月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

ポジティブ広報でみんなを味方に。社員と作る「みんなのオフィス」

2021-02-15 10:15

主に建設業界向けのWebサービスを提供している株式会社イーリバースドットコム。産業廃棄物領域の電子マニフェストWebサービス「e-reverse.com(イーリバースドットコム)」を主力事業に、2017年には、施工管理をICTで支援する「Buildee(ビルディー)」をリリース。成長し続ける同社のワーキングプレイスもまた、進化し続けている。

取材・文◎石田ゆう子

今回のオフィス増床は戦略総務化への第一歩

 同社の「e-reverse.com」は、政府が推進する電子マニフェストを大幅に使いやすくするサービス。全国のゼネコントップ100社のうち90社に導入されており、その市場優位性を強みに、事業も、組織も拡大し続けている。
 2017年3月には、豊洲プライムスクエアに拡張移転。見通しの良い回廊型レイアウトや、L字型デスクなどの多彩な仕掛けによって、生産性が向上し、チームビルディングが進むオフィスを作り上げた。
 しかし、想定外の成長によって、2018年末には、従業員数が112人を超える見通しに。やむを得ず、一般的な什器・レイアウトに変更し、153席まで確保した。しかし、それも2020年頭には限界が来た。「『今後は拡張するだけでなく、戦略総務として、よりフレキシブルな働き方や、オフィス運営上の将来的な課題を解決していく手段としてオフィス改革をしよう』。そう考えていたときに、ビル管理の方から隣フロアのテナント退去という情報が入りました。そこで、居抜き増床プランでいくことになりました」と、増床プロジェクト(PJ)のリーダー、管理部マネージャーの五十嵐理誠さんは話す。

オフィス機能を強化しテレワーク制度支援へ

 PJは、2020年3月にスタート。増床実施に関する社内の再議論や社内外の体制構築に時間を要したため、社長にも週次定例会への参加を頼み、議論と意思決定のスピードアップをはかった。また、予実管理分科会を設置し、適切な社内決裁の迅速化に努めた。PJ事務局の1人、管理部の鈴木龍さんは、「その半年間の記憶があまりない」ほど、たいへんだったと振り返る。
 まずは社長から今後の働き方に対するメッセージを発信してもらい、増床に関するグランドデザインを描いた。3期に分けて進めることとし、第1期は、2020年9月28日のリニューアルオープンをゴールに、オフィス環境改善、グループアドレス対応に取り組んだ。「また、今回の増床で198席まで確保したあとは、社員数が増えても席数は増やさず、ファシリティコストを固定化する。その中でオフィスの機能強化を進め、浮いたコストはテレワーク制度支援に充てていくと決めました」(五十嵐さん)。 
 同時に、情報システム部門では、セキュリティ、テレワーク、フリーアドレス化に配慮したネットワーク環境を整備。人事労務部門では、在宅勤務制度を作り、10月1日にスタートさせた。

「ポジティブ広報」で社員みんなを総務の味方に

 今回の増床は、「『みんなのオフィス』を作る」をテーマに、社員の意見を聞きながら進めた。特に、社内アンケートで上がってきた「モノ」中心の意見を、事務局で「コト」に変換し、施策を考えることを大切にした。
 たとえば、「給茶機を替えて」という意見に対しては、「問題なのは、味か。マイカップという仕組みか。設置場所か」と仮説を立て、再ヒアリング。結果、動線が改善されることもあり、ネスカフェドルチェグスト(コーヒー等の飲料)を紙カップも含め全額会社負担で導入することにした。
 また、社員からの要望や意見への返答は、対話やチャットを通じた「ポジティブ広報」によって必ず行った。「ポジティブ広報」とは、PJで決まったことを随時発信していくもの。「レイアウト図面発表!」「コーヒーの試飲会やります」など、どんどん伝えて、そこに対する社員の意見もオフィス作りに反映した。総務だけでなく、みんなでオフィスを作る関係性を大切にした。「完成したとき、新しい環境にすぐになじめるようにとのねらいもありました。リニューアル後は混乱するもの。私たちだけでは対応し切れない。事前内覧会や試飲会を通じて、増床後オフィスの使い方をみんなに説明してくれる協力者を増やしてきました」(五十嵐さん)。
 オープン直前の1週間は、集中工事や増床後すぐに業務に入れる環境作りのため、完全テレワーク期間とした。社内に大きな影響が出そうな情報は、3か月以上前から周知していたので大きな混乱はなかった。その間も、完成間近の社内のようすをドローンで撮影して配信。オープン前から、新しいオフィスはすでに「みんなのオフィス」になっていた。

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オフィスは積極的に公開し次は居抜き移転を目指す

 リニューアルイベントでは、管理部からオフィスに対する思いを発信した。「今回の増床はみんなの力で、自然体の動線、集える場の提供、チームと社員個人の時間の尊重、今後のさまざまな変化に柔軟に応えられる環境を整備した。この環境をより良い形で発展していけるように、社内環境の整備や意見収集に協力してほしいとお願いしました」(五十嵐さん)。
 現在、テレワーク対応として、「コンビニ印刷」サービスの導入も準備中。これはコンビニで、会社と同じセキュアな状態で印刷できるものだ。
 また、地方営業所は、全員が外勤営業ということもあり、よりフレキシブルな働き方ができるシェアオフィス移行やコワーキングスペースの活用を試行していく予定だ。
 今後は、テレビドラマやCM、雑誌などを通じて、会社やオフィスの魅力を発信していく。「採用支援の材料に加えて、数年後ここから出ると決めたときに、居抜きで使ってもらうためのオフィス広報活動です。原状回復費用を削減できますし、そのまま使ってもらえたら私たちもうれしい。そのために、毎週、社員による社内環境整備も行っています」(五十嵐さん)。メディア露出が増えれば、社員の家族にも会社に関心を持ってもらえる。会社と家族とのつながりが強ければ、社員のリテンションにも期待ができる。
 「今は、増床やコロナ対策を機に、テナント同士の交流が増えています。外から情報を吸収、交換できる関係性があることは非常に重要。これから一層、総務ネットワークの拡大に力をいれていきます」(五十嵐さん)


株式会社イーリバースドットコム
本社:東京都江東区豊洲5-6-36 豊洲プライムスクエア 9F
設立:2007年6月28日
代表者:代表取締役 高橋 巧
資本金:1億円
社員数:107人(2020年09月30日現在)
https://www.e-reverse.com


株式会社イーリバースドットコム
管理部 マネージャー 五十嵐理誠さん(左)
管理部 鈴木 龍さん(右)
いがらし・まさのぶ●2013年中途入社。事業企画、総務、CSR・広報、情シス・セキュリティなどを経て、2019年より現職。休日は趣味の釣りのほか、飲食店を巡り、オフィス作りの参考にしている。
すずき・りょう●他社で営業や総務を経験後、2019年8月に中途入社。増床PJが初の大仕事。四苦八苦しながらも褒められる結果となり一安心。「オフィスは汚してほしくないですね(笑)。最近、都内に引っ越してきたので、散策が楽しみです」。