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最新のIT技術で企業の課題を解決するSIer、株式会社エーピーコミュニケーションズ。同社では、上司や人事に内緒で相談ができる「キャリア相談室」を設置。若手の早期離職を未然に防ぎ、管理職の部下育成支援でも成果を上げている。第4回ホワイト企業アワードでも高く評価されたその取り組みについて、担当者にお話をうかがった。
取材・文◎石田ゆう子
キャリアパスを描けない若手の離職問題がきっかけ
常駐技術支援事業を中心に、エンジニアのためのオリジナルプロダクト開発も手掛けている同社。社員の9割がエンジニアで、8割が顧客先に常駐。「エンジニアとお客様を笑顔にする」とのビジョンを掲げているが、これは、最前線にいるエンジニアがハッピーにならない限り、お客さまをハッピーにすることもできないとの思いから。
また、人材不足が深刻なIT業界。同社も例外ではなく、新卒も含めた、20代の未経験者採用も積極的に進める中で、社員の教育、キャリア開発支援にはとても力を入れていた。
「しかし、若手社員に話を聞くと、明確なキャリアパスを描けない人が多く、それが早期離職につながっていた。それを未然に防ぎたいというのが、キャリア相談室立ち上げのきっかけでした」と、組織能力開発部 キャリア相談室 セクションリーダー 国家資格キャリアコンサルタントの池田幸恵さんは話す。
一方、管理職は自身もエンジニアの仕事をしながら部下の管理をしなければならず、キャリアなどの深いところまで話せるような信頼関係を築くには時間が足りなかった。そのサポートのためにも、2018年、「キャリア相談室」を設置することとなった。
立ち上げに当たっては、キャリア開発の先進的企業にヒアリング。そこで得た学びから、安心して相談してもらうには人事部門から切り離した方がいい。査定も評価もしない、あくまでも中立的な組織にすることとした。また、設置しても面談者が来ず、なかなか機能しないと聞き、20代社員のキャリア面談を必須に。入社1年未満の社員は、入社3か月、6か月、1年後の年3回の面談を受けることを必須とした。今年からは、対象年齢を35歳まで拡大している。
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