今、多くの会社・組織・自治体で「広報」に対する経営層の意識が極めて強くなっています。この背景には、近年に不祥事・トラブル対応の失敗事例が続いて経営層が謝罪、あるいは退陣に追い込まれるような事案が目立っていることや、従業員の働く意識・価値観の多様化・人材の流動化など従業員との良好な関係構築(人的資本経営)が、経営の重要なテーマになっているためです。経営層にとって社内外広報は切実な経営課題の一つです。
前回は、こうした経営補佐としての機能強化の重要性をお伝えしました。今回は、広報のガバナンス機能強化をテーマに扱います。
広報におけるガバナンスとは
そもそもガバナンスとは、企業の健全な経営を目的とした管理体制や仕組みのことを指します。主に企業の透明性を確保するとともに、企業の不正や不祥事を防止し、利害関係者からの信頼獲得につなげるものです。具体的には、経営と執行の分離、内部統制、リスクマネジメント、コンプライアンス等がガバナンスの実践手法になります。一般的には取締役会事務局がガバナンスを遂行することが多いですが、経営企画、総務、秘書、法務、財務、リスク管理部など経営の根幹となる多くの組織が関係します。
報道対応、社内広報、HP・SNS、広告等の実務に従事している広報担当のみなさんにとっては、広報とガバナンスの関係性自体は頭で理解できても、自分たちが広報実務の中でガバナンス機能を担っている実践者だとはイメージしにくいかもしれません。 ところが、見方を少し変えると、みなさんの日常的な広報実務はガバナンス機能を遂行しているものが多数あります。いくつか例示してみましょう。
広報活動全般
- 広報に関する規程の整備
- CI・VI(ロゴ等)の管理
- 全社またはグループ横断の広報委員会・広報連絡会の実施 など
報道対応領域
- 全社またはグループ全体に適用する情報発信ルール・ガイドライン整備
- 危機管理広報の体制構築、マニュアル・公表基準整備、メディアトレーニングの実施
- 自社の事業に影響し得る業界動向・社会情勢に関する報道の把握・社内共有 など
公式ホームページ領域
- 公式ホームページの運用ルール・ガイドライン整備、ドメインの管理
- 会社およびグループで保有している公式ホームページ、顧客対応フォーム等の全件把握
- 公式ホームページの全ページの管理責任箇所・内容把握、更新・削除漏れ防止の定期チェック
SNS領域
- SNSアカウントの開設・更新・廃止に関するルール・ガイドライン整備
- 会社およびグループで保有している公式SNSアカウントの把握
- SNSのモニタリング、炎上発生時の対応 など
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
アクセスランキング
ダウンロード資料、アイテム
特別企画、サービス
-
【編集部厳選】総務1年生にオススメしたいコンテンツ20本
『月刊総務』編集部が、総務1年生やこの春久々に総務業務を担当する方にオススメのコンテンツを厳選。この機会に、総務実務の基本はもちろん、ビジネススキルや総務の考え方について学んでみませんか? -
総務のマニュアル
総務・バックオフィスの実務を実践的にサポートする「総務のマニュアル」シリーズ。ビジネストレンドを押さえた内容で、いま総務が知っておきたいポイントを具体的に解説していきます。 -
多様な働き方に対応する 社内コミュニケーション術
リモートワーク、ABWなど働き方の多様化がさらに広がっています。対面のコミュニケーションが減っている中においても、コミュニケーションを活性化するために、どうしていくべきでしょうか。 -
テレワークを実現するペーパーレス化と文書管理のポイント
ハイブリッドワークの需要が高まったものの、総務・経理などの管理部門では、請求書や契約書など書類のデジタル化に対応できず、出社を余儀なくされた方も多いのではないでしょうか。 -
総務辞典
総務辞典とは、どなたでもご利用いただける、総務業務に関する一般知識、関連法令や実務ノウハウなど総務に関する用語辞典です。 -
無料オンラインセミナーのご案内
月刊総務が開く、無料オンラインセミナーの予定はこちらからご確認ください。さまざまな企業と共催し、より専門的な知識を幅広いテーマで発信。総務の皆様の情報収集にお役立てください。 -
『月刊総務』調査
『月刊総務』では、不定期にアンケート調査を実施し、その結果を公開しています。全国の総務パーソンがどのように業務に対応しているのか、何を感じているのか、総務の現状を確認してみましょう。 -
YouTube 月刊総務チャンネル
『月刊総務』公式YouTubeチャンネルです! 「働き方」「戦略総務」などのテーマについて、数分で気軽にキャッチできる情報を発信していきます。ぜひ、チャンネル登録をお願いします! -
メンタル不調者が増える6月前にチェックしておきたい10本
ゴールデンウイークが明け、退職代行サービスの利用者が急増しているようです。新卒・若手社員の早期離職が深刻化し、五(六)月病が話題になっています。気象病と仕事のストレスが重なる6月に向け、メンタルヘルス対策を紹介します。 -
業務効率化&コスト削減 購買プラットフォーム
オフィス用品に関する困りごとを解決し、業務効率化とコスト削減を実現いたします。Kobuyは、一貫堂が提携するパートナーサプライヤに加え、お客様ご希望のサプライヤ商品・サービスを一元管理できるオフィス用品一括購買システムです。