エンゲージメントサーベイを人事任せにしていない? 総務・広報だから発見できる組織改善のヒント
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前回の記事で「声上げ文化」を支える「感情的報酬」の定義を紹介しました。感情的報酬とは、無形の心理的な充足感を満たすものであり、金銭など有形の報酬との違いは以下の通りです。
| 報酬の種類 | 概要 | |
|---|---|---|
| 有形報酬 | 金銭的報酬 | お給料やインセンティブなど、労働の対価として支払われる報酬 |
| 非金銭的報酬 | 福利厚生や能力開発機会など、制度や仕組みとして与えられる報酬 | |
| 無形報酬 | 感情的報酬 | 従業員の内面に生じる精神的な充足状態の報酬(承認など) |
有形報酬は主として外発的動機付けに作用しますが、与え続けているとその効果は徐々に薄れていきます。これに偏ると従業員の意識が「お金をもらえるからやる」「メリットがあるからやる」という受動的なスタンスになってしまい、本来備わっていた純粋な情熱や倫理観を低下させるリスクがあります。
一方、感情的報酬は、いわゆる内発的動機付けに直結するものです。従業員の存在を認め、見えない努力をほめるアプローチといえます。パフォーマンスにつながる集中力・意欲や自発的なガバナンス意識の源泉となります。
もちろん、金銭的報酬・非金銭的報酬・感情的報酬の全てが満たされる状態が最も良いですが、感情的報酬が満たされていない状態は上記のような問題を含んでいるのです。
では、この感情的報酬とは具体的にどのようなものなのか、今回はこれを見ていきましょう。
感情的報酬の構造
組織行動・組織心理学の分野を中心に感情的報酬に関する研究がされている中、さまざまなモデルが示されています。前回ご紹介した総務・広報視点での定義に基づいた場合、感情的報酬は以下のような階層(役割)があると整理できます。
図表1:感情的報酬の階層
感情的報酬を「土台」として支えるのは「安心感」です。無条件の受容や、安全性、連帯感、居場所(ビロンギング)などで、心理的安全性といい換えてもよいでしょう。
次の階層(役割)は「着火」。承認(肯定)の対象は自分(自己)に限定されず、身近な他者(上司・部下・同僚)や集団(会社)も含まれます。つまり、「自己肯定感」だけでなく、他己や集団の肯定感を充足するものです。
次の階層(役割)は「推進」。パフォーマンスにつながる集中力・意欲の源泉となるものが「自己効力感・集団効力感」です。
もう一つ、自発的なガバナンスの源泉となるものが「自律的な倫理観」です。単なる「組織への貢献欲・忠誠心」では、「会社のためを思ってデータを改ざんする」「チームのためにミスを隠ぺいする」といった重大なガバナンス不全を引き起こす要因になりかねません。
感情的報酬が満たされると、自分を大切に扱ってくれる組織に対して自分のうそで裏切りたくないという意識が生まれたり、自分のことを承認・称賛してくれた周囲の評価の正当性が揺らがないよう、健全な状態に保ちたいという意識が生まれたりします。また、心が満たされることで他者や社会への「良心」が働く余裕が生じます。このように、感情的報酬の刺激・充足は「自律的な倫理観」につながるのです。
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