総務の現場から

120周年記念事業で得られた自社への誇りと、つながり力

月刊総務 編集部
最終更新日:
2018年03月12日

1897年創業の株式会社明電舎。創業120周年を迎えた昨年、技術展の開催や、イメージソングの制作、体験学習や海外ボランティアの実施など、ステークホルダーへの感謝の気持ちを込めてさまざまな記念事業を行った。同プロジェクトをけん引した中心メンバーに、周年記念事業のねらいや進め方のポイント、成果などをうかがった。

取材・文◎石田ゆう子

誰に向けて、何をするか。分科会ごとに事業を展開

同社にとって2017年は、創業120周年であり、設立100周年にもあたる節目の年。社内外に同社の存在意義をアピールするチャンスイヤーとして、社を挙げて記念事業に取り組むことになった。開催期間は2017年の1年間。2015年11月にはプロジェクトを発足し、人事発令。プロジェクトリーダーは副社長。プロジェクトメンバーは30人弱で、基本的には通常業務との兼任だ。

まずは記念事業のコンセプトを決定し、意思統一をはかった上で、技術展/海外ボランティア/プロモーション/体験学習/一体感醸成とテーマ別の分科会を設けて、記念事業を展開していった。

「分科会は、お客さまや取引先向け、地域貢献、社内向けと、ステークホルダー別にターゲットを定めて作りました。この分科会の実務を取りまとめるメンバーには事務局にも参加してもらい、一緒に全体を見ながら進めてきました」と、事務局を務めた経営企画グループ 管理部 管理課長の太田亮人さんは話す。

実は、プロジェクトのキックオフは、2015年3月とさらにさかのぼる。まずはメンバーでアイデアを出し合い、予算や実現性、効果などを踏まえて検討。2015年9月、役員に報告し、素案が固まった。ここからより幅広い発想を得るために、広告代理店にも入ってもらった。

「この段階で、すでにコンセプトは定まっていました。すべてのステークホルダーに感謝の気持ちを伝える。当社の伝統と新しい価値をプロモーションする。社員の輪を作る、と。それをどう表現するかというところは、広告代理店にも入ってもらって、一緒にコンセプトワードを決めていきました。このコンセプトが、最後までぶれずにいけたのはよかったと思います」と振り返るのは、プロモーションの分科会を担当した、営業企画グループ 宣伝課長の村松尚子さん。事業を実現する過程においては、反対意見や迷いも生じる。そうしたときにはコンセプトに立ち返ることでぶれずに進めることができたという。

実際に行った事業としては、記念ロゴの作成や、120周年記念特設WEBサイトの公開。ここでは谷川俊太郎さんによる記念詩や、歴史コンテンツで120年の歩みや想いを伝えた。また、歌手May J.さんを起用してイメージソングも制作。これは従業員から歌詞を募集し、一業所周辺の中学校での理科体験学習、タイでの地域貢献活動も実施。中でもいちばん力を注いだのが、東京、名古屋、大阪で開催した技術展だった。

技術展は、社内外へのいいアピールの場に

meidensha01.jpg

「役員も技術も営業も開発も、グループを挙げて総動員で取り組みました」と話すのは、技術展の分科会を担当した、生産統括本部 環境戦略部長の笹本紋子さん。当時、研究開発部門に属しており、「技術展をやるなら開発の人を」と白羽の矢が立った。

「弊社の製品は一般的になじみのないものが多く、お客さまに関心を持っていただくための見せ方やプレゼン方法などに苦心しました」と笹本さん。宣伝課や営業に相談しながら準備を進めたという。

「実際に製品の説体感醸成につなげた。ほか、国内事明員をした技術や開発の担当者も、役員のアドバイスを受けながら、わかりやすい説明を追及しました。通常業務と同時に進めていたのでたいへんでしたが、お客さまと直接コミュニケーションを取ることが少ない技術や開発の担当者にとって、お客さまの生の声を聞かせていただくすばらしい機会になったようです。30年ぶりのプライベート技術展だったので、どうなるか不安でしたが、目標をはるかに超えるお客さまにご来場いただけましたし、社内外ともに評価を得られた成果の大きいイベントとなりました」(笹本さん)。

つながり力と、自社への誇りを持てたことも成果

一体感醸成の分科会を担当した人事・総務グループ 人事企画部 労務企画課長の野口英明さんは、「今回は、従業員と家族、OB、海外も含めての一体感醸成がテーマだったのですが、最初に担当役員からその思いを伝えて、スタッフと意識の共有をはかれたことがよかったですね」と振り返る。

通常の社内イベントにも120周年の冠を付けて、より多くの人に参加してもらえるような企画、運営に努めた。結果、1年を通してのイベントの集客数は、延べ1万人を超えた。

