月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】
節電キャンペーンでコスト削減 拠出した寄付金で取り組むCR活動

2017-11-06 12:38

世界最大級の保険、資産運用グループAXAの一員であるアクサ生命保険株式会社。同社では、企業の社会的責任(CR)の取り組みの一環として、2012年より「社内対抗節電キャンペーン」を毎年開催。節電によるコスト削減額から、エコツーリズム啓発活動への寄付を行い、持続可能な社会の構築にも貢献している。

取材・文◎石田ゆう子

社内対抗で楽しく節電、削減コストを寄付金に

 年に2回、夏と冬の電力需要が高まる時期に行われている同社の「社内対抗節電キャンペーン」。2016年7月から9月に実施された第9回キャンペーンでは、節電によるコスト削減額から100万円を拠出し、エコツーリズム啓発活動に寄付。第1回からの支援総額は900万円になった。「そもそものきっかけは東日本大震災です。電力不足に対応するため、震災直後から蛍光灯を間引きするなどの対策を取っていましたが、その後、せっかくやるなら楽しみながら節電に取り組める方法はないだろうか、と。アイデア出しをする中から生まれたのが、競わせると盛り上がるといった社風も生かした、このキャンペーンです」と、事業費管理グループ リアルエステイト&ファシリティマネジメント マネージャーの相浦祐也さんは説明する。
 内容としては、本社ビルのフロア別と、全国営業店舗の都道府県別による対抗戦で、2010年同時期比での電力削減率を競い合う。そして、全社の削減目標を達成できた場合、そのコスト削減額から寄付をする。節電の取り組みがCR活動にもつながる仕組みだ。「支出は増やさずにできるとあって、経営から承認を得るのもスムーズでした」。第9回キャンペーンでは、全社で28.4パーセント削減と目標を大きく上回る実績で達成。岐阜県内の営業店の節電実績がもっとも高かったことから、NPO法人飛騨市・白川郷自然案内人協会への寄付を決めた。「節電キャンペーン開始から今まで、削減率は維持できています。残業削減の施策なども行っていますので複合的な成果ではありますが、コスト削減には非常に効果があると実感しています」。
 

CR活動で、地域社会の持続的な発展をサポート

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 もともと、同社では本業はもちろん、地域社会、顧客、社員、株主、環境など、ステークホルダーすべてに責任ある行動を取り、社会の持続的な発展をサポートし、企業の社会的役割を果たしていこうとの考えで、CR活動に取り組んでいる。また、外資系の生命保険会社ではあるが、前身の一つが、日本初の団体生命保険を販売した日本団体生命であり、日本的な文化を持つ企業でもある。全国に約600ある営業店舗は、商工会議所と同ビル内にあるところが多く、地域の経済団体と連携しながら事業を展開している。そうした背景から、地域社会の持続的な発展に寄与していきたいとの思いが根幹には流れており、そういった中で取り組んでいる活動の一つが、節電キャンペーンなのだ。「寄付先は、NPO法人日本エコツーリズム協会から会員団体を紹介いただき、その中から決めています。寄付先からは、『今までやりたくてもできなかったことがこれでできます』など、喜びの声をいただいています」。エコツーリズムとは、環境の保全と観光の振興、地域の経済的な活性化を目指す仕組み。その普及を目的とする団体に寄付をする。節電から生まれたお金が、豊かな自然を未来へ引き継ぐための活動に役立てられている。
 

節電ポータルサイトなどで社内の節電意識を向上

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 今や現場にとって節電は当たり前といった感覚だが、スタート当初は、浸透させるためにさまざまな工夫もした。まず、節電ポータルサイトを開設。そこではデータ開示とともに、「ブラインドを閉じるとエアコン効率が良くなる」といった節電につながる情報を発信。また本社では、デジタルサイネージで各フロアの状況を掲示し、「今週は一五階ががんばっているな」などと、すぐにわかるようにした。キャンペーンの時期には、出勤時間やお昼の時間帯に、会社のマスコットの着ぐるみ(ページ下写真)を着てビルの入り口に立ち、「節電キャンペーン始まりました!」とプロモーションもした。営業店に対しては、販売チャネルのイントラネットや、営業社員労働組合の冊子などでも告知をさせてもらい、営業店の事務スタッフにも協力を仰いだ。ほかにも、「節電アイデアコンテスト」を実施したり、「節電川柳」の募集や、「節電クイズ」などの施策を重ねて、社内の意識を高めていった。
 ちなみに当初、営業店舗は、都道府県別対抗ではなく、電力会社の管内エリア別対抗としていた。データの集計で現場に負担を掛けないよう、支払料金実績から単価で割って電力会社別に使用量を算出。それをベースに削減目標を設定した。この目標も震災前年の電力量に対しての設定なので、基本的には達成できる数値だ。前回からは対前年比での目標設定に変更したが、それでも達成はしやすい数値になっている。現場が達成感を得やすい仕組みとしたことも、キャンペーンが5年も継続できている理由の一つなのだろう。
 

このスキームを生かして次は紙などのコスト削減も

 節電と寄付というのはなかなか結び付かないアイデアだ。社員からは、「会社として良い取り組みをしているね」「おもしろい。どういう仕組みなの?」といった反応もあった。キャンペーンの事務局は、相浦さんのチームメンバー19人全員で担当。「当初は大変でしたが、一度スキームを作ってしまえばそれほど難しくはありません。今後は、複合機の紙や、カラープリントを減らすといった、違うものに置き換えてやってみようとの話が上がっています」。キャンペーンの内容や、寄付の継続は常に議論の対象となっている。ただ、「CRは継続が大切」とは経営が常にいい続けていること。また、同社の認知度は、地方によっては高くないところもある。寄付の贈呈式は、NPO法人が所在する場所で行う。地域メディアにも紹介してもらっている。「こんなことをしているアクサ生命という会社があるのか」と知ってもらえる機会となり、間接的な営業への効果も期待できる。「ぜひ寄付は継続していきたい。そのためにもキャンペーン自体を続けていけるよう、マンネリ化させない方法を考えていきます」
 
 

【会社DATA】

アクサ生命保険株式会社
本社:東京都港区白金1-17-3 NBFプラチナタワー
設立:1994年7月(旧アクサ生命保険株式会社の設立)
代表者:代表執行役社長兼チーフ・エグゼクティブ・オフィサー ニック・レーン
従業員数:内勤社員2255人 営業社員5325人(2016年度末在籍数。営業社員数には営組への出向者人数を含まず)

 

アクサ生命保険株式会社
ファイナンシャルコントロール
事業費管理グループ
リアルエステイト&ファシリティマネジメント
マネージャー
相浦祐也さん
あいうらゆうや●建築不動産業界を経て2011年入社。趣味はゴルフ、フットサル、サッカー。旅行も好き。同社ベルギーの先進的な新オフィスお披露目に出張した際、初めてフランスの本社にも立ち寄った。「いつか日本本社が移転するときにはぜひ携わり、今回見てきたことを役立てたいですね」