2026年7月に掲載された「総務のマニュアル」と「総務の引き出し」をご案内します。
- 総務のマニュアル:総務をはじめとするバックオフィス部門において話題のテーマの実務ノウハウを、毎月短期集中連載として複数回に分けて紹介
- 総務の引き出し:業務に直結する最新トピック(広報/労働法/労務管理/AI/採用/メンタルヘルス/コミュニケーション/リスクマネジメント/SDGs/オフィス/税務/人事教育研修)について各専門家が解説
総務のマニュアル「事業継続性を高めるサイバーレジリエンス戦略の立て方」
もう「防ぐ」だけでは守り切れない ランサムウエア被害から考える、総務が知るべき最新脅威の実態

近年、サイバー攻撃は一部の大企業やIT企業だけの問題ではなく、あらゆる組織の事業継続を揺るがす経営リスクになっています。特にランサムウエアによる被害は深刻で、国内でも業務停止、情報漏えい、復旧コストの増大、取引先への影響、顧客対応の長期化など、企業活動そのものに大きな打撃を与える事例が相次いでいます。IPAの「情報セキュリティ10大脅威 2026」でも、組織向け脅威の第1位は「ランサム攻撃による被害」、第2位は「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」とされています。これは、サイバー攻撃がもはや情報システム部門だけで完結する課題ではなく、経営、総務、法務、広報、事業部門を含めた全社的な課題になっていることを示しています。そこで、本企画では、サイバー攻撃の種類や動向とともに、攻撃に遭うという前提の下、その被害を最小限にとどめ、早期に事業を復旧させる「サイバーレジリエンス」の重要性や実践の方法について3回にわたって解説します。
攻撃を受けても事業を止めない新常識「サイバーレジリエンス」 なぜ総務の関与が必須なのか?

サイバー攻撃は、もはや情報システム部門だけで対応できる技術トラブルではありません。受注、出荷、請求、顧客対応、従業員の勤務、広報対応、取引先との調整など、企業活動のあらゆる場面に影響を及ぼします。こうした状況の中で重要性が高まっているのが、「サイバーレジリエンス」という考え方です。レジリエンスとは、もともと「回復力」や「しなやかさ」を意味する言葉です。サイバーレジリエンスは、サイバー攻撃やシステム障害が発生しても、被害を最小限に抑え、重要な業務を維持し、できるだけ早く正常な状態へ戻す組織の力を指します。今回はこのサイバーレジリエンスとは何か、そして総務の業務とどうかかわるのかについて見ていきます。
「バックアップがある」という油断は危険! ランサムウエア被害を最小限にする現実的な備え方とは

サイバーレジリエンスとは、サイバー攻撃を完全に防ぐことだけを目指すのではなく、攻撃を受けても被害を最小限に抑え、重要な業務を維持し、できるだけ早く復旧するための組織的な力です。
サイバー攻撃への備えというと、EDR(Endpoint Detection and Response)、ファイアウオール、メールセキュリティ、ログ監視などの技術対策を思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろん、それらは重要です。しかし、サイバーレジリエンスを高めるためには、製品を導入するだけでは不十分です。重要なのは、攻撃や障害が発生したときに「どの業務を守るのか」「誰が判断するのか」「どの順番で復旧するのか」を、平時から決めておくことです。
前回もお伝えした通り、サイバーレジリエンスは、情報システム部門だけで完結するものではありません。経営層、総務、人事、法務、広報、各事業部門、外部委託先を含めた全社的な取り組みです。では、企業は具体的に何に取り組めばよいのでしょうか。今回は、サイバーレジリエンスの実践に向けた主なポイントを整理します。
総務の引き出し(広報)
総務・人事こそ知っておきたい 組織の積極的な「声上げ文化」を支える「感情的報酬」とは?

4~6月までの本連載では、社内広報の接触状況に関する実態調査の結果を紹介しました。この調査によって、「社内広報が従業員に『感情的報酬』を付与していること。また、感情的報酬の付与が『声上げ文化(スピークアップカルチャー)』を下支えしている」という興味深い結果が得られました。
声上げ文化とは、従業員が不正・懸念やアイデアを、会社・上司にためらうことなく提言・意見できる組織文化を意味します。この文化ができれば、不正・トラブルの早期発見につながるため「企業倫理・コンプライアンス」が強化されるでしょう。また、役職にかかわらず多様な視点やアイデアを共有しやすくなるため、社内コミュニケーションの活性化にもつながります。新製品・サービスの創出や部門間連携などイノベーションの創出を支えるものといえるでしょう。
総務・広報の領域でいえば、昨今は品質・データの偽装行為や、会社の管理責任が問われる役員・従業員の犯罪行為、ハラスメントなどの不祥事が目立っており、あらためて「企業倫理・コンプライアンス」に対する注目度が増しています。また、転職の活性化や働くことに対する価値観の多様化に伴って、社内コミュニケーションの活性化は、職場環境(場づくり)や後押し策(社内広報)に加えて、風通しの良い組織文化づくりそのものにアプローチするものとしての重要性も高まっています。
今回から、数回に分けて「総務・広報視点での感情的報酬」について紹介していきます。
総務の引き出し(労働法)
応募者の前職の退職理由は調査できる? 【中途採用】バックグラウンドチェックの重要性と実施手順