「アンケートでは、ご家族からの喜びの声もあり、これが非常にスタッフのモチベーションになりました。なによりの成果は、明電グループとして一体感醸成がはかれたこと。これに尽きます」(野口さん)。

同社は社員が取るべき行動の精神を5つの言葉で示しているが、特に重視しているのが「つながろう」という言葉。今回も広告代理店や、お客さま、地域、従業員とつながることでここまでやることができた。「社員一人ひとりが自身の仕事の意味をあらためて考える機会となり、自社への誇りを持てたことも記念事業の成果でした」(村松さん)。

周年記念事業は作る過程すべてが財産

社内外から「やってよかった」との評価を集めた周年記念事業。成功のポイントはいろいろある。たとえば、取り組む前には、他社の記念事業について聞きに行った。分科会をまとめる4人が常に連携し、コンセプトからぶれないようにした。

「また、周年特設WEBサイトでは、社外よりもむしろ社内に対して情報を発信。一方で、従業員からはアンケートを取ったり、イメージソングの歌詞を募集したり。双方向でやることも大切だと思います」(野口さん)。また、これをすべき、という正解はないだけに、丁寧に取り組むしかないとも。

「社内の人脈も、社外のリソースも生かす。いろいろな意見に耳を傾けて、粘り強く企画を練り上げる。事務局はその仕掛け作りと、盛り上げをする。周年記念事業はやることだけが目的ではなく、作っていく過程が大事。ここでできたつながりを、またほかの仕事に生かせると思っています」(太田さん)。


【会社DATA】株式会社明電舎

本社:東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower
設立:1917年6月1日(創業1897年12月22日)
代表者:取締役社長 浜崎祐司
資本金:170億7,000万円(2017年3月31日現在)
従業員:連結 8,474人 単独 3,695人(2017年3月31日現在)

続きは無料の会員登録後にお読みいただけます。

  • ・組織の強化・支援を推進する記事が読める
  • ・総務部門の実務に役立つ最新情報をメールでキャッチ
  • ・すぐに使える資料・書式をダウンロードして効率的に業務推進
  • ・ノウハウ習得・スキルアップが可能なeラーニングコンテンツの利用が可能に

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

著者プロフィール

g-soumu-editors-portrait-webp


月刊総務 編集部

パンデミック、働き方の変化、情報技術への対応など、今、総務部門には戦略的な視点が求められています。「月刊総務オンライン」は、そんな総務部門の方々に向けて、実務情報や組織運営に役立つ情報の提供を中心にさまざまなサービスを展開するプラットフォームです。


