月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

【総務の現場から】国内大手の管理部門系BPO企業が管理とサービスを両輪に総務を改革

2020-12-10 11:35

人事、総務、経理など管理部門全般の業務効率化、コスト削減を支援し、高品質のアウトソーシングサービスを提供しているNOCアウトソーシング&コンサルティング株式会社。常に顧客企業に高度なサービスを提供している従業員に対して、いかに納得してもらえる管理とサービスを提供できるか。総務が改革に取り組んでいる。

取材・文◎石田ゆう子

ホスピタリティあふれる人材を集めることから開始

 同社は、1,000人を超えるアウトソーシングスタッフを擁する、国内大手の管理部門系アウトソーシング会社。2019年、芙蓉総合リースグループに参画し、2020年6月、グループとともに、本社を住友不動産麹町ガーデンタワーに移転。そうした中、自社の管理部門が抱えてきた課題と向き合うことになった。「私が着任した2019年3月当時、総務専任者は2人。少数精鋭といえば聞こえはいいですが、適正人数がいないことで、管理部門全体が疲弊していた。経営もその問題は認識しており、改革に取り組むことになりました」と、管理本部 人事総務部部長の安彦雅孝さんは話す。
 着任早々、総務の空気から変えようと、「総務は従業員へのサービス部門。これからは管理とサービスの両立を目指す」との方針をメンバーに発表。社内外から、総務の素養としてもっとも大切なホスピタリティを持つ優秀な人材を集めて、組織の拡充をはかった。その一人、八板麻衣子さんは、「以前の総務は忙しそうで声も掛けづらく、何か依頼してもなかなか連絡が来ないような状況でした。そこに来た新しい部長が、サービスやホスピタリティを大切にする人だと聞き、半年前に異動して、総務の一員として日々の業務にまい進しています」と話す。

従業員にとってちょうど良いサービスの提供を目指す

 安彦部長は、元々、グループ会社のアウトソーシングスタッフとして顧客企業の採用業務に従事しており、対価をいただいてサービスを提供することの大変さを実感していた。その経験も踏まえて、総務にとってのお客さまである従業員が安心して働けるサービスを提供しようと考えた。ただ、社内向けの過剰サービスは、一歩間違えると自立を邪魔することにもなってしまう。「ですから、土台の管理はきっちりとやった上で、従業員の要望をそのまま聞くのではなく、総務が考えて、必要性のあるものをしっかりと形にして届ける。従業員には、ときとして過剰サービスになりがちな感動ではなく、満足を与えられるサービスを目指しています」(安彦さん)。
 ときを同じくして、経営も従業員がもっと働きやすい環境を整えようと動いていた。その一つが、新たに設置された「リフレッシュコーナー」。川のせせらぎや鳥のさえずり、ヒーリング音楽が流れ、観葉植物が配されたカフェスペースで、心身ともにリラックスできると好評だ。

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毎朝の全社清掃は結果的にコロナ対策にも

 また、環境作りでいうと、コロナ禍ということで議論はあったが、当初の予定通りに本社を移転。手狭だったオフィス環境は劇的に改善された。「それと、これはコロナ前から取り組んでいたことですが、例年、インフルエンザに悩まされていたため、空調管理を徹底し、加湿器を多数導入。さらに、自分たちの働く場は、自分たちできれいにしようと、毎朝、全員で清掃するようにしました。きれいな職場で働けるよう、全員で取り組むことに意味がある」(安彦さん)。
 コロナ対策にも早めに取り組んだ。2020年1月には緊急対策本部を設置し、手洗い、除菌などを徹底するよう、社内に注意喚起を行った。リモートワークは導入の準備をしていたところだったが、コロナ禍で規程作りを急ぎ、情報システム部門と連携してパソコンなどを用意。現在、徐々に出社体制に戻ってきているが、いつでもリモートワークができる状態にはなっている。
 良かったのは、コロナ対策として作成した同社の規程が、お客さまの参考にしていただけたこと。今後、人事総務部をテストマーケとして、業務効率化の施策やRPA導入の効果といった同社の成功事例を、社外に共有していけたらと考えている。「逆に、私たち総務が、アウトソーシングで他社の総務に携わることができれば、ホスピタリティやコミュニケーション能力を高めるいい経験になる。総務と事業の連携は、これからやっていきたいことの一つです」(安彦さん)。

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グループ会社横断の総務部会で交流も促進

 総務改革を始めて、およそ1年半。「少しずつ、おもてなしを大切にする部署になってきていると思います。従業員も直接、部長には要望をいいづらいと思いますから、そこは私たち実務者が入って、要望などを聞いています。提案した改善策が採用されることも多いですし、各事業部とのより良い関係を構築する役目になっていきたいです」(八板さん)。今後の課題は、サービスの標準化。今は、メンバー個々のホスピタリティに任せている部分があるが、誰が担当してもサービスレベルに一定の品質が保てるよう、総務内で意思統一をはかっていく。
 八板さんはじめ、メンバーの活躍は目覚ましい。たとえば、同フロアのグループ会社の管理部門同士で集まって部会を開くようになった。
 「一緒に取り組んだ方がいいことを話し合う場が、いつのまにか部会になっていました。各社それぞれのノウハウや施策、アイデアを共有し、今までになかった刺激を受けています」(八板さん)。実際、グループ会社との関係作りが円滑に進んだのは、総務部会がきっかけになったという。
 この先は、さらにグループ内で連携しながら、いろいろな取り組みをしてみたいとの思いもある。「総務の改革で大切なのは、こうなったらいいな、という絵を自分の中で描くこと。私は、みんなにこの会社に入ってよかったと思ってもらいたい。仕事の喜びと、人と人とのつながりの喜び、2つを持ってもらえる会社にしたいとの絵を描いています。簡単ではありませんが、劇的に変えると、またすぐに戻ってしまうこともある。一歩一歩進めて気付いたら会社が変わっていた、というのが理想。大きな施策も大切ですが、一つひとつの積み重ねを大事にしていきます」(安彦さん)。


NOCアウトソーシング&コンサルティング株式会社
本社:東京都千代田区麹町5-1-1 住友不動産麹町ガーデンタワー
創業:1965年9月
代表者:代表取締役社長 澤登哲也
資本金:1億円
従業員数:1,300人
https://www.noc-net.co.jp/


NOCアウトソーシング&コンサルティング株式会社
管理本部 人事総務部 部長 安彦雅孝さん(右)
管理本部 人事総務部 総務グループ 八板麻衣子さん(左)
あびこ・まさたか●2社で取締役、東証1部上場企業の採用責任者を経て、2018年9月グループ会社入り。2019年3月同社入社、現職。最高のリフレッシュは旅行。「いちばん好きなハワイには一人で1か月滞在したことも。30回以上は行っていますね」。
やいた・まいこ●中小企業で、総務、営業事務、採用、販促もこなすマルチな事務経験を経て、ステップアップのために2018年入社。休日は料理をしたり、料理の動画を見るのが好き。「自分の料理もSNSに上げていますが、まだまだ勉強中です」。