総務の現場から

赤十字社の活動をもっと身近に。広報誌と連動させたロビーに改修

月刊総務 編集部
最終更新日:
2017年12月11日

1887年の創設以来、都内の赤十字活動を担っている、日本赤十字社東京都支部。昨年、長年の課題であったオフィスの改修と運用改善に取り組み、訪れる人にも、働く人にも寄り添う空間に一新。また創設130周年を迎えたことを契機に、中長期計画「近未来ビジョン130」を策定した。プロジェクトチームのみなさんにお話をうかがった。

取材・文◎石田ゆう子

日本赤十字社 東京都支部 総務部 企画課 企画課長 本多貴久(ほんだ・たかひさ)さん(左上)、会計課 用度係長 杉浦重好(すぎうら・しげよし)さん(右上)、会計課 会計課長 市川浩二(いちかわ・こうじ)さん(左下)、会計課 主事 竹松美沙(たけまつ・みさ)さん(右下))
日本赤十字社 東京都支部 総務部
企画課 企画課長 本多貴久(ほんだ・たかひさ)さん(左上)

2001年入社。青少年育成などを経て2017年より現職。挑戦したい仕事はインターナルブランディング。趣味は釣り、キャンプ。 会計課 用度係長 杉浦重好(すぎうら・しげよし)さん(右上)
1984年入社。高校時代に青少年赤十字で活動を開始した生粋の赤十字マン。趣味は音楽鑑賞、ピアノ、トランペット、散歩。 会計課 会計課長 市川浩二(いちかわ・こうじ)さん(左下)
1994年入社。支援者との持続的で深い関係の構築を目指している。趣味はスキーとマラソン。5年連続で東京マラソンを出走。 会計課 主事 竹松美沙(たけまつ・みさ)さん(右下))
2009年入社。今後は、支援者の活動をサポートする仕事や、支援者を増やす仕事にも携わりたいと考えている。趣味は野球、旅行。

一階は広報誌と連動させた情報発信とくつろぎの場へ

赤十字のスローガン「人間を救うのは、人間だ。」の下、都内の赤十字活動を担っている日本赤十字社東京都支部。同支部は1991年に現住所に新築移転。以来、26年間、ほとんど手を掛けていなかったオフィスの改修と運用改善に着手し、一階エントランスフロアを大リニューアル。

「もっと赤十字を日常に感じてほしい」との広報誌『NT』のコンセプトを空間に落とし込み、「NT Lounge」を誕生させた。総務部会計課長の市川浩二さんは、「広報誌の誌面やホームページ、SNSなどとも連動した展示を継続展開し、コンセプトがより伝わる空間を目指しています」と説明する。

そもそもの改修の目的は、「もったいない、です。せっかくのガラス張りの開放的なスペースが利用し切れていなかった。外からはなんだか入りづらい雰囲気で、何をしている施設かもわかりにくい。そこを明るい雰囲気のオープンなスペースに変えました」と総務部企画課長の本多貴久さんは話す。

また、現状では同支部を訪れる多くは支援者や講習受講者。そうしたお客さまがリラックスでき、コミュニケーションが生まれる場にもしたいと、約100万円という低コストで椅子を替え、ソファも置き、ナチュラルなカフェのような居心地の良いスペースに仕上がった。実際、「ここができてよかった」との声が多く、活用されている。

もう一つ、外から見えることを生かして、同支部の活動を表現する場とすることも目的だった。置き家具のみの構成で空間を広く使えるようにし、イベントや報告会、講習会などにも利用できるようにした。ここで実施されたイベントは広報誌でも紹介し、連動性を持たせている。

とはいえ、押し売り的なPRにはならないよう、あくまでも、これまで赤十字と接点がなかった人にも、自然な形で赤十字に触れてもらえる場所になることを意識して運営している。今後は、同支部が開催するセミナーなどのほか、無料ビジネスラウンジとしても展開。BtoBの企業間交流などにも使ってもらいたいとの考えだ。

「使っていただくことが、何よりのPRになります。50人程度まで対応できるスペースですので、ぜひご利用ください」(市川さん)。sekijuji.jpg

3階執務室は生産性とおもてなしも考えた空間に

3階執務室にもさまざまな課題があった。電話などの配線は乱雑な状態で、景観的にも安全性にも問題があった。またフロアカーペットも汚れが目立ち、衛生環境にも懸念があった。

さらに今年2月、全社統一のネットワークに切り替えられたことへの対応、Windows Office365 導入によって得られた自由度を生かすためのノートPCへの更新も。

「加えて、職員にとって働きやすく、ストレスが軽減される環境にしたい。また、訪問者をおもてなしできる場や、部署を超えたミーティングがすぐできるようなスペースも作りたい、と、半年をかけてリニューアルに取り組みました」(市川さん)。