近年、雇用の流動化と人材不足により、中途採用の拡大が目覚ましく、2026年5月公表のマイナビキャリアリサーチLabの調査によれば、2022年以降の年平均の中途採用実施率は40%前後で推移しており、2026年4月における中途採用実施率は45.2%、業種によっては50%を上回っている(医療・福祉・介護:56.7%、IT・通信・インターネット:59.3%)。一方、中途採用者が入社後に期待していた能力を有していなかったり、場合によっては、前職を懲戒解雇されていたことなどが発覚する場合もあるが、採用後だと解雇することも容易ではない。そのため、採用過程において応募者の経歴や信用状況を確認する、いわゆる「バックグラウンドチェック(バックリサーチ)」の重要性が高まってきており、特に、専門性の高い職種や顧客の機密情報に接する業種(コンサルティング、法律、会計、医療、金融、情報セキュリティ、その他個人情報を大量に扱う事業など)においては、採用後のリスク回避の観点から、バックグラウンドチェックが不可欠と認識されるようになってきている。そこで、今回は、バックグラウンドチェックの根拠と限界、それを踏まえた手順について解説する。
総務の引き出し(労務管理)
指針の適用から3か月が経過。対策は大丈夫? 努力義務化で求められる「高年齢者労災防止」の要点

労働災害による休業4日以上の死傷者数のうち、60歳以上の労働者が占める割合は、近年増加傾向にあります。また、高年齢労働者は、若年者と比較して災害が起きた際の休業期間も長い傾向があります。高年齢者の就労が一層進むと予測される中、高年齢者が安心して安全に働ける職場環境の実現が求められています。
これらの状況を背景に、労働安全衛生法に基づき、高年齢労働者が安全かつ健康に働ける職場環境を実現するために、事業者が講ずべき措置として「高年齢者の労働災害防止のための指針」が2026年2月に公示されました。この指針は2026年4月1日から適用され、従来のガイドラインに代わって事業者の努力義務の内容を具体的に示しています。「高年齢労働者」+「努力義務」ではありますが、若年者を含めた職場の安全衛生を改善する取り組みを推進するのが望ましいでしょう。
総務の引き出し(AI)
「あの人しかできない」を減らすには AIで効率化したあと、業務をどう分け直す?

前回までで、業務を支えるドキュメント群を整理し、正本、保管場所、管理責任者を定め、それらのドキュメントがどの順につながり、どこで確認し、どこで記録し、どの段階で次へ渡すかというルートを設計しました。ここまで整うと、転記や定型文書の作成といった処理はAIやツールに任せやすくなり、業務改善の焦点は次の段階へ移ります。
次に必要になるのは、人に残る仕事を固定担当者に抱え込ませず、複数人で回せるようにすることです。AI活用が進むほど、現場に残るのは、確認、例外対応、完了判定、統制といった、属人化しやすく、文脈を読みながら進める仕事です。今回扱うのは、AI活用をさらに広げる話ではなく、AI化後に人に残る仕事をどう再配置するかという設計です。
総務の引き出し(採用)
AI面接は「人に会わない採用」ではない 応募者の導入への不安を払拭する総務・人事の役割とは?

大企業を中心に、AI面接の導入が増えています。AI面接では、画面の向こうに、人間の面接官はいません。話し終えても、相手の表情から手応えを読み取ることはできません。「きちんと伝わったのだろうか」「何を見て評価されているのだろうか」――。AI面接を受ける学生が不安になるのは当然です。
企業が「AI面接を導入します」と発表すると、「機械に個人の運命を委ねるのか」といった批判的な意見が出るケースも少なくありません。採用は、学生にとって人生の岐路であり、企業にとって将来の仲間を迎える大切な営みです。効率化のために人間を締め出すように聞こえれば、身構えるのも無理はありません。
しかし、この不安のかなりの部分は、「AI面接」という名称から生まれているのではないでしょうか。実際の役割を見てみると、人間の面接官をAI面接に置き換えるというより、エントリーシート(ES)や適性検査、能力試験など、選考の入り口で行ってきた情報収集を置き換えたり、補ったりする仕組みに近いからです。
総務の引き出し(メンタルヘルス)
部下の「いつもと違う」にどう気付く? メンタル不調を見逃さない1on1の進め方

