『月刊総務』は、全国の企業を対象に「ウェルビーイングに関するアンケート調査」を実施し、161人から回答を得ました。
- 調査結果 概要
- ウェルビーイングを理解している方は74.5%で、3年前の調査より16.4ポイント増加
- ウェルビーイングに取り組んでいる企業は64.6%で、3年前の調査より12.8ポイント増加
- ウェルビーイングに取り組む理由は「従業員エンゲージメントの向上」が最多
- 取り組んでいない理由は「何をすればよいかわからない」「経営陣の理解がない」など
- 7割超がウェルビーイングを測定するアセスメントを「実施していない」
- ウェルビーイングの取り組みが社員に認知されている実感があるのは約4割
- ウェルビーイングが高く感じるのは「出社とテレワークのハイブリッド勤務」
- 3割以上が出社回数が増え「オフィス回帰」。テレワークメインはわずか3.1%
- 経営層と従業員の理想の出社頻度にギャップあり。約6割が経営層は「毎日出社」を望んでいると回答
ウェルビーイングを理解している方は74.5%で、3年前の調査より16.4ポイント増加
ウェルビーイングの理解度について尋ねたところ、「よく理解している」と「なんとなく理解している」が合わせて74.5%となり、2022年調査の58.1%から16.4ポイント増加した(n=161)。
ウェルビーイングに取り組んでいる企業は64.6%で、3年前の調査より12.8ポイント増加
会社でウェルビーイングに取り組んでいるか尋ねたところ、「とても取り組んでいる」と「やや取り組んでいる」が合わせて64.6%となり、2022年調査の51.8%から12.8ポイント増加した(n=161)。
<実施内容/n=104>
- 健康診断:82.7%
- ストレスチェック:72.1%
- ワーク・ライフ・バランス推進(テレワーク、フレックス制度など):67.3%
- 産休・育休の推進:66.3%
- 学びの機会の提供:55.8%
- 資格取得支援:53.8%
- 福利厚生の充実:50.0%
- 評価制度の運用:47.1%
- 社内コミュニケーション施策:45.2%
- 1on1:44.2%
- イベントの実施(ウオーキング大会など):39.4%
- 社内コミュニティの促進(部活動、分科会など):37.5%
- キャリアデザイン研修:31.7%
- ダイバーシティの推進:30.8%
- 地域活動への参加:24.0%
- 食事面のサポート:19.2%
- スポーツジムの会費補助:16.3%
- オフィス内への健康・運動機器の設置(バランスボールやエアロバイクなど):11.5%
- 副業支援:10.6%
- ウエララブル端末の貸与:3.8%
- ワーケーションの推進:3.8%
- その他:3.8%
<独自の取り組み/一部抜粋>
- 健康診断で昨年より改善した際や禁煙できた際などにポイントを付与し、貯めたポイントに対して特別手当を支給する「健康ポイント制度」
- 社員の中からウェルビーイング推進役を選出し、現場での実践をサポートする「ウェルビーイング・アンバサダー制度」
- 脱たばこの「卒煙運動」
ウェルビーイングに取り組む理由は「従業員エンゲージメントの向上」が最多
ウェルビーイングに取り組む理由について尋ねたところ、「従業員エンゲージメントの向上」が73.1%で最多となり、「従業員満足の向上」が63.5%、「モチベーションの向上」が57.7%、「離職率の低下」が56.7%と続いた(n=104)。
取り組んでいない理由は「何をすればよいかわからない」「経営陣の理解がない」など
ウェルビーイングに取り組んでいない理由について尋ねたところ、「何をすればよいかわからない」が45.6%で最多となり、「経営陣の理解がない」が42.1%と続いた(n=57)。
7割超がウェルビーイングを測定するアセスメントを「実施していない」
社員のウェルビーイングを測定するアセスメントの実施状況について尋ねたところ、実施している企業は28.6%にとどまり、71.4%が実施していないと回答した(n=161)。
ウェルビーイングの取り組みが社員に認知されている実感があるのは約4割
