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1968年設立、血液や尿などを採取して調べる検体検査領域を中心に検査機器・試薬を提供するシスメックス株式会社。兵庫県神戸市に本社を置き国内外で事業を展開。東京支社ではフリーアドレス化やコロナ禍などの影響で、コミュニケーション機会が減少していることが課題に。そこで社員の素の姿まで引き出すインタビュー形式の紹介施策を導入し、効果を出している。
取材・文◎石田 ゆう子
支社員の顔と名前が一致しない状態に危機感
「ヘルスケアの進化をデザインする。」のミッションの下、190以上の国と地域に臨床検査機器などを届けている同社。東京支社には250人が所属。そのバックオフィスを担う総務・法務本部施設管理部事業所管理課係長の芦髙真千子さん、同課の越野侑季さん、佐々木優実さんの3人で立ち上げたのが新しいコミュニケーション施策「TSUNAGARUプロジェクト」(つなプロ)だ。
きっかけは、フリーアドレスにしたことで誰がどこにいるのか、誰が出社しているのかがわかりにくくなってきたこと。「中途入社の人も多く、仕事でかかわりのない人の顔と名前が一致しないといった状態になり始めていました」と芦髙さんは話す。加えてコロナ禍でテレワークが浸透。社員同士の関係はますます希薄になっていた。
そのことは当時、育休中だった佐々木さんにとっても気掛かりなことだった。「出社しないことで会社へのロイヤルティーも低くなり、離職率が上がっている企業もあると聞いていましたから。実際、2021年5月に復帰してみると、とてもすてきなオフィスになっていたのですが、誰がどこにいるかわからないし、マスクで顔もよくわからない。社員の顔と名前が一致しないのは総務として致命的でした」(佐々木さん)。
そうした声は周りからも聞こえていた。これは何とかしなければと考えたのが、インタビュー形式の人物紹介企画「つなプロ」だった。
雑談の延長で個を引き出す 録音もしないことが鍵
毎回1人の支社員を招いて、基本的には対面で1時間ほど話を聞く。雑談の延長で話してもらえるよう、録音はしない。リラックスした雰囲気の中で、入社のきっかけから思い出深い仕事のエピソード、趣味や休日の過ごし方まで自由に話してもらう。
聞き手は佐々木さん。写真撮影やインタビュー中も発生する通常業務に対応するのは芦髙さん。そして、インタビュー内容を速記して記事にまとめるのは越野さんの担当だ。
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