近年、多くの企業で1on1が導入されています。上司と部下が定期的に面談し、業務の進捗や課題、キャリアについて話し合う。うまく機能すれば、部下の成長支援や組織のコミュニケーション改善につながる有効な取り組みです。
一方で、精神科医として働く人の不調に接していると、企業側から次のような声を聞くことがあります。
「1on1は毎月していました」「上司は定期的に話を聞いていたはずです」「でも、本人から不調の相談はありませんでした」
ここには、職場のメンタルヘルスを考える上で重要な論点があります。つまり、1on1を実施していることと、部下が安心して相談できる状態にあることは、必ずしも同じではないということです。面談の時間は確保されていても、内容が業務進捗の確認だけになっている。上司が話しすぎて、部下が本音を出せない。相談した内容が評価に影響するのではないかと感じている。こうした状況では、1on1は「対話の場」ではなく、「報告の場」になってしまいます。
では、1on1はメンタル不調の予防に役立たないのでしょうか。そうではありません。大切なのは、1on1を単なる人事施策としてではなく、職場のメンタルヘルス対策における「ラインによるケア」の実践の場として位置付けることです。
総務の引き出し(コミュニケーション)
なぜできる人の打ち合わせはサクサク進むのか タイパを最大化するアポと事前準備の黄金ルール

限られた時間で成果を出すためには、打ち合わせの進め方が非常に重要です。ちょっとした準備をしたり、議事録を作ったりするだけで、タイムパフォーマンス(タイパ)の良い打ち合わせができるようになります。今回は、打ち合わせの成果を最大化するための方法についてご紹介します。
総務の引き出し(人事教育研修)
急激な制度改定はモチベーション低下のきっかけに 現場の納得感を大切にする、これからの人事管理

AIなどの技術進歩や地政学的な状況変化、加えて急激に進む日本社会の少子高齢化を受けて企業の人材活用、人事管理も大きく様変わりしています。転職・中途採用の増加と雇用の流動化、ジョブ型人事管理の広がり、外国人材活用の拡大や多様な人材活用の進展、ギグワークや兼業・副業など複雑化する雇用関係など従来にない変化が起きているのです。
それに合わせて、採用方法や評価処遇体系、人材育成などの人事管理も変化していくべきでしょう。しかし、どのような人事管理が自社にとって有効で適合(fit/フィット)するのでしょうか。今回はこの点について考えてみます。
総務の引き出し(リスクマネジメント)
ケアが必要なのは被災者だけとは限らない 「従業員のメンタル」を守る、見落としがちなBCP対策

日本の災害において、身体的な負担のほかに精神的な負担がかかることについては見逃されがちな傾向にありました。近年になり、災害関連死に代表されるように、一度は災害から身を守ることができても、その後の被災地での身体的、精神的ストレスにより体調を崩す例が広く知られるようになり、災害時の被災者の心の健康をいかに保つか(以下、こころのケア)が注目されています。石川県の「令和6年能登半島地震における災害関連死の概況」によると、2024年に発生した能登半島地震では家屋倒壊などによる直接死で228人が犠牲になったほか、直接死とは別に449人が災害関連死と認定され、そのうち「地震のショック、余震への恐怖による肉体的・精神的負担」が原因とされた方は395人となっています(2025年12月現在、複数回答)。「地震のショック、余震への恐怖による肉体的・精神的負担」の中には、精神が不安定になり持病が悪化したことや、心身への相当な負荷を理由とした自殺も含まれます。
そもそも自身に肉体的なけががなくても、精神的な動揺やひどいショックを受けてしまうというのは、人間誰にでも起こり得る反応です。そうした心の健康を損ねた従業員を、企業として放置することは、災害後の事業継続においての体調不良による人員不足、ひいては体調不良が継続することによる退職などにつながりかねず、企業にとって無視できないリスクとなっています。企業は被災時、被災後にこころのケアを必要とする従業員に対してどのように備えていけばよいのでしょうか。
総務の引き出し(オフィス)
本当に「フリーアドレス」は必要か? 形だけの導入で終わらせないオフィス戦略・運用の最適解

近年、業務の内容や目的に応じて社員が自由に席を選べる「フリーアドレス」を採用する企業が増えていますが、これを単なるレイアウトの変更にとどめず、理想とする働き方を実現するための経営戦略として捉え直すことが重要です。今回は、フリーアドレス普及の背景にある社会的な変化や実務上の課題をひも解き、各組織にとって真に最適なオフィス環境の在り方を探ります。
総務の引き出し(SDGs)
「産業戦略」でもある欧州グリーンディール 循環を支える仕組み化とデータ化とは