総務の現場から」の記事

2022年11月29日
人となりまで伝わる社員紹介企画で部門を超えて「TSUNAGARU」会社に —— シスメックス
2022年10月31日
50年前から健康に投資。コロナ禍でサンスター体操の開発など新施策も
2022年09月29日
「北風と太陽」を原点にした企画で、新たな施策を浸透させる戦略総務
2022年08月26日
社員の体験価値を最大化する部署 エンプロイーエクスペリエンス部
2022年07月27日
移転で業務を再設計、DX化も推進。「従業員のためのオフィス」へ――グリー株式会社
2022年06月23日
部署も役職も超えて人と人で紡ぐ 「ヨコイト」ファミリー制度を導入――シマダグループ株式会社
2022年03月17日
遊休席は減らして、交流の場を広く。アイデアが生まれるオフィスに改革
2022年02月09日
積極的なSNS運用で採用に効果 インフルエンサー社員には手当も
2021年11月17日
「やる気ボタン」など独自の施策でエンゲージメント向上
2021年10月25日
今の変化を恐れず、働き方を多様化 オフィス縮小移転、週4正社員も
2021年10月06日
心身の健康が企業価値を向上させる ウェルビーイング経営を実践
2021年08月20日
自由な発想で社内外のファンを増やす 新入社員だけの「おもてなし課」
2021年07月21日
デジタルサイネージによる情報開示で社員の「自律自走」をあと押し
2021年06月14日
オンラインだからこそ実現できたコミュニケーション施策とCSR活動
2021年05月17日
ゲーム感覚でスキルアップができる リモートに適した評価制度を導入
2021年04月13日
「脱」オフィス・ハンコ・出社でニューノーマル時代の働き方を構築
2021年03月12日
社員と家族の生の声を聞くために「社員の子供だけの会社」を設立
2021年02月15日
ポジティブ広報でみんなを味方に。社員と作る「みんなのオフィス」
2020年12月10日
国内大手の管理部門系BPO企業が管理とサービスを両輪に総務を改革
2020年11月13日
リモートとオフィスの利点を融合。「ハイブリッドワークモデル」の実現へ
2020年10月13日
健康支援と働き方改革を両輪に 「KAITEKI健康経営」を実行中
2020年09月11日
リモートワークで増えた対話機会 社員間の理解が深まり関係性も向上
2020年08月11日
ABWを導入した新しいオフィスで安心、安全に、多様な働き方を実現
2020年07月16日
コロナ禍のピンチをチャンスに! ITを生かした次世代入社式を開催
2020年06月11日
タクシー業界のイメージを変える 独自の働き方改革で若手社員が定着
2020年05月18日
訪問看護の現場の声に寄り添った独自の働き方改革を推進
2020年04月10日
業務を洗い出し、不要業務を廃止。業務DXの実践で、生産性向上へ
2020年03月13日
階級も役職もなく、価値観を軸に エンゲージメント高く働ける会社
2020年02月14日
コミュニケーション改革から進める 70年企業のリブランディング
2020年01月10日
子育てと就業の両立を支援する、「子ども同伴勤務制度」を導入
2019年12月13日
社員の家族や友人に感謝を伝え、会社への理解を育むファミリーデー
2019年11月15日
時間と場所という制約から解放された、仕事本位の自律的な働き方を推進
2019年10月25日
会社と組合が理念の下に一致団結! 有休取得率100パーセントを継続
2019年09月12日
ゲーム感覚の残業時間予測制度で、楽しみながら働き方改革を推進!
2019年08月15日
若手社員の早期離職を未然に防ぐ、中立的な「キャリア相談室」を設置
2019年07月12日
緊急対策本部立ち上げ訓練など、多彩な施策で防災意識と知識を向上
2019年06月13日
部門横断の「チームヘルシー」が自発的な活動で健康経営を促進
2019年05月13日
時間に制約ある働き方を疑似体験!「なりキリンママ・パパ」研修
2019年04月11日
ITを駆使して、スマートに働く。ソフトバンク流働き方改革を実践
2019年03月15日
作る過程から会社の思いを共有。従業員巻き込み型のオフィス移転
2019年02月15日
月曜午前中に「営業休」を導入。従業員のやる気も生産性も向上!
2019年01月17日
客先勤務者も含めた全社員で臨む。成長をキーワードにした働き方改革
2018年12月13日
IoTで働き方を可視化&改善。本社内に"最高の集中空間"を開設
2018年11月15日
サテライトオフィスや分身ロボットで、働き方の選択肢がさらに充実
2018年10月11日
健康経営は、働き方改革との両輪で。家族も巻き込むことで推進に拍車
2018年08月16日
学生にも、会社にもメリットがある 個性重視の「ユニーク採用」を実施
2018年07月12日
FAQ形式の社内ポータル導入で問い合わせが減少、業務効率アップ
2018年06月12日
自ら学び、実践し、教えるループで「働きがいのある会社」を実現
2018年05月17日
より健康的で働きやすい環境を整備 ダイバーシティで自走組織を目指す
2018年04月17日
コミュニケーションが活性化し成長するストレスオフな組織作り
2018年03月12日
120周年記念事業で得られた自社への誇りと、つながり力
2018年02月19日
「時間も場所も働き方は自分で選ぶ」 これからの新しい働き方を実践
2018年01月12日
作って終わりにしないオフィス管理 総務主導で取り組む環境維持活動
2017年12月11日
赤十字社の活動をもっと身近に。広報誌と連動させたロビーに改修
2017年11月17日
選べるインターンシップを導入し、主体的に動ける人材の確保を目指す
2017年11月06日
節電キャンペーンでコスト削減 拠出した寄付金で取り組むCR活動
2017年08月17日
会社と従業員を結び、成長につなぐコミュニケーションコーディネーター
2017年07月18日
技術開発と総務が一緒になって「スクラム」で業務を改善
2017年06月16日
全学体制で女性活躍推進に取り組み 5年間で女性教員比率を2.5倍に
2017年05月18日
訓練と実践から常にアップデート 生きた非常時対応の仕組み作り
2017年04月13日
働き方変革をさらに前進させる「退社時間の見える化カード」
2017年03月13日
社員が安心して長く働けるよう育休や妊活支援など人事制度を拡充
2017年02月10日
多様な価値観の社員の声に応えた 選べる勤務制度と進化系オフィス
2017年01月19日
ベンチャーから上場企業への成長を 人と組織作りから支える戦略人事

関連記事

  • 出社時の座席は抽選。座席管理システムで、固定席からフリーアドレスへソフトランディング PR
  • 通話内容を解析・可視化するAIツールで、リモートワークのコミュニケーション課題を解消! PR
  • ファンケル、企業の健康課題にあわせて、多様なサービスで健康経営をサポート! PR

特別企画、サービス