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ディップ株式会社, 総務部
(左)部長 本間忠俊(ほんまただとし)さん
2005年中途入社。他企業も含めて総務歴は20年近くに及ぶ総務のプロ。趣味は走ること。ハーフマラソンやフルマラソンの大会にも参加。「誘われて2008年の戸田マラソンに参加したのがきっかけ。性に合っていたようです」。
(右)ファシリティ・マネジメント課 チーフ 小森麻子(こもりあさこ)さん
2007年中途入社。2010年人事から総務に異動。2度の産休育休を経て、時短勤務にて現職に復帰。5歳と1歳半の2人の子育て真っ最中。「専業主婦には向いていない。社会ともつながっていたいですし、仕事が好きなので続けていきます」。
求人情報サイトの「バイトル」「はたらこねっと」などを運営するディップ株式会社。2017年、設立20周年を機に本社オフィスを六本木グランドタワーに移転。新しいオフィスの快適な環境を維持するために、美化活動やルールの周知徹底に取り組んでいる。作って終わりではないオフィス環境維持管理についてお話をうかがった。
取材・文◎石田ゆう子
オープンスペースの機能や快適性を保つことが課題に
全社員約1,600人のうち、本社オフィスには、ワンフロアに400人強が働く同社。総務、ファシリティ・マネジメント関連は10人のスタッフで担っている。
総務部長の本間忠俊さんは、「新しい本社オフィスのコンセプトは、“日本一コミュニケーションが取りやすいオフィス”。会議室のほかにも、オープンミーティングスペース、カフェスペースなど、コミュニケーションが生まれやすいような空間をたくさん作りました。しかし、そうしたパブリックスペースは、放っておくとどんどん汚くなってしまう。では、誰が面倒を見るのか。やはり総務だろうと、できるだけ手間とパワーは掛けずに、一定以上のきれいな状態を保てるやり方を考えてきました」と説明する。
その活動をけん引する総務部ファシリティ・マネジメント課チーフの小森麻子さんは、「育休明けに戻ってきて新しいオフィスを見たときは、すごい!今までとは全然違う!との感動もありましたが、執務エリア内にもオープンミーティングスペースがたくさんできていた。『これは、総務が管理をしていかなくてはいけないところが増えたな』と思いました」と振り返る。
会議室9部屋のほか、オープンミーティングスペースは十数か所に及ぶ。移転直後はきれいなオフィスも何もしなければ次第に劣化していく。外部の清掃会社に委託しているのは、掃除機掛けとごみの回収のみ。社内で定期的に行っているアンケートにも、「汚れが気になる」との書き込みがで出てきた。総務として環境維持が課題になった。
総務による美化活動を開始 ピクトサインも手作り
総務では毎朝9時に、エントランスの扉を開放する仕事を、2人1組、5チームの交代制で担っている。それに合わせて、受付や会議室周りの掃除をすることにした。テーブル拭き、イスの整理整頓、モニターの指紋除去、ホワイトボードにもなる壁の汚れ拭き、ごみ拾いなど。
「加えて、使う社員やお客さまが不便を感じないよう、モニターのリモコンや、ホワイトボードのペンなどの備品の紛失がないか。什器に不具合はないか。それも併せてチェックをするようにしました」(小森さん)。
チェック表を作り、毎日、始業時間までの20分を使ってチェックをして回る。毎日しているからこそ環境が維持できる。
さらに週1回、執務エリア内のオープンミーティングスペースでも、同じような活動を行っている。やってわかったこともある。ホワイトボード兼用の壁は、素地が完全なフラットではないため、書かれた文字のインクが残りやすく、イレイサーだけでは完全にはきれいになりにくい。前の会議の跡がうっすらと残っていては、次の人たちが気持ちよく使えないだろうと、洗浄力の高い洗剤を使って落とすようにした。
また、環境維持でいうと、ごみの分別や、オープンミーティングスペースでの会話の声量など、運用していく中で上がってきた問題を解決するためのルールやガイドラインも整備。その周知徹底のためのピクトサインも総務で手作りしている。これも、オフィス移転の際に作ってもらったピクトサインとテイストを合わせることで美観は損なわずに、社員がわかりやすいよう工夫している。こうした活動は、社内アンケートなどを見る限り、一定の効果につながっている。
課題は、社員に対する環境維持の意識付け
活動を始めておよそ3か月。今の課題は、チェック項目が多くなってチェックするのが大変になってきていること。
「見るところは多い方がいいと、最初は欲張ってしまいましたが、毎日、チェックすべき内容と、1週間に1回見ればいい内容もある。見直し始めたところです」(本間さん)。
どこを重点的にチェックすればいいかといった、状況の把握もできてきた。チェック表をもっと簡単に、レイアウト図に丸をつけていけばいいような形に変えようと改善中だ。この取り組みによって、週に1度の当番制でも、ほかの執務エリアを意識して見られる機会ができたことは、総務にとって一つの収穫だ。
今後、本社オフィス同様、ほかの拠点でもコミュニケーション活性化のための空間作りは進む。オープンスペースは増えていく。同じ課題が出てくることを考えれば、その対策作りにも役に立つ。ただ、この活動を総務内だけで終わらせていることに課題も感じている。共有スペースであるからには、社員にも環境維持の意識が持てるようにしたい。
「今後、取り組んでいきたいのは、月に1回でも、社員にこの美化活動をしてもらうこと。やり方はこれから考えていきますが、月に一度でも清掃をしてみることで、社員の意識付けができるのではないか、オープンスペースの使い方が変わってくるのではないかと考えています」(小森さん)。
新たな環境と習慣作りで働き方変革を総務が推進
そもそも、今回の新オフィスは、働き方改革(同社では働き方変革)の一環でもある。日本一コミュニケーションが取れる空間を作れば、生産性の向上にもつながっていく。ただ、働き方変革には、環境だけでなく、習慣作りも大切だ。
今回、本社オフィスでは一部でフリーアドレスも導入した。先行導入した拠点では、「個人のロッカーにいちいち荷物を取りに行くのがたいへんだ」との意見が社内アンケートに上がっていた。それを参考に、1人に1つ、トートバッグを支給。仕事に必要な物はそれに入れて持ち運びできるようにした。このように何か工夫して、習慣を変える仕掛けもしていく。
「いずれは環境維持の取り組みも現場でできるのが理想。その方が愛着を持って使ってもらえるでしょう。そのために、なるべく手間の掛からない仕組みを作って現場に下ろす。そうしたことが総務の仕事になっていくと思います」(本間さん)。
オフィスは作って終わりではない。環境維持も働き方変革の一環。今後も総務のミッションとして取り組んでいく。
【会社DATA】ディップ株式会社
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