資源循環を強制する新たな市場ルールに対し、日本企業はどう向き合うべきか。規制をコストではなく勝機に変えるために、今押さえておくべき変革の要点を解説します。
本誌転載「令和の朝礼」
業務連絡だけじゃもったいない! 毎日10分の「朝礼」で職場のコミュニケーションを活性化

本誌の調査では、朝礼を行っている企業は約7割。多くの企業で長く続けられてきた取り組みであり、日常業務の一部として定着している。一方で、せっかく集まり時間を使っているにもかかわらず、業務連絡やタスクの確認だけの場になってしまっているケースも少なくないのではないだろうか。本連載では4回にわたり、朝礼が組織にもたらし得る効果をあらためて整理し、意味ある取り組みとするための考え方や実践のヒントを探る。
コロナ禍を経て希薄になった社員の帰属意識やコミュニケーション量の不足がフォーカスされ、改善に向けた企業の取り組みが進んでいる。この流れの中で今、再評価されているのが「朝礼」だ。そもそも朝礼が担っていた役割とは何なのだろう。今回、次回は、『月刊朝礼』を刊行する株式会社コミニケ出版代表の下井謙政さんにお話をうかがった内容を紹介する。同誌には、朝礼で話すテーマが1日ずつ、365日紹介されている。
マンネリ化と一方通行でモチベーションの低下に 中小企業こそ見直したい「人が育つ」朝礼とは

前回は、朝礼の効果について解説しました。今回は、朝礼が形骸化してしまう原因や、朝礼に取り組むべき理由について解説します。
これまで5000人以上が見学した「日本一の朝礼」から学ぶ 経営理念を実現させる進め方のポイント

古田土会計グループは「日本中の中小企業を元気にする」ことを使命にしているが、元気の原動力になるのは、社員一人ひとりの幸せだ。同グループでは人を大切にする経営を自ら実践しており、取り組みの一環として朝礼がある。経営理念を浸透させ、社員の「人間力」を高める朝礼とはどのような内容なのか。
設計に込められた願いやプロジェクトチームによる運営を取材した。その取り組みの詳細を、2回にわたって紹介する。
自社らしさを取り入れ、朝礼のマンネリを打破! 組織をアップデートし続ける仕掛けづくりとは

前回は、古田土会計グループが実践する「日本一の朝礼」の意義やその進行内容などについて紹介しました。今回は、その朝礼をマンネリ化させず、常に進化し続けるための具体的な工夫を解説します。
連載「現場が軽くなる。総務の『仕組み化』処方箋」
部下に「あの件、どうなっている?」はNG 現場を自走させる、事実ベースの「報告」3つのルール

「指示が徹底されない」「進捗が不透明で常に不安を抱えている」といった現場の混乱に頭を悩ませていませんか? その最大の原因は、報告・連絡・相談(報連相)の運用が「個人の解釈」や「感情」という曖昧なものに委ねられている点にあります。今回は、識学理論に基づき、主観や言いわけを徹底的に排除した「事実ベースの報告ルール」を構築する方法を解説します。上司と部下の正しい位置関係を取り戻し、現場の迷いを一掃して生産性を最大化する仕組みを学びましょう。
単発企画
【気温40℃超時代のBCP対策】総務部門が今、策定しておくべき「酷暑日」の初動対応ルールとは

2026年4月、気象庁は最高気温が40℃以上の日を「酷暑日」と定めました。夏の暑さは、もはや過去の常識が通用しない未知のレベルに達したのかもしれません。気温40℃超の世界では、熱中症リスクの急増だけでなく、著しい作業効率の低下、機器・設備への負荷、電力需給の逼迫、物流混乱など、企業経営に直結する多様なリスクが顕在化します。熱波は自然災害と同様、総務部門が主導して備えるべき「事業継続(BCP)」の重要課題なのです。本記事では、熱波を災害・経営リスクと位置付け、企業が今すぐ取り組むべき対策を総務の視点から解説します。
特別企画「『情報が届かない問題』の正体とは? 伝えたつもりをなくす、情報共有の設計術」
「伝わらない」を仕組みでゼロに! 誰がやっても成果が出る、社内周知の徹底チェックリスト

本連載を通じて、情報共有を支える設計知識からツールの整備、心理的安全性という土壌づくりまでを順に解説してきました。最終回のテーマは、それらを確実に運用するための「誰がやっても届く型」です。周知の配信前・中・後で使えるチェックリストと、事務連絡を「自分ごと」に変える編集術を解説します。
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
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