月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】より健康的で働きやすい環境を整備
ダイバーシティで自走組織を目指す

2018-05-17 10:35

世界有数の大手金融サービスグループ、マニュライフ・ファイナンシャル・コーポレーション(マニュライフ)のグループ企業であるマニュライフ生命。ダイバーシティや、オーナーシップをテーマに、より健康的で業務効率高く、ワークとライフの充実につながる働き方ができるよう、さまざまな取り組みを継続的に行っている。

取材・文◎石田ゆう子

トップ、人事、社員が足並みをそろえて変革へ

 130年の歴史を誇り、カナダに本社を置くマニュライフ。日本でも全国各地に営業所を展開し、法人および個人のお客さまに質の高いサービスを提供している。同社の働き方変革は、カナダ国籍の前社長(4月1日付けで現社長に交代)が日本に赴任した当初から動き始めていた。「海外から見ればダイバーシティが進んでおらず、これは推し進めなくてはいけない、とのトップの強い意向がありました。しかし、女性にリーダーシップを発揮してもらうにも、それを可能にする働きやすい環境や制度面を整えなければ進みません。また、人事でも、成長過程にある弊社のこれからを考えると、今、働き方の変革をしなければとの思いがあり、この3年、本格的に取り組みを加速させてきました」と、執行役員人事部長の前田広子さんは話す。
 業務効率を追求するだけでなく、社員が余暇を楽しんだり、ストレッチした違う仕事ができるようにしたいとの思いもあった。他方、社員の意識調査でも、「もっと働きやすい職場になってほしい」「成長したい」「残業が多い」など、いろいろな声が上がっていた。「取り組みを本格的に開始したのは2015年からですが、トップ、人事、社員の足並みがそろっています。それが、短期間でいろいろなものを導入できた要因だと思います」。
 取り組み自体は、ボトムアップで進めた。部署ごとにプロジェクトチームを作り、それぞれの課題に合わせた目標を設定して活動。途中経過と年度末の最終発表は、リーダーが集まって経営陣の前で行う。先行して一年、パイロットの部署で行ってから全社展開した。「弊社ではダイバーシティ、オーナーシップ(当事者意識を持つ)、マネージャーの有効性をテーマに掲げ、この3つによって高い業績のチームが作れると考えています。各部署でプロジェクトを進めることは、自ら考えて動く機会に、リーダーシップを発揮するいい機会にもなっています」。

ジーンズ勤務可や昇降式のデスク導入で健康増進

 人事は、そうした活動のサポートを行いつつ、全社的なインフラ面を整備。たとえば、2015年度から、カジュアルウエアでの勤務を可能とするドレスコードを導入。「社内でずっと仕事をしている人にとっては必ずしもスーツが働きやすいものではありません。また曜日を限定する意味もないので、2017年度からは、毎日ジーンズでの勤務も可能にしました」。カジュアルな服装は、コミュニケーションをしやすくする。また、肩が凝らないなどの健康面での効果も期待できる。
 健康関連でいうと、もっとも特徴的な取り組みは、2015年の本社オフィス移転を機に、ボタン一つで上下に昇降するデスクを導入したことだ。「座りっ放しは健康に良くない、立つことが健康に良い、腰痛防止にもなるといわれていますよね。高価なものではありますが、本社の執務デスクにいっせいに導入しました。それだけ社員の健康に対する思いが経営も強かったのだと思います」。2017年8月から大阪オフィスにも導入。座るにしても、デスクの天板の高さを自分にちょうどいい高さに調節できる。これも肩凝り防止になる。実際の使われ方としては、昼食後に立っている人が多いそう。「眠気覚ましかもしれません(笑)。あとはフランクに立ち会議を席でしているようすも見られます。私は、席にいるときには100パーセント立っています。集中力が高まりますし、また、立っていることに疲れたら帰ろうと決めているので、立っていられる間に仕事を終わらせようと、メールを返信するにも簡潔に、という気持ちになります」。

manulife02.jpg

ウオーキング促進のアプリも開発

 また、2016年から、心身ともに健康であることをサポートする社会貢献活動の取り組みをスタート。最初のプログラムとして、健康増進のためのウオーキングを促すスマートフォンアプリ「マニュライフ ウォーク」を開発した。これは、社員はもちろん、誰もが利用できる歩数計機能を持ったアプリ。特徴的なのは、目標歩数を達成すると、カンボジアの子供にシューズのドネーション(寄付)ができる社会貢献活動のツールにもなっていること。さらに社内ではアプリを活用したウオーキングを推進するための取り組みも定期的に開催。歩数の多い人には東北や熊本の特産品をプレゼントしたり、社員が歩いた歩数を1歩1円として被災地に会社が寄付をするイベントも。こうした取り組みによって、平成29年度東京都スポーツ推進企業、スポーツ庁のスポーツエールカンパニーに認定されている。

manulife03.jpg

空いた時間で、研修への参加希望が増加傾向に

 ほかにも、コアタイムを撤廃したフルフレックス制度や、在宅勤務(社外勤務)制度も導入。「目的や業務にかかわらず全社員が利用できる制度です。上長の承認をもらって、人事部に用紙を提出すれば、原則、受け付けないということはありません」。利用者は増えているという。
 外部講師を招いての健康関連の社内研修も行っている。テーマは、正しい姿勢について、ストレスマネジメントなど。基本的に人事が企画する研修は就業時間内。参加は任意だが、体験型で90分と時間もコンパクトなため、集まりもいい。「健康関連にかかわらず、研修は多く用意しています。早く帰れるようになって、健康的になってよかったね、だけではなく、今後は、できた時間で、今まで出られなかった研修にも参加して成長してもらえたら、と。本年度の研修の参加申し込みの出だしは好調です。効果が出てきているのではないかと感じています」。
 この先は変革が一過性で終わってしまわないよう、わざわざ取り組みにしなくても、ワーク・ライフ・バランスよく働き、成長する自走組織を目指していく。


【会社DATA】
マニュライフ生命保険株式会社
本社:東京都新宿区西新宿3-20-2
東京オペラシティタワー30階
設立:1999年3月
代表者:取締役代表執行役社長兼CEO 吉住公一郎
資本金:564億円(2018年3月31日現在)
従業員数3,891人(2018年3月31日現在)
https://www.manulife.co.jp/


マニュライフ生命保険株式会社
執行役員 人事部長
前田広子さん
まえだひろこ●2007年入社。タレント・マネジメントおよび人材教育担当を経て2013年2月より現職。オフの楽しみは、トライアスロンやマラソン。「ただ、運動ばかりでは、と、1年前から三味線を始めました。そうなると着物も着たくなり、今年からは着付けも」と多趣味だ。