月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】部門横断の「チームヘルシー」が自発的な活動で健康経営を促進

2019-06-13 11:20

創業して10年、「ええ会社をつくる」とのミッションを掲げて、コンサルティングや、HR Tech、Webメディアなど、企業変革のための多彩な事業を展開しているRELATIONS株式会社。自らも自律型組織による「ええ会社」作りを進める中で健康経営を推進。そのけん引役である「チームヘルシー」の活動を中心にお話をうかがった。

取材・文◎石田ゆう子

「休職者を減らしたい」と有志が始めた衛生委員会

 これからの時代の「会社のあるべき姿」を追求し、コスト改善コンサルティングや、現場の事例から学べるビジネスメディア「SELECK」、組織変革をサポートするマネジメントツールなどを手掛けている同社。「弊社のミッション『ええ会社をつくる』には、私たち自身が良い会社であろうとの意味もあります。事業にかけるのと同じ重さで組織作りにも力を注いでいます」と、CCOの高橋直也さんは話す。目指すのは、一人ひとりが自律し、自ら意思決定ができる「自律型組織」。バックオフィスは4人で担っているが、「組織はみんなで作る」のが同社の考え方。会社の課題もみんなで解決する。
 社員旅行やレイアウト変更なども、手を挙げた人がプロジェクトを立ち上げる。そういった部門横断のチームが社内にはたくさんある。その一つが「チームヘルシー」だ。「チームヘルシー」とは、いわゆる「衛生委員会」のこと。2017年4月、コーポレートの関口真弓さんが自発的に立ち上げた。
 「きっかけは当時、社員数が45人と、50人目前であったこと。しかしながらそのうちの4人が休職中という状況に危機感があり、社員が専門家に相談できる体制を整えようと立ち上げました」と、関口さん。第1期は、各事業部からメンバーを選び、部門横断の7人体制でスタートした。

データから前兆をつかみ、悪くなる前に「声掛け」

 まず取り組んだのは、社員の健康状態を可視化する「ヘルシーシステム」の導入。これは、健康予測につながる社内のデータを収集し、そこから社員の健康状態を推測して、個別に対応するもの。たとえば、勤務時間や有給取得日数、健康診断や「Wevox」(組織サーベイ)の結果など。中でも着目したのが、「Slack」(社内チャット)の投稿数やアクセスログだ。
 Slackは、管理者から誰がどれくらい投稿しているかが見える。あるメンバーが倒れる前、投稿数の急増、急減という不自然な動きをしていた。これは指標の一つになると、メンバーに公表した上でモニタリングを始めた。実際、Slackの利用状況から前兆を感じ取り、「最近、睡眠の質、悪くない?」などと声を掛けたところ、「そういえば」と本人も気付き、専門家との面談に進めたケースも増えている。「声を掛けてみて違う場合もありますが、かなり当てはまっています。違ってもかまいません。『自分のことを見てくれている人がいる』と知ってもらえるだけでいい。これ以上、休職者は出したくない。今、調子が悪そうな人はいないか。それを読み取って、事前に声掛けをする取り組みを、第1期では徹底して行いました」(関口さん)。
 場合によっては直接声を掛けず、身近な人から聞いてもらうこともある。ちなみに、Wevoxの結果が全体的に落ちているときは、会社の雰囲気も良くない。いろいろなデータから社員の健康状態を把握することは、おおむねできていると実感している。

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プロによる相談窓口や「ヘルシーおやつ」も好評

ph_relations02.jpg もう一つ、取り組みとして大きかったのが、EAP(従業員支援プログラム)の導入だ。外部の総合診療医と契約し、社員との面談や、会社へのアドバイス、社内研修などのサポートをしてもらっている。面談は、最初に全社員と行い、必要な場合は面談を継続。逆にメンバーからの希望に応じても行っている。面談は、執務スペース内の会議室を使い、産業医の先生がよく訪れているようすがわかるように工夫。社員からは、「話すと元気になる」との声も多く好評だ。「こういった相談窓口があると、みんなも安心してくれます。大切なのは気軽に使ってもらえること。産業医の先生をあだ名で呼ばせていただき、親しみやすさを意識しています」(高橋さん)。
 ほか、ナッツやドライフルーツ、焼きのりなど、健康を促進するような「ヘルシーおやつ」をオフィスに導入。また、血圧計、常備薬を置いた保健室も設置した。ただ、血圧を測る人が少ないのが課題。何か血圧を測ることを楽しんで競い合うような仕掛けができないか、検討中だ。

スポーツ手当の利用も促進。会社の健康スコアが改善

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 月に1回ほど、社内に講師を招いての朝ヨガ部も開催。費用はスポーツ手当「カラダにピース」制度を利用している。これは、ジムやテニス、整体やはりなど、健康への投資に対して月に1人1万円まで会社が補助してくれる制度。これらの利用促進も含めたチームヘルシーの活動の結果、会社の健康スコアは、開始時より17パーセント改善(Wevoxの結果より。2019年2月現在)。ヘルシーという言葉自体、社内で頻繁に使われており、肌感としても社内の健康意識は上がってきているという。「チームヘルシーというネーミングにしたのが良かった。たとえば飲み会も、『ヘルシー懇親会』としてグルテンフリーのお店で開くなど、ことあるごとにヘルシーという言葉を使ってきました。そうした啓発活動によって、少しずつ『ヘルシーに働かないといけないんだ』ということが頭の中に擦り込まれていったのだと思います」(高橋さん)。現在、チームヘルシーは第2期に入っており8人が所属。メンバーは前回と総入れ替え。全員、立候補だが、健康意識が特別高いというより、「会社をもっと良くしたい」との思いが強いようだ。
 今の課題は、メイン業務は別にある中、十分な活動時間が取れないこと。チームヘルシーの定例会は、産業医の先生を交えて月に1回30分。検討事項など、もう少しスピーディーに進めたいとの思いはある。あとは、生産性などの指標で、チームヘルシーの活動の価値を示せるようにできないかとも考えている。「今後は、社内外問わず、もっと情報発信をしていきたい。他社さんとも連携して、チームヘルシーの活動を広げていけたらと思っています」(関口さん)。


【会社DATA】
RELATIONS株式会社
本社:東京都渋谷区渋谷2-12-4ネクストサイト渋谷ビル10F
設立:2009年2月17日
代表者:代表取締役社長 長谷川博章
資本金:1,000万円
従業員数:48人(2019年3月時点)
https://www.relationsgroup.co.jp/


RELATIONS株式会社
CCO(Chief Culture Officer) 高橋直也さん
コーポレート 関口真弓さん
たかはしなおや●2009年RELATIONS株式会社を共同創業。コンサルティング事業部立ち上げや、フィリピンでの新規事業の開発に従事。2015年から現職。組織作りや採用の責任者を務める。趣味は音楽で、社内バンドではギターを担当。スポーツ手当を使ってテニスクラブ通いも。
せきぐちまゆみ●短大在学中からダブルスクールで演劇を学び、卒業後は劇団所属後、フリーの俳優に。スナックの看板娘、区役所の職員、Webディレクターなどを経て、2016年入社。労務を中心にコーポレート業務全般を担当。休日はお芝居を見たり、ジムにも通ってヘルシーに!