前々回では、世の中の約8割の社員が社内広報に接触し「実利」を求めていることを、続く前回では、それにもかかわらず生じてしまう「タイパ重視によるスルー」や「会社と現場のニーズのすれ違い」というリアルな課題をひも解きました。
では、このすれ違いを解消し、従業員の心を動かすにはどうすればよいのでしょうか。 今回は、1113人のデータを細かく分析した結果から、「感情的報酬の付与」という重要なアプローチを紹介します。その上で、「では、自社の社内広報はどうなっているのか?」について正しく把握するための「効果測定アンケートの鉄則」をお伝えします。
調査概要
目的:社内広報活動の受信側(従業員)の実態把握(受信状況の一般的な水準の把握)
期間:2026年2月25日
方法:インターネット調査
対象:現在、就労状況にある常勤役員または正規雇用者
回答数:1113人
属性: (1)勤務先の業種(上位5つ)
製造業 23.0%/建設・不動産 10.0%/医療・福祉 9.9%/サービス 9.4%/情報通信・IT 9.0%
(2)従業員規模
~99人 36.7%/100~999人 28.7%/1000~9999人 19.6%/1万人~ 12.3%/わからない 2.7%
(3)上場・非上場(上位3つ)
非上場 52.1%/上場 25.5%/株式会社ではない 15.7%
データが証明した「感情的報酬」の驚くべき効果
「読まれない壁」を越えるヒントは、閲覧コンテンツ×モチベーションの変化に隠されていました。前回紹介した発信・閲覧コンテンツを、以下のように分けて分析しました。
Step1 発信・閲覧コンテンツをハード情報・ソフト情報に分類
- ハード情報
会社の経営方針・ビジョン、業績報告・決算情報、業界動向・競合情報、新製品・新サービスの紹介、人事制度・福利厚生・社内ルール、SDGs・CSR・社会貢献活動 - ソフト情報
活躍している社員・チームの紹介、各事業部・支店の活動紹介、社長・役員の紹介、社内イベント・部活動、健康管理・コラム等の軟らかい記事
Step2 以下の分析軸を設定
- ハード情報のみ閲覧
- ソフト情報のみ閲覧
- 両方閲覧
- 非閲覧
この分析軸で結果を見ると、業績や経営方針といった「ハード情報のみ」を真面目に読んでいる層は、会社の状況は理解してくれても、「働くモチベーション」や「会社への愛着」といった感情面のスコアが伸びにくいことが判明しました。ハード情報のみで人の心が大きく動くことはないようです。
一方で、社員紹介などの「ソフト情報のみ」を閲覧している層にとっては、上司や同僚との会話のきっかけ(コミュニケーション創出)にはつながっているものの、会社の方向性への理解などは不足しがちなようです。
では、「両方閲覧」層はどうでしょうか。彼らは、「所属意識が強まった(25.3%)」「モチベーションが向上した(16.0%)」と、あらゆる感情指標で圧倒的なトップスコアをたたき出しました。
なぜ、両方を見ることがこれほどエンゲージメントを飛躍させるのでしょうか。現場の苦労を取り上げるソフト情報は、単なる息抜きのエンタメ記事ではありません。それは、会社から従業員に対する「あなたの見えない努力を見ているよ、個として尊重しているよ」という強烈なメッセージ、すなわち「感情的報酬」として機能しているのです。人は、組織から承認されているという安心感を得て初めて、経営ビジョンのような重い話題に耳を傾ける準備ができます。
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