月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】コロナ禍のピンチをチャンスに! ITを生かした次世代入社式を開催

2020-07-16 11:31

創業41周年、木造注文住宅を手掛ける株式会社アキュラホーム。新型コロナウイルス対策で在宅勤務が続く中、ITを最大に活用し、"安全安心・分散型"のリモート入社式を開催。また、経営陣からのビデオメッセージや、一時金の支給、Web飲み会補助など、この状況下で勤務する従業員をねぎらい感謝を伝える施策を次々と実施している。

取材・文◎石田ゆう子

在宅でがんばる従業員に感謝のメッセージを配信

 「新型コロナウイルス感染症対応においては、うつらない、うつさない。従業員、家族、お客さま、関係者の安全安心を第一に考える。その軸は今も変わりません」と、総務人事部部長の池沢篤人さんは話す。
 緊急事態宣言後、「とにかく、まずは原則在宅勤務にしよう」とトップからの発信があり、急きょ、在宅勤務に突入した。システム環境などの準備が万全だったわけではなかったが、従業員とのコミュニケーションや、マネジメント、お客さまへの対応など、やりながら考えて、日々進化させた。Web会議システム「Zoom」などのツールも取り入れて、結果、在宅率70パーセントを超える形で運用ができたという(5月22日時点)。
 そうした中、不安や負担を抱えながら新しい働き方に取り組んでいる従業員をねぎらいたい、感謝の気持ちを届けたいと、さまざまな施策を考えた。その一つが、経営陣から従業員へのビデオメッセージだ。「従業員とご家族への感謝を込めたメッセージを配信していただきました。厳しい局面ですが力を合わせて乗り切っていきましょう。困りごとがあればなんでもいってください、と伝えられました」と、総務人事部人財開発課課長の清水保博さんは話す。

「困ったコール」も設置。できる解決策はすぐに実施

 その清水さんは、「困ったコール」の受付担当。これは在宅勤務について、従業員や家族がいつでも気軽に問い合わせできる専用ダイヤル。多かったのはやはり働き方についての相談だ。中でも、子供がいて働けないとの声が多かったため特別休暇を用意。できることはすぐに実践した。
 ほか、全従業員に一時金を支給。さらにコミュニケーション支援として、Web飲み会への補助金も1人2,000円、月に1回まで支給。導入から約1か月で10件ほどの申請があった。「正直、こうした施策がいいのかわかりません。それでも、リモートワーク先進企業の事例も参考にさせていただきながら、まずは、施策を打ち出す。検証しながら、良いものは継続し、ほかの施策も考えていく。これで終わりではありません」(池沢さん)。

リモート入社式に初挑戦。家族も参加できて大好評

 4月1日、115人の新入社員を配属先の全国17拠点に配置し、中継で結ぶ分散型入社式も実施した。「開催に当たっては、中止も含めて、本当にいろいろと考えました。でも、入社式は一生に一度。当社では、社長が匠の心を継承するカンナ削りを行うのが恒例で、記憶に残る入社式です。そうした社内の文化、伝統を感じてもらう場であることも考えて、初めての試みですが、分散型のリモートで開催することにしました」(清水さん)。
 もともと、チャレンジ精神を大事にしている同社。この局面を吹き飛ばす勢いで、拠点の人たちとも一致団結して取り組んだ。例年の何十倍も試行錯誤しながら、式としては完璧でなくとも、完璧に安全安心な入社式を目指した。マスク、検温、アルコール除菌などの衛生配慮を徹底し、「3密」を避けるため、席の間隔を1、2メートル空けた。辞令も、同社の無人住宅展示場で活躍している案内ロボット「ゴーカンナ君」を使って非接触で渡した。
 リモート入社式ならではの利点もあった。今回、初の試みとして、家族や、従業員にも見ていただけるよう、Youtubeで同時配信。多くの家族から「心に残る入社式だった。安心した。アキュラホームでよかった」との声が届いた。新入社員にも「あらためて、この会社に入れてよかった」と喜ばれた。社内からも「やってよかったね」との声が上がり、結果、大成功だった。
 その後、すぐに在宅勤務となり、新入社員の合同研修はできなくなった。そこは、Web研修と、eラーニングで学んでもらうようにした。また、いきなり在宅となって不安だろうと、先輩社員とのランチミーティングを、Zoomを使って週に1回は実施している。

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今回の在宅経験を生かし、今後も新しい働き方に挑戦

 緊急事態宣言が解除されても、以前と同じ働き方に戻すつもりはないという。同社は、トライ・アンド・エラーを大切にしている会社。失敗しても次に生かせればいい。今回の在宅勤務も、やってみたことで、「ああ、できるんだな」と実感した。全社の朝礼も、本当は顔を見てメッセージを伝えたいが、「ウェビナー(Webセミナー)」で行えた。その経験が、お客さま向けのオンラインイベントにもつながった。逆に在宅での課題もわかったのでそれをクリアにしながら、より働きやすい環境を考えていく。「今回の在宅で、お子さんがいる家庭では、お子さんといる時間が長く持てるようになって、プライベートな時間も充実できた。通勤の時間自体がなくなった。そういうところでも、いろいろと考えることができたので、次はそれを新しい働き方に生かしていきたい。業務効率を上げて、結果につなげられるなら、基本は在宅でもいいのかな、と私は思っています」(清水さん)。
 オフィスも広さに限りがある。社会的距離を取るとなると、出社する人数を減らしていかないとできない。シフト勤務のような形で、在宅と出社を分けるかもしれない。では、出社してやらなくてはいけない業務とは何か。それは、本当に必要な業務なのか。業務自体をどう考えるか。そもそも、オフィスは必要か。もっと自由に新しいことを、在宅でできるのではないか。そういった議論も出てくる。「今後も、お客さまや従業員の安全安心を考えると、新しい働き方、新しい生活の在り方が出てくるでしょう。試行錯誤する中で、新しい価値観が生まれ、おのずと働き方は変わってくるだろうと思っています。そこに向けて、新たな福利厚生や制度も、みんなで考えながら作っていきます」(池沢さん)。


株式会社アキュラホーム
本社:東京都新宿区西新宿2-6-1 新宿住友ビルディング34F
創業:1978年10月
設立:1986年5月
代表者:代表取締役 宮沢俊哉
資本金:9,314万円
従業員数:1,271人(2019年4月1日現在)
http://www.aqura.co.jp


株式会社アキュラホーム
総務人事部 部長 池沢篤人さん(右)
総務人事部人財開発課 課長 清水保博さん(左)
いけざわ・あつと●2005年中途入社。ビルダー事業部、経営企画部を経て、2014年より総務人事部。仕事では、広い心で正しく判断、強く実践!を目指すも、「なかなか難しいですね。好きな読書、ジョギングも今は一休み。オフはひたすら子供と遊んでいます」。
しみず・やすひろ●2013年中途入社。大阪支店営業職、営業総括を経て、2019年より現職。人事、採用、育成を担当。仕事は、目標を定め、どうすれば達成できるかを考えて常に全力投球がモットー。「趣味はゴルフですが、今は家族との時間が一番です」。