基本的にお金はかけず、工夫によって良いものを。専門家に任せ切るのではなく、プロジェクトメンバーが、家具メーカーなど協力企業に話を聞いて回り、セミナーなどにも参加。働き方改革にもつながるソフト面についても知見を深めながら検討していった。

総務部会計課用度係長の杉浦重好さんは、「ほかの企業を見に行って、最近のオフィスというのはこんなにもフラットで明るい雰囲気なのか、と。こういったオフィスであれば、気持ちも行動も変わるだろうと実感しました」と振り返る。

そうしてできた執務室は、中央に管理職の席をまとめることでフロアを回遊する動線を生み出し、窓際にはお客さまを迎えるファミレスブース席や、打ち合わせスペースを創出。動線上にあるので利用しやすく、コミュニケーションが生まれやすくなっている。また、管理職の席を中央に集めたことで、互いに話がしやすく、稟議も通りやすくなったという。既存什器も他フロアに転用するなど再活用している。

今後は、グリーンを置くことでのストレス軽減や、「本日の終業時刻予定」ボード活用による働き方改革にもチャレンジしていく。

複合機更新をきっかけにコスト削減意識も向上

複合機の更新を機に、カラーと白黒コピーの使い方改善にも取り組んだ。総務部会計課主事の竹松美沙さんによると、「導入時に初期設定を白黒にし、カラーと、白黒、二色刷りのコピー料金比較を張り出すなど、全員のコスト意識に働きかけました。結果、8月、9月の2か月間のカラー使用割合は、対前年比で20%減少。全体の使用量も18%減少しました」。

また、職員互助会の運営で「プチ・ローソン」を導入した。これは、自分たちで自分たちの働く環境を改善していこうとの取り組み。コンパクトなスペースに、お菓子やカップラーメンなどが置かれ、決済は電子マネー。安定的な飲食物の提供は安心感につながる。災害時の食料保管も兼ねられる。職員からは好評だ。

「近未来ビジョン130」で10年軸の活動指針を提示

今年、130周年の周年行事と連動を掛けて、10年軸での中長期計画「東京支部近未来ビジョン130」を策定した。目指す10年後の姿を「様々なパートナーと共鳴し、社会の共感を得ながら、人々に信頼され、安全、安心を与え続けられる存在」とし、「災害と向き合う。人の力を集める。社会と共生する。未来につなぐ」との4つのビジョンにまとめた。

「10年後という距離感の近い目標を作ることで、赤十字社の崇高な理念を、もう少し職員の日々の仕事に結び付けられるようにしたい。そんな思いもあって作りました」(本多さん)。

今後も同支部では、“ヒタムキに、ジミチに”人が支え合う安全、安心な社会の実現に取り組んでいく。


【会社DATA】日本赤十字社 東京都支部

所在地:東京都新宿区大久保1-2-15
創設:1887年10月28日
代表者:支部長 小池百合子東京都知事
職員数:53人(東京都支部事務局/2017年3月31日現在)

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

続きは無料の会員登録後にお読みいただけます。

  • ・組織の強化・支援を推進する記事が読める
  • ・総務部門の実務に役立つ最新情報をメールでキャッチ
  • ・すぐに使える資料・書式をダウンロードして効率的に業務推進
  • ・ノウハウ習得・スキルアップが可能なeラーニングコンテンツの利用が可能に
無料の会員登録で効率的に情報収集

著者プロフィール

g-soumu-editors-portrait-webp


月刊総務 編集部

パンデミック、働き方の変化、情報技術への対応など、今、総務部門には戦略的な視点が求められています。「月刊総務オンライン」は、そんな総務部門の方々に向けて、実務情報や組織運営に役立つ情報の提供を中心にさまざまなサービスを展開するプラットフォームです。


