給与が増えても「不利益変更」になる? ジョブ型導入で就業規則・賃金規程を改定する際の注意点
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近年、終身雇用を前提とした年功序列賃金制度や、基本的に降格がない職能資格制度の下では労働生産性が上がらないとして、生産性向上のために、ジョブ型雇用や職務等級制度を導入している会社が、特に大企業を中心に見られる。さらに、労働力人口の減少、特に若年層の人口減少に伴い、人手不足も深刻化している中で、大企業だけでなく中小企業にとっても、成果を上げればその分賃金も増加する賃金制度にして、企業の訴求力を高める必要性が高まっており、賃金制度の改定は避けて通れない。一方、賃金制度を変更するとなると、すでに雇用されている社員にとっては不利益な変更となることは避けて通れない。今回は、就業規則およびその一部である賃金規程を改定する場合の留意点について解説するので、今後の改定の手続きの参考にしていただきたい。
労働条件を不利益に変更するための方法とその要件
1. 労働条件の不利益変更について(一般論)
労働者の労働条件を設定する規範としては、(1)労使間の個別の労働契約、(2)使用者が作成した就業規則、および(3)使用者と労働組合との間で締結した労働協約の3つの方法がある。したがって、労働条件の不利益変更の方法としても、この(1)~(3)の変更による方法がある。
ただし、労働基準法には労働条件の最低基準効があるため(同法第1条第2項)、上記(1)~(3)による労働条件の不利益変更は、同法の定める基準を下回ることはできない(同法第13条)。
2. 労使間の個別の労働契約の変更による不利益変更
労働者および使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができるが(労働契約法第8条)、ここでいう「合意」は労働者の自由な意思に基づく合意である必要がある(山梨県民信用組合事件 最高裁判所第二小法廷判決 平28.2.19 最高裁判所民事判例集70巻2号123頁)。
また、労働者保護の観点から、就業規則(労働契約法第12条)および労働協約(労働組合法第16条)で規定する労働条件を下回ることはできない。
3. 使用者が作成した就業規則の改定による不利益変更
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