ウェルビーイングに関する取り組みが社員に認識されていると思うか尋ねたところ、「認知されている」が40.4%、「認知されていない」が30.8%、「わからない」が28.8%という結果となった(n=104)。
<「社内」への認知を高めるための施策/一部抜粋>
- 健康経営優良法人認定など外部認定の取得
- 社内ポータルや社内報での紹介
- 部門横断プロジェクトの設置
- エシカル標語の作成と社内貼り出し
<「社外」への認知を高めるための施策/一部抜粋>
- HPにエシカルページを制作
- IR向けの活動報告に記載
- 健康経営優良法人やユースエール認定、ハタラクエール、スポーツエールカンパニーなどの認定取得
ウェルビーイングが高く感じるのは「出社とテレワークのハイブリッド勤務」
ウェルビーイングが高まると感じる働き方について尋ねたところ、「週1、2日出社のハイブリッド」が24.2%で最多となり、「出社日を定めないテレワーク」が21.7%、「週3、4日出社のハイブリッド」が21.1%と続いた(n=161)。
3割以上が出社回数が増え「オフィス回帰」。テレワークメインはわずか3.1%
オフィス回帰の状況について尋ねたところ、「ずっとオフィス出社している」が46.0%で最多、次いで「ハイブリッド勤務だが出社日数が増えている」が32.3%、「出社日数が変わらずハイブリッド勤務を継続」が18.6%と続いた(n=161)。
経営層と従業員の理想の出社頻度にギャップあり。約6割が経営層は「毎日出社」を望んでいると回答
経営層と従業員それぞれが望む働き方について尋ねたところ、経営層は「毎日出社」が約6割、従業員は3割以下と、意識の差が明らかとなった(n=161)。
<経営層と従業員でギャップを感じるポイント/一部抜粋>
- 経営層は出社を増やしてほしいと考えているが、社員はテレワーク制度があるので、できるだけ活用したいと考えている。
- 対面コミュニケーションを大切にする経営層と、効率化を求める社員(特に20代若手)とのギャップを感じる。
- 経営層は、テレワークでは生産性が落ち、さぼると思っている。
<経営層と従業員でギャップがない理由/一部抜粋>
- もともとテレワークを導入しにくい職場だったため、意識のギャップが生じにくかったため。
- テレワークの回数は制限されたものの、制度を残してくれているため。
- 経営陣も積極的にテレワークしているため。
総評
今回の調査では、ウェルビーイングという概念が企業に広く浸透しつつある現状が明らかとなった。理解度・取り組み率ともに、前回調査から大きく改善されており、健康診断やストレスチェック、ワーク・ライフ・バランス推進といった基本的な施策は、一定程度制度として整ってきているといえる。一方で、「何をすればよいかわからない」「経営層の理解が得られない」といった回答も見られ、推進における知識・体制面の課題が残されていることも浮き彫りとなった。
働き方においては「出社とテレワークのハイブリッド勤務」がウェルビーイングを高めるという回答が多かった一方、実際には出社回帰の傾向もある。経営層と従業員で望む出社頻度にも明確なギャップがあり、対話を通じた方針のすり合わせや、職種・ライフステージに応じた柔軟な働き方設計が必要となる。
総務部門には、制度を整えるだけでなく、それを“意味あるもの”として定着させるための仕掛けづくりが求められる。認知促進や測定の工夫、社内外への発信、そして一人ひとりの状態を可視化し対話に結びつける工夫。そうした取り組みの積み重ねが、単なる福利厚生ではなく、企業文化としてのウェルビーイングを根づかせる基盤となるだろう。
【調査概要】
調査機関:自社調査
調査対象:『月刊総務』読者、「月刊総務オンライン」メルマガ登録者ほか
調査方法: Webアンケート
調査期間:2025年5月12日〜2025年5月19日
■調査結果の引用時のお願い
※本調査内容を転載・ご利用いただく場合は、出典元の表記をお願いします。
例:「『月刊総務』の調査によると」「『月刊総務』調べ」など
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
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