総務の現場から」の記事

2021年11月17日
「やる気ボタン」など独自の施策でエンゲージメント向上
2021年10月25日
今の変化を恐れず、働き方を多様化 オフィス縮小移転、週4正社員も
2021年10月06日
心身の健康が企業価値を向上させる ウェルビーイング経営を実践
2021年08月20日
自由な発想で社内外のファンを増やす 新入社員だけの「おもてなし課」
2021年07月21日
デジタルサイネージによる情報開示で社員の「自律自走」をあと押し
2021年06月14日
オンラインだからこそ実現できたコミュニケーション施策とCSR活動
2021年05月17日
ゲーム感覚でスキルアップができる リモートに適した評価制度を導入
2021年04月13日
「脱」オフィス・ハンコ・出社でニューノーマル時代の働き方を構築
2021年03月12日
社員と家族の生の声を聞くために「社員の子供だけの会社」を設立
2021年02月15日
ポジティブ広報でみんなを味方に。社員と作る「みんなのオフィス」
2020年12月10日
国内大手の管理部門系BPO企業が管理とサービスを両輪に総務を改革
2020年11月13日
リモートとオフィスの利点を融合。「ハイブリッドワークモデル」の実現へ
2020年10月13日
健康支援と働き方改革を両輪に 「KAITEKI健康経営」を実行中
2020年09月11日
リモートワークで増えた対話機会 社員間の理解が深まり関係性も向上
2020年08月11日
ABWを導入した新しいオフィスで安心、安全に、多様な働き方を実現
2020年07月16日
コロナ禍のピンチをチャンスに! ITを生かした次世代入社式を開催
2020年06月11日
タクシー業界のイメージを変える 独自の働き方改革で若手社員が定着
2020年05月18日
訪問看護の現場の声に寄り添った独自の働き方改革を推進
2020年04月10日
業務を洗い出し、不要業務を廃止。業務DXの実践で、生産性向上へ
2020年03月13日
階級も役職もなく、価値観を軸に エンゲージメント高く働ける会社
2020年02月14日
コミュニケーション改革から進める 70年企業のリブランディング
2020年01月10日
子育てと就業の両立を支援する、「子ども同伴勤務制度」を導入
2019年12月13日
社員の家族や友人に感謝を伝え、会社への理解を育むファミリーデー
2019年11月15日
時間と場所という制約から解放された、仕事本位の自律的な働き方を推進
2019年10月25日
会社と組合が理念の下に一致団結! 有休取得率100パーセントを継続
2019年09月12日
ゲーム感覚の残業時間予測制度で、楽しみながら働き方改革を推進!
2019年08月15日
若手社員の早期離職を未然に防ぐ、中立的な「キャリア相談室」を設置
2019年07月12日
緊急対策本部立ち上げ訓練など、多彩な施策で防災意識と知識を向上
2019年06月13日
部門横断の「チームヘルシー」が自発的な活動で健康経営を促進
2019年05月13日
時間に制約ある働き方を疑似体験!「なりキリンママ・パパ」研修
2019年04月11日
ITを駆使して、スマートに働く。ソフトバンク流働き方改革を実践
2019年03月15日
作る過程から会社の思いを共有。従業員巻き込み型のオフィス移転
2019年02月15日
月曜午前中に「営業休」を導入。従業員のやる気も生産性も向上!
2019年01月17日
客先勤務者も含めた全社員で臨む。成長をキーワードにした働き方改革
2018年12月13日
IoTで働き方を可視化&改善。本社内に"最高の集中空間"を開設
2018年11月15日
サテライトオフィスや分身ロボットで、働き方の選択肢がさらに充実
2018年10月11日
健康経営は、働き方改革との両輪で。家族も巻き込むことで推進に拍車
2018年08月16日
学生にも、会社にもメリットがある 個性重視の「ユニーク採用」を実施
2018年07月12日
FAQ形式の社内ポータル導入で問い合わせが減少、業務効率アップ
2018年06月12日
自ら学び、実践し、教えるループで「働きがいのある会社」を実現
2018年05月17日
より健康的で働きやすい環境を整備 ダイバーシティで自走組織を目指す
2018年04月17日
コミュニケーションが活性化し成長するストレスオフな組織作り
2018年03月12日
120周年記念事業で得られた自社への誇りと、つながり力
2018年02月19日
「時間も場所も働き方は自分で選ぶ」 これからの新しい働き方を実践
2018年01月12日
作って終わりにしないオフィス管理 総務主導で取り組む環境維持活動
2017年12月11日
赤十字社の活動をもっと身近に。広報誌と連動させたロビーに改修
2017年11月17日
選べるインターンシップを導入し、主体的に動ける人材の確保を目指す
2017年11月06日
節電キャンペーンでコスト削減 拠出した寄付金で取り組むCR活動
2017年08月17日
会社と従業員を結び、成長につなぐコミュニケーションコーディネーター
2017年07月18日
技術開発と総務が一緒になって「スクラム」で業務を改善
2017年06月16日
全学体制で女性活躍推進に取り組み 5年間で女性教員比率を2.5倍に
2017年05月18日
訓練と実践から常にアップデート 生きた非常時対応の仕組み作り
2017年04月13日
働き方変革をさらに前進させる「退社時間の見える化カード」
2017年03月13日
社員が安心して長く働けるよう育休や妊活支援など人事制度を拡充
2017年02月10日
多様な価値観の社員の声に応えた 選べる勤務制度と進化系オフィス
2017年01月19日
ベンチャーから上場企業への成長を 人と組織作りから支える戦略人事

特別企画、サービス