選定する際に重視した点を尋ねたところ、「実績・信頼性」が75.8%で最も多く、「業務知識・専門性」が46.8%、「価格の安さ」と「柔軟な対応力」がともに37.1%で続いた(n=62/現在アウトソーシングを行っている企業)。委託先に対して、指示した業務の遂行だけでなく業務改善の提案まで求める企業はまだ多くないことがうかがえる。
約7割がアウトソーシングにより「考える業務」の時間が増加
アウトソーシングによって企画・改善などの「考える業務」に割ける時間が増えたかを尋ねたところ、「とても増えた」と「やや増えた」を合わせて約7割が増えたと回答した(n=62/現在アウトソーシングを行っている企業)
アウトソーシング導入の課題、1位「業務整理不足」2位「合意形成不足」3位「コミュニケーションの難しさ」
現在または過去にアウトソーシングを行った経験があると回答した方に、導入においてつまずいた点や課題と感じた点を尋ねたところ、「導入前の業務整理が不十分」が35.3%で最も多く、「社内の理解・合意形成不足」が29.4%、「コミュニケーションの難しさ」が27.9%と続いた(n=68/アウトソーシングをしたことがある企業)。アウトソーシング導入にあたっては、委託先選定以前に、自社業務の整理や社内合意形成が課題となっていることがうかがえる。
「課題はない」と回答したのはわずか7.4%にとどまり、多くの企業が導入プロセスにおいて何らかのつまずきを経験していることがわかった。特に「業務整理」や「合意形成」といった委託前の準備段階に課題を感じる企業が多く、外部委託を成功させるカギは委託後の運用以前に、社内の準備にあることが示唆されている。
AI・SaaSを「活用している」総務担当者は約6割
AIやSaaSの活用状況について尋ねたところ、「積極的に活用している」と「やや活用している」を合わせて59.8%が何らかの形でAI・SaaSを活用していることがわかった。一方で「あまり活用していない」が29.5%、「全く活用していない」も10.6%あり、総務領域でのAI・SaaS活用はまだ発展途上の段階にあることがうかがえる(n=132)。
AI・SaaS活用による委託の変化、約半数が「特に変化はない」
AIやSaaSの活用により外部委託のあり方に変化があったかを尋ねたところ、「特に変化はない」が48.4%で最も多く、「委託と併用するようになった」が33.9%という結果になった(n=62/現在アウトソーシングを行っている企業)。
AI・SaaSの導入によって委託そのものが縮小するというよりも、両者を組み合わせて活用する動きが徐々に広がりつつある一方、多くの企業では委託内容に目立った変化はまだ生じていない実態が明らかとなった。
アウトソーシングを行わない理由、「コストが見合わない」が45.7%で最多
現在アウトソーシングを行っていない、または過去に行っていたが現在は行っていないと回答した方に、行っていない理由を尋ねたところ、「コストが見合わないから」が45.7%で最も多く、「経営層の理解が得られないから」が30.0%、「情報管理・セキュリティへの懸念があるから」が24.3%と続いた(n=70)。
「社内のリソースで足りているから」と「特に理由はない」はいずれも20.0%で並び、明確な反対理由を持たずアウトソーシングを検討していない企業も一定数存在することがわかった。
- コストが見合わないから:45.7%
- 経営層の理解が得られないから:30.0%
- 情報管理・セキュリティへの懸念があるから:24.3%
- 社内のリソースで足りているから:20.0%
- 社内ノウハウを蓄積したいから:12.9%
- 委託先の品質に不安があるから:11.4%
- AI・SaaSで代替できているから:5.7%
- その他4.3%
- 特に理由はない:20.0%
総評
今回の調査からは、総務業務におけるアウトソーシング活用が一定程度広がっている一方で、その多くが人手不足への対応や定型業務の負荷軽減にとどまり、総務機能そのものを見直す手段としてはまだ十分に活用されていない実態がうかがえる。委託先との関わり方を見ても、「指示した業務を任せる」形が中心で、業務設計や運用改善まで含めて伴走を求める企業は限定的だ。
一方で、総務を取り巻く環境は大きく変化しています。AIやSaaSの普及により、これまで外部に委ねていた定型業務の一部を内製化できる余地が広がる中で、「何を社内に残し、何を委託し、何をテクノロジーで代替するか」を見極める視点がこれまで以上に重要になっている。それにもかかわらず、アウトソーシングを行わない理由としてコストや経営層の理解不足が上位に挙がったことや、委託先選定において「業務改善の提案力」を重視する企業が3割にとどまったことからは、アウトソーシングを業務変革のパートナーとして活用する段階には、まだ至っていない企業も多いことがうかがえる。
今後、総務に求められるのは、単に業務を外に出す判断をすることではなく、自社の業務を可視化したうえで、内製・委託・AI/SaaSの役割分担を設計し、最適な体制を組み立てていくことだ。アウトソーシングを単なる省力化の手段で終わらせず、総務の生産性と価値創出の両立につなげていけるかどうかが、これからの総務機能の進化を左右する重要なポイントになるだろう。
【調査概要】
調査機関: 自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間: 2026年5月13日〜2026年5月20日
■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
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