2018年6月、日立工機から社名変更した電動工具メーカーの工機ホールディングス株式会社。同年10月1日には、メインブランド名を「HiKOKI(ハイコーキ)」に変更。リブランディングを進めている。70年以上の歴史ある企業がどのように改革に取り組んでいるのか。マーケティング・コミュニケーションの担当者にお話をうかがった。
取材・文◎石田ゆう子
日立グループから離脱。まず着手したのは文化改革
たまがわ たけお●リード エグジビション ジャパン、日本オラクル、日本IBM、日本マクドナルドを経て、2018年5月入社。今、オフで一番の楽しみはキャンプツーリング。外で食べるご飯のおいしさは格別!と、「自宅でも週末、テラスでキャンプ飯を作って食べています(笑)」。
プロ向けの電動工具など、パワーツールのメーカーである同社。グローバル企業として展開する中、2017年日立グループから離脱。米投資会社KKRの傘下に入り、2018年6月1日、第二の創業のスタートを切った。
「私が入社したのは、社名が変わるちょうど1か月前。誰もが知る『日立』という名前から離れたときに、いかに新しい社名を、新しいブランドを浸透させていくのか。そのためのさまざまなコミュニケーション活動を推進してきました」と、経営戦略本部 マーケティング・コミュニケーション室長の玉川岳郎さんは話す。
リブランディングには、社員がこの先、自分たちで自立して、どんな未来を作っていくのか、と発想できる風土が必要だった。そのためにまず取り組んだのは、企業文化の改革。ノーネクタイが許されるだけで「すごい」と考えられていた同社で、2018年7月から3か月間、夏場だけでもカジュアルな服装で過ごせるようにした。これも、ただやるのではなく、「会社のコーポレートカラー、グリーンを表現しよう。緑色の服なら何でもオッケー」と、「カジュアルグリーンデイズ」の名称で展開。すると、経営陣が会議の場で緑色の服を着るようになった。
一方で、「緑色の服を持っていない」という声も聞かれた。そこで、2018年の秋、緑色のポロシャツを会社が支給。2019年7月からの「カジュアルグリーンデイズ」では、一層社内が緑色に染まった。この成果を受けて試験的に、10月から品川本社では服装を自由とした。自由といってもTPOに合わせて自分で考えなくてはいけない。そうした「自分で判断する文化」を醸成するねらいもあった。
「最初の1週間は私が体を張って、限界となる服装で社内を歩き回りました。今後、本社でアンケートを取って、好評であれば全社展開しようと思います」
実際、社員の服装が自由になってきた感じはある。それだけでコミュニケーションの在り方も変わりつつある。「もちろん、文化の改革は一足飛びにはいきません。ですが、わりと自由に働いていいんだな、自由に発言していいんだな、という機運は高まってきていると思います。これからも多様な意見を聞きながら、改革を推進していきます」
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