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「社会に学び、社会に貢献する技術者の育成」を建学の精神として、1927年に設立された芝浦工業大学。2012年から、女性活躍推進に本格的に取り組み、5年間で女性教員比率を2.5倍にした。その成果を生んだのは、トップの強いリーダーシップはもちろん、実態をデータによって可視化した意識啓発活動だった。
取材・文◎石田ゆう子
工学系女子を増やすため、まずは女性教員を増やす
現在、「世界に学び、世界に貢献する理工学人材の育成」との人材育成目標を掲げる同大学。2013年、創立100周年に向けた大学の中長期行動計画の中で、ダイバーシティ推進先進校を目指し、女性活躍推進に取り組むことを発表。
その背景について、同大学学長補佐 男女共同参画推進室長 大学院 工学マネジメント研究科 教授の國井秀子さんは、「日本は女性教員や研究者が非常に少なく、産業界のニーズからしても、技術系の女性があまりにも少ない。エコシステムを回すには、理工系分野の女子学生から増やさなくてはなりません」と説明する。
やはり女性教員が少ないと、女子学生は入りにくいし、相談する相手にも困るという状況になる。そのためにはまず女性教員を増やすことで女子学生を増やし、社会に女性技術者を輩出していく。それが同大学のミッションだ。
「もちろんスーパーグローバル大学としては、女性教員比率30パーセントの長期目標を掲げていますし、それ以前から、女性研究者を増やして、グローバルに通用する国際的にランクの高い大学にしていこうとの流れはありました。それがここにきて加速している理由の一つに、深刻な人材不足の中、やらなくてはいけない重要なことだと、産業界側のニーズを認識する人が増えてきたこともあります」
育休中でも研究が回るよう研究支援員がサポート
実際に取り組むにあたっては、男女共同参画推進室を開設。KPIを設定し、学長がリーダーシップを取り、強く推し進めていった。また、文部科学省科学技術人材育成費補助事業「女性研究者研究活動支援事業(一般型)」に採択され、3年間実施したのも大きかった。
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